プリント&プロモーション―デジタルプリントの専門サイト――

【コラム】「drupa2024」を振り返る<前編> 来場者数は驚きの数字に! テーマは「〇〇〇〇drupa」⁉

【2024年6月12日】「drupa 2024」は5月28日~6月7日まで、ドイツのメッセ・デュッセルドルフで開催された。

今回は「We create the future」をテーマに52カ国から1,643社・団体が、最新の製品や技術、サービスなどを展示した。

プリント&プロモーションではデジタルプリンティングの機器や資材、サービスなどを中心に速報したが、今回は展示会全体を数字とともに振り返り、その感想も述べてみたい。

関連:大野インクジェットコンサルティング 「drupa2024報告会」を開催

 

来場者数は驚きの…

まず驚くべき数字が発表されている。
期間中の来場者数は約17万人。
えーっと…前回の2016年が26万人で、9万人の減少!!。2008年39万人であったのが、2012年31万人。
今回は一気に20万人を割り込んで17万人になってしまった。
ちなみにピークは1990年で44万人、そこからは増減を繰り返し、2012年を境に激減が始まった。「drupa2016」に会期が14日から10日に短縮されたことも影響しているが、それにしても減り具合は期間短縮以上だ。
ちなみに来場者数発表も、プレスリリースの中ほどにちょこっと遠慮がちに載ったことも、逆にこれがいかに重大な事態だったかを物語っている。
この発表に一瞬目を疑ったし、間違いなら指摘していただきたい。

今回、ピークの38%の来場者しか訪れていない「drupa」だが、世界一の座陥落も間近なのか?
印刷関連の大きな展示会では、四大印刷資機材展と呼ばれる「IGAS」(日本)が5万4000人、「IPEX」(英国)が2万人「Print」(米国)が1万5,000人だから、それでもまだ「drupa」は世界一だし偉大な存在だ。
しかし、四大印刷資機材展以外では、中国の展示会の伸長が著しく「CHINA PRINT 2021」が13万6,000人、「All in Print China 2023」が7万人弱など、「IGAS」以下の四大展示会はとっくに超えて、世界一に迫ろうとしている。

17万人という数字の体感だが、実際に会場を歩いてみた印象も「明らかに空いている」と感じた。
前回はLANDA(ランダ)などの人気のブースは、デモンストレーションが始まると通り抜けができないほど人があふれていたが、今回はそれが1回しかなかった。
ランダでも余裕で通り抜けられるし、なんなら人をかき分けながら一番前に陣取ることも可能だった。

 

来場者減少の原因は何?

来場者減少の原因を考えてみた。
まずは印刷市場が縮小しているから?
確かに日本の印刷出荷額は、ピークの1991年に約9兆円だったのが、現在は5兆円を割り込んで減り続けている。一方、世界の印刷市場は現在も約2%ほどの成長を続けている。ただ効率化はされており、従業員数などは減る傾向にあるというというから、印刷市場人口の減少に伴って、来場者数が減ったというのはあり得るが、9万人は減りすぎだ。

では、展示会という形式自体の陳腐化が見られるのか?
2020年は新型コロナウイルス感染拡大で中止(バーチャル開催)だった影響もあるのか、「出展しなくてもいい」「見に行かなくてもいい」という雰囲気が広がっているのかもしれない。
出展者数も2008年には1,971社であったのが、2012年は1,850社、2016年は1,844社、前回から200社以上減っている。

欧米企業ではゼロックスなどは出展しておらず、日本でもミヤコシは出展を見送り、大判プリンタでは、ローランドディー.ジー.なども出展していない。
ミヤコシは6月後半に内覧会を行なうそうで、不参加の理由は「出展すれば設計・開発者が現地に行かねばならず、製品の納期が遅れることが大きい」とのこと。開幕1カ月前くらいから滞在して、終了後も1週間くらいは後片付けというのは、やはり大きな負担だ。それならお客さんにお金を払ってもいいから工場に来て欲しいというのがホンネだろう。

 

出展の穴を埋めたのは

出展者が大幅に減ったが、その中身はどうか?
欧米や日本などの先進国の資機材メーカーが出展を見送ったのに比して、増えたのは中華系企業だ。会場を歩くと、漢字の社名が目に飛び込んでくる。そして、中国のイメージカラー?の朱色のブースがやたらと多い。
主催者発表の数字でも、中国企業は380社超でドイツを抜き最大の出展国。さらに言えば、昔は端の方の小さなブースでちんまりしていた中華系企業が、かなり大通りに大規模ブースを展開していた。

プレスは開幕前日からコンファレンスがあり、会場入りできたのでササッと見て回ったが、その時からこの傾向に気づいていた。
会場図を見ながら、中国系企業が多いホールに「㊥」マークをつけていったら、「3、11、12、13、14」あたりは中華ホールと呼んでもいいほど、中国系企業が他を圧倒していた。もちろんこれ以外のホールにも多くの中国企業が大きなブースを構えていた。
会期前日に会場で出会った大野インクジェットコンサルティングの大野彰得代表も「今回のテーマはChina drupa!で決まり」と宣言しており、会期が進むにつれ、その感想は間違いじゃなかったと確信した。

中国国内の印刷系展示会に多くの人が集まり、出展者も中華系が多いとなると、「もうdrupaに行かなくても、中国で機械を見られるんじゃないの?」という声はますます大きくなりそうだ。
来場を検討した中国の人の気分も「中国企業ばっかりだから、まあ視察に行かなくていいか」となるのも無理はない。

 

日本人も減った?

日本からのツアーもかなり減った。理由は円安、物価高などでツアー代金がとてつもない料金になったことが大きいのだろう。確認できた限りだが、ツアー代金は42万から最も高いもので127万円(他都市周遊付き)のものがあった。以前は25万円~30万円程度でツアーを催行していたので、一般的なツアーでも料金は2倍近くなっている印象だ。

あとは「来るとしても個人で来ればいい」という人も増えたのだろう。印刷会社の2代目、3代目社長は高等な教育を受けた人が多く、英語もバリバリ話し、海外経験も豊富。今さら、団体で行って1週間も現地で過ごし、観光まで行くようなツアーはファッショナブルではないと考えている。個人で行けば、機中往復2泊、現地2~3日間の4~5日ほどで展示会の視察はできてしまう。
一方で、ツアーは利点もある。普段は社内を見せてくれないような現地企業の訪問が可能で、日本とは違った考え方で動いている欧州企業を肌で感じることが可能だ。

話が横道にそれたので、後半は展示会の内容に戻りたい。

後編「【コラム】「drupa2024」を振り返る<後編> 来場者激減イベントの中心で本当のテーマを叫ぶ!」に続く

引用:drupaホームページより「Celebrating the global print industry: Record number of deals signed at drupa 2024」

 

Copyright © 2024 プリント&プロモーション . ALL Rights Reserved.