【2016年1月25日】FabCafeグローバルは1月22日、東京都渋谷区道玄坂のFabCafe Tokyoで「YouFab Global Creative Awards 2015」授賞式を開催した。
同アワードは、3Dプリンタやレーザーカッターといったデジタル機器を使用したプロダクトやアート、クラフトなど、デジタルファブリケーション領域で新たな領域を開拓する優れた作品を表彰するもの。
受賞作品は2月8日(月)まで、FabCafe Tokyoで展示されている。
今回は2015年7月1日から9月30日までの応募期間中、26カ国から合計152作品の応募があり、FabLabJapan発起人で慶應義塾大学SFC准教授の田中浩也氏ら6名が審査。グランプリ、準グランプリとファイナリスト23作品が選出された。
まず、主催者を代表してトリプルセブン・インタラクティブの福田敏也氏があいさつし「ファブリケーションの新しい文脈ができつつある。このファブカフェのような場所が世界のいろいろな所ででき、場をつなぎ、人をつないでいる。そして、YouFab Global Creative Awardsにより、どこで、誰が、どんなものを作っているのかを知ることができるようになった。同賞はアワードとしての面白いフェーズを迎えつつある」と話した。
「グランプリプライズ」は、米国のデザインスタジオnervous systemの「Kinematics Dress」で、残念ながらこの日は受賞者が欠席だったため、トロフィーと表彰状を代理人が受け取った。また、受賞者のビデオコメントが放映されるなどYouFabらしい演出でグランプリを祝った。
同作品は3Dプリンタにより作られたワンピースで、何千もの異なる形の三角形のパネルが蝶つがいによって繋がれた状態でプリントされ1枚の衣類として生成できる。堅さやドレープ(ひだ)、柔軟性、多孔性などをさまざまに変化させることができ、着る人の身体にぴったり合ったドレスがプリントされる。
準グランプリにあたる「ファイナルプライズ」はチリのDiego Pinochet(ディエゴ・ピノチェト)氏による「Making Gestures: A personal Design and Fabrication system」。
受賞作品はユーザーの体の動きに合わせてリアルタイムでデザインや製作を行える5軸CNCマシン。手の動きに合わせて、電熱線を備えたカッターなどが動き、素材を切り取っていく。
ピノチェト氏はチリから来日、残念ながら受賞作品はチリの税関で没収されたが、トロフィーと表彰状を受け取り「新たな試みを行った作品が評価されてうれしい」と喜びの言葉を述べた。
このほか、ファイナリスト23作品が部門ごとに表彰された。
ファイナリスト作品は以下で紹介されている。
http://www.youfab.info/2015/winners_jp.html?lang=ja
審査員講評
田中浩也氏(慶應義塾大学SFC准教授)
「3Dプリンタがメディアで過熱報道になったときには、”ボタンひとつでモノが出てくる!?”など、ものづくりを極度に簡単にする便利ツールとして宣伝されすぎたきらいがあった。しかし、YouFabに応募されている作品はどれも、技術の利便性だけに依存するのではなく、クリエイターとして手間暇と情熱をかけ、長い時間をかけて作品としてつくりこんだものばかり。むしろ、伝統文化との融合や自力でプログラミングしたものなども多く、デジタルファブリケーションを『いかに創造的に活用できるか』という問いをそれぞれが持ちながら創作に臨んでいる姿勢が全体からあふれていた」
四方幸子氏(クリエイティヴキュレーター)
「上位は同じ作品に票が集中した。よい作品が多く、このために審査員特別賞も新たに作った。ファブはドッグイヤーになっている。どんどん昨年とは違うものが出てきている」
この後、福田氏がモデレーターとなり、田中氏、四方氏のクロストークセッションが行われた(別掲予定)。
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