【2019年1月23日】富士ゼロックスは2月15日(金)、同社初の商業印刷向け高速ロール紙カラーインクジェットプリンタ「11000 Inkjet Press」を国内で発売する。
新製品「11000 Inkjet Press」は強化した「SAMBA」ヘッドを採用し、業界で初めて1,200×1,200dpiという高画質を維持しながら、最速で毎分80m(A4カット紙換算で毎分1,048ページ相当)の高生産性を両立させている。
さらにオフセットコート紙にプレコートなしで対応しており、専用紙や前処理に頼らず商業印刷で使用される多くの用紙にプリントできる。
これらにより、従来は多くが帳票や明細書、通知書などトランザクション分野で使用されていたロール紙タイプのデジタル印刷機の対象領域を、カタログやDMなどオフセット印刷がカバーしていた高画質領域まで広げるという。
搭載した富士フイルム「SAMBA」ヘッドは、高速ロール紙印刷への適応を目的に富士ゼロックスが最適化。ヘッドのノズル付近のインクを絶えず循環させ、乾燥が速い高機能インクでもノズル詰まりを防ぎ、最適な吐出状態を維持し、長時間の連続出力でも安定した高画質を得られる。
採用された水性顔料インクは、定着剤を含有させた新インク。「SAMBA」ヘッドの正確な打滴能力を最大限に引き出し、高速でありながら高品質な描画を可能にしている。
赤外光とヒートドラムによる独自の乾燥機構により、従来の水性インクジェットの大きな課題であった印字後の用紙シワ(波うち)を解消している。
印刷モードは、毎分80mの「標準」モードに加え、毎分50mの「画質優先」モードを用意しており、超高品質を求める顧客向けにも対応する。
プリントサーバーには、プロダクションカラー機で実績のある自社開発のコントローラー「GX Print Server」を採用。複雑なバリアブルデータやリッチな画像を含むPDFなども高速に画像補正をかけながらRIP処理し、印刷スピードを最大限に生かす。
「11000 Inkjet Press」は本体価格が3~4億円を予定しており、発売から3年間で20台の販売を目指す。
富士ゼロックスは1月22日、神奈川県海老名市の同社「Future Edge」で行った記者発表会で、商品を説明。同機と後加工機を接続し冊子の製作をデモンストレーションした。
高木純常務は挨拶で「当社は中期的戦略として『プリントオンデマンド領域の競争力と収益強化』『インクジェットによるあらたなデジタル印刷市場の獲得』『デジタル・トランスフォーメーションによるワークフロー改革』の3つを掲げている。同機は印刷速度が毎分80m、印刷解像度は1200×1200dpi、オフセットコート紙に対応というオフセット印刷に匹敵する製品。これを市場に投入し、デジタル印刷市場に変革をもたらしたい」と述べた。
また、質疑応答では商品販売について「2021年には商業印刷向けの4割強がデジタル印刷で賄われると予想している。また、全世界での販売台数は年間700台と予測しており、富士フイルムと協業し当社で半分にあたる350セットを販売したいと考えている」と展望を述べた。
また、同社グラフィックコミュニケーションサービス事業の麻生修司執行役員も質疑応答で「新製品には、すでに数社の引き合いが来ている。製品は従来のオフセット印刷機の置き換えというアプローチより、顧客の課題解決に役立つものと考えている」と期待を口にした。
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