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PODi&三菱製紙 セミナー「デジタルとアナログ、これからのメディアとは!」を開催 3氏が講演


【2016年11月24日】PODiと三菱製紙は11月21日、墨田区両国の三菱製紙本社で、セミナー「デジタルとアナログ、これからのメディアとは!」を開催した。

同セミナーは昨年7月に開催した「デジタルの未来は印刷だ!」に続く、PODiと三菱製紙の共催セミナー。PODiと三菱製紙に加え、外部からも講師を迎え、デジタル印刷とそれにかかわるデジタル技術などについて講演を行った。

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セミナーでは冒頭、三菱製紙 洋紙事業部 海外営業部の木村篤樹担当部長が「オリエンテーション」を行い、講演に移った。

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各講演の概要は以下の通り。

「~マーケティング新時代。どこにいるのか?いくのか?~現代Marketingの”ING”を考える」 野口健介氏(コアフォース 代表取締役社長)

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マーケティングの役割は「絶えず変化する人々のニーズをとらえること」ともいえる。
一例では、ローマ法王を決める会議「コンクラーヴェ」の様子が有名だ。
2005年と2013年ではその風景が変わってしまった。2005年には一つもなかったスマートフォンで、2013年にはほとんどの人が決定の瞬間を写真に収めている。
現代はどこに行ってもスマホファーストな世の中になった。

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これまで商品を販売する際、販売する側は購入時点だけを見ていた。それではマーケティングの答えは出ない。顧客時間の概念は「検討→購入→使用消費」だが、これに寄り添いそれぞれに最適なコンタクトを行わなければならない。

通販市場は拡大中で、これをけん引しているのはアマゾンや楽天などプラットフォームを持った企業。これに加え日本の人口は減っており、30年後には今とは違ったマーケットとなるだろう。

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そこに必要なのが、リテンションマーケティングだ。
スマホの時代になり、「パーソナライズ」「ワンツーワン」「セグメント」を抑えなければ消費者は反応しなくなった。つまり、消費者は「自分事」でないと反応しなくなったのだ。

調査の結果消費者は、Webサイトからの情報を関心から遠いものと感じている。
ニーズから遠い情報はノイズで、その商品に対するイメージはネガティブになりかねない。

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リテンションマーケティングでは「コレクト7」という言葉がある。5W1Hのようなものだが、適切なターゲットに、いつ、どの顧客接点で、どのような内容のコンタクトをとるかということ。

印刷を使った実践例では、春館製薬のドモホルンリンクルが、試供品とともに「myお手当カレンダー」を同封する取り組みで成功した。これはユーザーが使用するたびにカレンダーへシールを貼り、送り返すと新たなサービスを受けられるというもので好評だった。
しかし、これをデジタルで、試したところ全く反応が悪かったという。

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ユーザーは「自分事」でないものには興味がない。また、適切なタイミングで適切な方法でコミュニケーションをとることが重要と考える。
これを「マーケティングオートメーション」を活用し、実行してほしい。

「『デジタルとアナログこれからのメディアとは!』海外事例に学ぶデジタルソリューション」 亀井雅彦氏(PODi 理事長)

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マス・マーケティングが効かなくなってきている。
野口さんが言ったように「自分事化」することが重要だ。

かつてオフィスではパソコンを何人かで1台シェアしていたが、今、パソコンをシェアしている会社はほとんどない。ましてスマホをシェアしている人はいない。
デジタルコンテンツはパーソナル向けが当たり前になった。

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そして、個人を徹底的に追いける技術ができた。
個人が物を買う道のりが変わっていって、その節々にスマホが影響し、自分事化された情報以外ははじかれるようになった。

これを説明する「フィルターバブルとバリアラダー」では、その消費者心理を「体験」「優位性」「信頼」「共感」「理解」「認知」にセグメント分けしているが、このうち「優位性」「信頼」「共感」「理解」はマスメディアでは届けづらいものだろう。

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これは米国の話だが、カタログは2007年をピークに4割減った。すべてウェブで完結する通販に押され、紙媒体離れが進んだ結果だ。
同じころ業績不振となったアパレルのJCpennyやLANDS’ENDも紙のカタログをやめた。

コミュニケーションは「セグメント」から「パーソナライズ」に進化した。
また、商品も大量品から多品種少量に変化している。

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だが、米国で2007年から減り続けたカタログだが、2013年に底を打って反転を始めた。
DMは数を減らしたが、1通当たりにコストをかけるようになった。
DMの中身はカタログで、パーソナライズされたものが増えている。
カタログの効果では、WEBの注文の場合でも、カタログを見ながらの方がたくさん買ってくれるという調査結果もある。

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この豪華になったカタログは、消費者の嗜好に合わせ、1つずつ中身が異なっている。デジタル印刷機の進化により、バージョニングが低コストで可能になったからだ。
印刷会社はこれまで、版数を少なくし、同じ物たくさん刷ろうと言ってきたが、デジタル印刷なら、版数を増やすことができる。
このターゲッティングとパーソナライズができる印刷は最強のメディアだ。
また、その品質を手触りし、ブランド感を体験できるのも紙の特徴だ。

結局、JCpennyやLANDS’ENDもカタログを復活した。それはやめてからさらに大不振に陥ったからだ。

現在のカタログは写真が主流でライフスタイルを見せる展開が多くなっている。
IKEAの場合も、「家具で何ができるか」「どういう生活ができるか」を語っていて、実は家具の説明はない。
カタログとマガジン(雑誌)を合わせた「マガログ」のような形態が主流となっている。

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まとめると以下の3つのことが言える。
1マーケティングの変化
2よみがえる紙媒体。カタログ復活している
3印刷技術の革新

「デジタルと紙を“繋ぐ”新しい印刷の仕組み」 岡本幸憲氏(グーフ 代表取締役社長)

PODi&三菱製紙 プルキャスト グーフ

当社は社名を「プルキャスト」から変更した。
グーフの目的は「デジタルと紙をつなぐ。紙のプロフェッショナル」。

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私はダイヤルアップやISDN時代にeラーニングのデジタルシンクの事業戦略デザインをしていた。
その仕事で「習熟度に合わせて印刷物で学習提供できないか?」と考えた。
結局、これはうまくいかなかったが、これの先にデジタル印刷がいずれネットと融合すると考え、21年前にデジタル印刷の業界に転身した。

一時期、印刷会社に在籍したが、ブランドオーナーまでに距離があり、できないことが多かった。
私はなくなってしまったがいいものはなくしてもいい。価値のある印刷物だけ残ればいいと考えている。

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SIer(エスアイヤー、システムインテグレーター)でも、ECを構築し、商品を購入してもらうことならそこそこできるが、ベストで印刷物を届けるには印刷技術を知らないといけない
もちろん、今考えなければならないのは「紙vsデジタル」ではない。

さて、デジタル印刷機は現在、サイズがB1、印刷速度も1時間に13000枚とオフセットに迫る性能になっている。
さまざまな意見があるが、これはすでに活用できるればると言える。

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「ベルギーの保険会社」の事例では、電子媒体で広告の訴求を目指していたが、うまくいかず、カタログマガジンに切り替えた。
このカタログマガジンは、7000万パターン以上でパーソナライズされている。

このカタログマガジンの結果、顧客は問い合わせがある場合80%もオフィスに訪ねて来てくれるようになった。
これにより営業の形態が変わり、アップセル(高価格商品への移行)やクロスセル(関連商品の購買)までできた。
紙はゲリラ的なメディアとしては、かなり強いものなのだ。A4サイズ1枚の情報はかなり多いともいえる。

ニュージーランドのスーパーマーケット「ジェネラルストア」は、スーパーで出しているチラシ(ブックレット)をトランスプロモタイプに変更した。
これにより、チラシ時代に比べ売り上げが7%上がった。
一方、印刷コストは30%下がった。

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24Pのブックレットを、A3見開き両面に替えた結果だ。1枚のコストは高いが、効果を上げることで、コストを下げたのだ。

当社でもパーソナライズDMのお手伝いを多くしてきたが、売り上げが下がった事例は一つもない。
紙はeメールのようにすぐ捨てられることはなく、長いものでは3カ月手元に置いていることもあるという。

販売のシステムとしては「マーケティングオートメーションツール+POSシステム×リアルタイムプリンター」という形になる。
最新の傾向では、米国ではリアル店舗にお客が戻ってきている。
また、広告の支払先が広告代理店ではなく、リアルにデータドリブンができるコンサルティング会社となっている。

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間違いなく今後は「デジタルwithペーパー」がキーになる。


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