【2016年10月31日】インクと言えば、ペンや筆に付けて使う顔料や染料を使ったあのインクを思い出す人がほとんどだろう。プリント業界では当たり前に使われているあの液体だが、そこに「デジタルインク」という新たな考え方を持ち込んだイベント「Connected Ink(コネクテッド・インク)」をご存じだろうか。
「Connected Ink Tokyo」は10月27日、東京都中央区のベルサール汐留で日本で最初のイベントが開催されるというので、記者もその新しい考え方を知ろうと参加した。
このイベント、主催は前日の10月26日、米国・デラウェア州に設立されたばかりの非営利団体「デジタルステーショナリー コンソーシアム インク(dsc、デジタル文具協会)」。
団体はペンタブレットや液晶タブレットでおなじみのワコムが中心となり発足し、「デジタルインク」の考え方を進めていく。
27日に開催された「Connected Ink Tokyo」では、「デジタルインク」の話を中心に、デジタル文具関連のオピニオンリーダーがスピーチやパネルディスカッションを行った。
オープニングではオシャレな動画が流され、一般的な協会主催イベントとは「一味違った感(?)」を醸し出している。
レポート1では「クリエイティブな未来に向けて」のテーマで、ワコムの山田正彦社長兼CEOが行ったキーノートスピーチを紹介する。
インクの誕生は口に含んだ泥を壁に吹きつけ、そこに手形を押したところから始まるという。おそらくそれに誰かが感動し、誰かにこれを見せたい、伝えたいと思ったところから、使われ始めた道具だ。
長い間、社会で伝達手段はインクだった。哲学や思想もすべてインクが伝えてきた。
ワコムは30年前から「デジタルインク」に関わる仕事をしている。今では自動車やスニーカーのデザインなどデザイン関連は、ほとんどがデジタルインクでデザインされている。
以前は、アナログとデジタルは別物であったが、今は一つになった。
グーテンベルクが活版印刷を発明し、聖書が普及して、多くの人が同じテーマで考えられるようになった。
今は、クラウドテクノロジーなどにより、世界中の人がつながるようになった。
今こそ、インクにデジタル技術のパワーを加えていくときだ。
われわれが今回行う提案は、この「デジタルインクの開発や普及を一緒にやりませんか」ということ。
すべての人がOSやエコシステム、業界を超えてアイデアを共有できる時代になった。
そこで設立したのが「デジタルステーショナリー コンソーシアム インク(dsc、デジタル文具協会)」だ。
「長期的」に、「オープン」に、「共通のプラットフォーム」で、「新たなオープンエコシステム」「ユーザーのためのクラウドプラットフォーム」を作っていくことが目的。
このdscは企業はもちろん、業界、文化を超えた運動にしていく。もちろん、ワコムのコンペティターからの参加も可能。
「インクがアナログからデジタルになる」というこの「グレートジャーニー」に参加してほしい。この旅は1、2年で終了するものでなく、10年、20年と続く大きな旅だ。
ともに旅をしよう。
記者の感想としては「グレートジャーニー」という言葉に、この運動の大きさが分かる気がした。
デジタル化されたというとなんとなく分かった気になっていたが、プリントされるものとデジタルデータどちらも「インク」という認識を持つことで、イメージの輪郭がしっかりしてくる。
この後、ワコムのハイディ・ワンテクノロジーマーケティング担当副社長がワコムが立ち上げたプラットフォーム「WILL」について、さらに同社の井出信孝テクノロジーソリューション事業部長が電子ペンの概念を変える「ユニバーサルペン」について講演した。
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