【2017年4月17日】昨年、ドイツで開催された世界最大の印刷関連機材展「drupa2016」。
印刷機メーカーからはデジタル印刷機について多くの提案があった。
「シリーズ デジタルプリント」では、印刷機メーカーを中心にデジタルプリントにかかわる企業を取材し、デジタルプリントについて現状や将来を明らかにしていく。
今回はハイデルベルグ・ジャパン デジタルビジネス本部の土屋弘太郎本部長、尾幡征崇プロダクトマネージャーに話を聞いた。
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――貴社のデジタル印刷機の現状はいかがでしょう
土屋 当社は1997年からデジタル印刷機の部門を展開しはじめ、一時は「Digimaster(デジマスター)」のブランドを展開していましたが諸事情により、そのブランドは2004年に売却しました。その後2011年、一度は売却したデジタル事業ですが、株式会社リコーとのグローバルな戦略的協業について合意し、リコーのプロダクションプリンティング製品の取り扱いを開始しました。
高品位な従来のオフセット印刷に加え、付加価値の高いバリアブル印刷やオンデマンド印刷をご提供することで、お客様の幅広い需要にお応えしようとするものです。そして、2015年には、ハイデルベルグ独自のDFE(デジタル・フロントエンド)「プリネクトDFE」とリコーの「RICOH Pro C7100、C9100シリーズ」を組み合わせた「ライノプリントCV/CP」を国内にて販売を開始しました。
2016年にはブランド名を「ライノプリント」から「バーサファイア」に変更しています。
さらに、インクジェットの分野では、富士フイルム株式会社との協業によるB1サイズのデジタル印刷機「プライムファイア 106」をdrupa2016にて参考出品しました。この全く新しい枚葉インクジェット印刷機は、両社の協業の結果生まれた最初の製品で、B1サイズのデジタル印刷分野で新しいビジネスモデルを確立するものです。
また、立体物への印刷に対応した「オムニファイア」など、これまでとは違った印刷機もラインアップしました。
このほか、海外ではシール・ラベル向けの「ラベルファイア」も展開しています。
デバイスとしての印刷機の可能性は広がっているので、当社は紙へ印刷するというレガシーは大事にしながら、新たなマーケットに参入しています。
――「プライムファイア 106」など、貴社の印刷機についてもう少し詳しく教えてください
土屋 「プライムファイア 106」はオフセット印刷機「XL」シリーズの搬送部分をベースにしており、ヘッドに富士フイルムの「SAMBA」を搭載したものです。
検査用のカメラ4台を搭載しており、白線の検知のほか、エラー検知により、損紙を取り除き、混入を防ぐという機能も搭載しています。
印刷解像度は1200dpi、印刷速度は毎時2000枚までとなっており、生産機としてリアルな力を持った機械です。
フラグシップ機は将来的には毎時4000枚の生産性を持たせたいと思っています。
販売は2018年以降を見込んでいますが、今年(2017年)1月より米国ニューヨークに本社を構えるマルチ・パッケージング・ソリューション社のドイツ・オーバーズルム工場で試験運転をスタートさせました。
尾幡 また「バーサファイア」については「バーサファイアCV」が柔軟性にすぐれた付加価値の高い印刷物が提供できるモデル。「バーサファイアCP」は拡張性にすぐれた高生産モデルとなっています。
――デジタル印刷機にはランニングコストが高く、品質がオフセット並みではないという声もあります
尾幡 確かに今のところ、オフセット印刷よりランニングコストが高いというのは間違いありません。
これはやはり当社も、ユーザーである印刷会社様も、ビジネスの考え方を変えて高付加価値のビジネス提案をしていくことが大事だと考えています。
また、品質は限りなくオフセットに迫っておりますが、別物であることには変わりません。
先ほども申しましたように、印刷機で取り扱うコンテンツの方が重要で、何に使うか、どういったビジネスを行うのかを一緒に考えていきたいと思っています。
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