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【この人に聞きたい】トッパンインフォメディア シール・ラベルのオンライン印刷サービス「HappyLabels」を開始 柿沼健一係長に聞く

【2021年9月16日】トッパンインフォメディアはこのほど、シール・ラベルに特化したオンライン印刷サービス「HappyLabels(ハッピーラベルズ)」を開始した。
この事業は、オランダのHappyPrinting B.V.協業で行うもので、同社は世界15カ国の印刷パートナーと連携し、オンライン印刷プラットフォームを提供する。

「HappyLabels」はオンラインでの注文、より迅速な配送、少量多品種の需要が高まり対応するための新しいサービス。最新のデジタル印刷機「HP Indigo」により最短5営業日出荷と最少1,000枚から注文できる。
今回はトッパンインフォメディア事業企画本部の柿沼健一係長に話を聞いた。

 

「HappyLabels」と提携の理由

――「HappyLabels」いつぐらいから、どのような準備で始められたのでしょう
新型コロナウイルスの感染拡大が始まった頃から計画を練り始めました。営業に行けない、展示会に出展できない、そして新規のお客さまにアプローチできないという中で、次の一手を考えたとき「Web to Print」への本格展開に向けたプロジェクトへ着手しなければと思いました。

――その中で「HappyLabels」での展開を選んだのはどうしてでしょう。自前で一からつくるという考えはありませんでしたか
「HappyLabels」に関しては、海外での展開を前から知っていたこともあり、いくつかのプラットフォームを比べる中でもっともいい方法と考えて選びました。
自社で一からくみ上げる「スクラッチ方式」の場合、時間や費用が掛かりすぎてしまいます。また、その設計を管理する人材を当社ですぐには用意できず、今から育てることは難しいと考えました。
そこで、もともとプラットフォームを持っていて、欧州で成功を収めている「HappyPrinting社」との展開を模索したのです。

――「HappyLabels」はどこで知ったんでしょうか?
この事業で使用する印刷機「HP Indigo」を通じて知りました。HPに関わる事業プログラムの中に名前があり、そのシステムや構想などに共感を覚えたのです。

――トッパンインフォメディアと言えば、ラベル関連では大手。今回のように非常に数量の小さい商材を扱うことにどのような意味があるのでしょう。また抵抗はありませんでしたか
少量への対応についてですが、当社のメイン工場は福島県にあり、1ロット数万から数十万枚単位のラベルを製造しています。
一方で年々、顧客からの受注は、少量・多品種にシフトしている現状もあり、ひしひしと少量生産の需要は感じていましたが、当社では小ロットへの対応が十分ではない状況でした。
当然社内では小ロット向け事業であるWeb to Printには厳しい意見も多くありましたが、顧客ニーズへ柔軟に対応できる企業となるべく、各セクションと連携してプロジェクトを進めることができました。

――厳しい意見があったというのは?
これはBtoBでやってきたどの会社さんも同じだとは思いますが、少量受注の場合、売り上げの大きさに比して、営業の手間だけがかかるため、利益率が下がるという現象が必ず出ます。このケースでは、数多くの仕事をこなさなければならず、なかなか営業担当自らが、この世界に進出しましょうとは言えないですし、会社自体も手を出しづらいと思います。
しかし「HappyLabels」のプラットフォームを使えば、これが解決できるのです。営業の細かなやり取りから入稿までをプラットフォーム上で行うため、営業の負担を大幅に軽減し、今までの課題を、一つのツールで解消できるようになったのです。

 

どう受注し・どうつくる?

――受注のフロントエンドはどのように構築し、どのようなフローでしょうか
日本語サイトをHappyPrinting社とともに構築しています。ラベルの形状、サイズ、用紙、ニス、巻き方向、数量などを選択し、金額確認、デザインを入稿すれば決済後に、ラベルが納品されます。
Illustratorなどのデザインソフトを持っていない方でも、サイト上にエディターとデザインシミュレーターがあるので、これを使ってデザインできるなどハードルを下げています。


シンプルなエディターの画面

――受ける方はオールデジタルで自動的にプリントするんですか?
いいえ。
さすがにそこまでの自動化はできていません。現時点ではDTPスタッフがプリフライトを行い「HP indigo」で生産します。
もちろん、将来的には完全な自動化によりスムーズな受発注から商品の配送を実現すべく、ワークフロー等の検討を行っています。

――後加工は、そのたびに刃型をつくって抜くのですか?
こちらも、いいえです。
今は、定型サイズのみの販売にしています。丸や四角などの用意された形状とサイズのラベルにプリントすることで少量生産を実現できるという仕組みです。
ただ、異形のラベルも要望があると思うので、今後はこれに応えられるようレーザー加工機の導入も準備中です。

 

ラベル専門ならではの特色を

――PRなどの戦略はどのように行いますか
現時点では大規模プロモーションは行っておりません。しかし協業する「HappyPrinting社」はマーケティングも得意としているので、海外で実績のあるオンラインのマーケティングを活用し、日本でも的確に、このプラットフォームの情報をお届けしていきます。


「HappyLabels」発表時。スタッフが「HP Indigo」の前で(右から二番目が柿沼氏)

――コンペティターは?またその中で打ち勝つ特長は?
ここが競合というのは特にないですが、印刷通販大手はベンチマークしています。多くの印刷通販は先進のシステムを使い、我々より先を走っていると思うのでこれを見習い、追いついていかなければならないとは感じています。
特長ですが、ラベルは当社の専門分野なので、印刷も抜きもラベルのプロが作ったものを提供できます。ギャンギング(複数のデザインを一度に印刷する)をせずに生産することで、色ブレ少なく、顧客の要望に近い仕上がりを提供できます。
それでも金額が倍なら、お客さまに選んでいただけないでしょうから、当然、ご納得いただける金額で商品を用意しています。

――最後にユーザーにメッセージを
この事業では基本的に、従来当社と取引のなかった、新規のお客さまを想定しています。やはり、数万枚から数十万枚という大ロットでは出会うことの出来なかったお客さまは多く存在しますし、このお客さまへは当社の製品・サービスの提供ができていませんでした。このギャップを埋めていきたいと考えています。
当社では、ラベルだけでなくラベラーの販売も行っており、従来の大量印刷と大量ラベリングのイメージから脱却し、Web to Printの活用で今後はさらに顧客を広げていきたいのです。
印刷通販としては後発になるので、他の印刷通販サイトにはない「トッパンインフォメディア」の色を出していきたいと考えています。
そのため、ラインナップ製品・サービスの準備を進めておりますので、ご期待ください。

HappyPrinting
https://www.happylabels.jp/

トッパンインフォメディア
https://www.toppan-im.co.jp/

 

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