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【この人に聞きたい】オンラインセミナー「『大川、SDGsやめるってよ!?』」って本当なの!? 大川印刷 大川哲郎社長

【2021年9月6日】大川印刷では今年6月、オンラインで、セミナー「『大川、SDGsやめるってよ!?』~儲けるだけのSDGsはもういらない~ 第3回SDGs報告(再考)会」を開催した。
同社は地域や社会の活動への支援により、長年の顧客である崎陽軒や佐藤製薬などを中心に取引があり、外部からの評価や信頼を着実に作ってきた印刷会社。
SDGsに取り組みはじめてからは4年。しかし、コロナや気候変動など、臨界点を超えたような現象が起こる今、クライアントと事業者という従来の関係性を見直し、社会に対してこのセミナーで問題提起を目指した。

今回は、同社の大川哲郎社長にこのセミナーやSDGsに関する取り組み、業界への思いなどを聞いた。

 

大川印刷 大川哲郎社長

――「SDGsやめるってよ!?」についてですが、本当にやめるんですか?
いいえ、さすがにやめません。

――よかった。ではなぜこの刺激的なタイトルに?
タイトルについてですが、「行動の襟を正す」という意味を込めました。
最近のブームのような、イメージアップのような、そしてSDGsには至っていない企業の活動に対する警鐘の意味を込めています。そもそも「SDGsを活用する」と言いますが、あれは目標であって、それを活用するものではないとも思っています。

――SDGsは一歩後退ではなく、そのエコシステムに乗って利益を出してもいいのでは?
はい。
確かにSDGsを守りながら、正しく稼ぐことは悪いことではありませんが、順番が逆だと思うのです。
SDGsは荀子の言葉に「先義後利」というのがあります。意味は、まず道義を優先させ、しっかりとした目標を目指しこれを達成し、利益はこれについてくるものだ、という考えです。
でも多くの企業が行っているのは逆の「先利後義」です。これはSDGsの理念にも反したものだと思うのです。SDGsは2030年のゴールを目指しており、これを無視しているようなものまでがその活動をしていると公表しているのです。

――そんなにひどいのですね。
はい。
SGDsの目標の17番にある「パートナーシップ」ですが、これを本気で取り組み、どれだけ他社と繋がっている企業があるのかということです。
日本では、花王とライオンのプラスチック容器の共通化など数例しかない状況です。

また、「SDGs セミナー」で検索すると、「SDGsが生き残りの条件だ」「勝ち残りのSDGs」なんてタイトルがいっぱい出てきます。
生き残るというのは、誰かが死ぬということでしょ。「だれ一人取り残さない」というのがSDGsの精神なのに、それが感じられない、こんなバカなタイトルのセミナーが横行しているんですよ。

――実際、大川印刷のSDGsの取り組みはどういったものでしょう
サプライチェーン全体のCO2 の排出量を削減していくために、用紙メーカーやインキメーカー、製本会社など、パートナー企業とともに、脱炭素の勉強会無料で行っています。
究極を言えば、パートナーシップは競合とも握手をしてゴールすることだと思っています。
また、本社の屋根には太陽光発電用のソーラーパネルを設置しており、自社の電力の一部を賄っています。

――今回、セミナーを有料で配信されました。その反響は?
2回目の有料配信でしたが、非常に反響強がありました。
当初、有料で開催することに対しては非常に迷ったのですが、536名の登録がありました(うち学生は無料)。
終わった後からも反響があり、アーカイブ配信を延長してほしいという声があり、これに応えました。
こういったセミナーでは珍しく、アンケートの回収率も、非常によく約140名の方から回答がありました。プレゼントを用意したというのもあるのかもしれませんが(笑)。

――セミナーではもう一つ見えたことがあるとか
セミナーは、当社の若手社員が中心になって企画したものです。また、インターンシップの学生さんも参加してもらいともに企画を立て実行してもらいました。
この若手とインターンの活躍は素晴らしかったと感じていますし、社員も力になったと思います。

当社のインターン制度は、2008年から社会課題解決に関心のある学生を招き、行っています。当初は近隣の学生さんのみでしたが、秋田や神戸の大学から参加した方もいます。
基本的には、身の丈に合ったものをやっているだけですが、こういったこともすべて、本業を通じた社会課題の解決と思っています。
従業員には、常に「地域や社会に必要とされる人と企業になろう」と呼び掛けています。

――SDGsを掲げる企業へメッセージを
何のため、だれのために取り組むかを外さないで、ブレずに続けることが大事だと感じます。
ブームとしてやるならそれまでですが、SDGsは2030年がゴールですから、そこまでに結果が見えるはずです。
我々は会社で起こることや、目の前の問題だけにとらわれることなく、社会の課題を解決することが使命と感じています。
逆に、社会の課題や問題がなくならない限り「わが社も死ぬことはできない」と思っています。

 

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