【2017年2月6日】昨年、ドイツで開催された世界最大の印刷関連機材展「drupa2016」。
印刷機メーカーからはデジタル印刷機について多くの提案があった。
「シリーズ デジタルプリント」では、印刷機メーカーを中心にデジタルプリントにかかわる企業を取材し、デジタルプリントについて現状や将来を明らかにしていく。
第1回はデジタル印刷のリーディングカンパニーと言える日本HP 。
HPは昨年の「drupa2016」で、出展社の中で最大の展示面積となるブースを出展した。
業界からは、「名実ともに印刷業界のリーディング企業となった」という声が多い同社の、drupa後の現状や今後の展開、また昨年リリースした「HP PrintOS」について、日本HPデジタルプレス事業本部マーケティングマネージャーの山田大策氏に話を聞いた。
―drupa2016での展示のテーマなどを教えてください
「drupa2016」におけるHPのテーマは「Reinvent Your Possibilities」。
HPのデジタル印刷の歴史は、70年代後半までさかのぼります。以来、進化を続けるHPのデジタル印刷技術が切り開く新たなビジネスの可能性について世界中のリーダーと共有してきました。
「drupa2016」では新たに発表した新技術、新製品に加え、drupa2012で発表した技術を実際に活用して生まれた数々のビジネス実績の展示に対し、そのスケールの大きさとスピード感について大きな反響をいただきました。
―展示内容については
一言では言えないほどの多くの製品を出品しました。
大まかに分けるとIndigo液体現像方式とインクジェット方式があり、さまざまなセグメントの機材がそろいました。これにより多くの分野をカバーできるようになりました。
会場では看板のような大判サイズから、ラベルのように小さなものまで印刷する機材を一堂に展示しました。
一般的にデジタルは少量から中量生産向きと思われていますが、大量生産向きの製品もあります。B1判に対応する輪転型の「HP Indigo 50000デジタル印刷機」は、特に注目を集めました(KADOKAWAに導入予定)。
また、ブースではプリプレスやポストプレスのパートナー企業50社以上を紹介することができました。これらパートナー企業の製品を実演することで、印刷の前段階から後加工までを一貫して提案できたということが、ホール17をすべて使用する価値であったと感じています。
―導入事例などの展示も多く見受けられました
デジタル印刷機の導入が進んだことで、多くの事例も展示できました。コカ・コーラなど話題になったキャンペーンを始め、世界中でHPのデジタル印刷技術がどのように使われているのかが来場者が一目で分かったのではないでしょうか。
それぞれのキャンペーンがブランドにどのような影響を与えたのかまで検証して報告できたことから、こちらの展示については印刷業界内外から反響が大きかったと感じています。
―印刷業界からだけの注目ではなかった?
実際、国内外から数多くのブランドオーナーにご来場いただきました。
デジタル印刷の活用がマーケティングリターンを生み出している事例や、実際のサンプル展示、そしてこれまでにはない特殊効果を実演した次世代インキの技術展示に注目が集まりました。このような技術の進展がマーケターにとって新たな成長の可能性として注目されていることを再認識しました。
―マーケティングですか
例えば、アパレルブランド「ZEB」×SYMETAの事例ですが、版を使用しないデジタル印刷により、顧客一人ひとりの購買履歴や好みによってチラシをカスタマイズしました。
このキャンペーンは一般的なチラシに比べプラス45%の投資効果が報告されています。
マーケティングの潮流としてオンラインベースの施策が増える一方で、アドブロックのようなデジタル広告をブロックするアプリケーションのダウンロード数が増えるなど、若者を中心とするデジタルネイティブ世代にはむしろリアルなDMやパーソナライズされたカタログの反響が高まっています。
デジタル印刷を使った印刷物にはこういった、タッチポイント(顧客接点)の強みがあることが分かってきています。
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