【2021年7月13日】大日本印刷(DNP)とトーハンは、今年4月1日に合意書を締結した。
提携はそれぞれの強みを活かし「読者に、読みたい本を確実に届け、読者の裾野を広げていく」ことが目的。出版流通を持続可能なものとすることを目指し、生活者起点の出版流通改革「出版デジタルトランスフォーメーション(DX)」に取り組む。
課題解決に向けた「4つの改革」として、以下のことに取り組む
①製造・物流改革:製造と物流の連携による適時・適量の配本体制の確立
②情報流通改革:読者の需要情報(注文・購買)や書店・出版社の在庫を共有する情報基盤の確立
③商流改革:読者の需要に応じたマーケットイン型販売体制の確立
④販促改革:書店の顧客向けのマーケティング力の強化、新たな読者獲得手法の提供
取り組みの第一弾として、これまでDNPが丸善ジュンク堂書店と共同で整備してきた書籍流通センター(SRC)を、新たにトーハン桶川SCMセンター内に設置。トーハンの倉庫・物流機能との連携を強化して、「①製造・物流改革」を推進する。設置時期は2022年夏~秋を予定している。
また、1冊から製造可能なDNPの書籍製造一貫工場(白岡工場)との連携強化や、出版社倉庫との連携拡大により、「②情報流通改革」としての適時・適量の配本を実現する。
これらの取り組みを土台とし、「③商流改革」の一環として、読者ニーズを起点とした共同仕入の取り組みを進めるとともに、「④販促改革」として書店での販売力の向上を図っていくという。
背景には、日本の出版流通市場全体の売上減少傾向やネット通販の拡大などがあり、物流ネットワークの逼迫と相まって、流通全体の変革が求められている現状がある。
こうした状況に対して両社は、生活者を起点とした全体最適の視点に立ち、必要とされる出版流通の基盤を再整備。これに最優先で取り組むことにより、物流の合理化や出版社の返品在庫の廃棄極小化を図り、「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成にもつなげるという。
今回の両社の連携により、マーケットの需要に応じた配本を強化し、出版流通市場全体で書店の欠品をなくし、販売機会の増大を目指す。
同プロジェクトには、すでにオーム社・偕成社・河出書房新社・新星出版社・ポプラ社・有斐閣等、書店では三省堂書店などの出版社が参画の意思表明をしている。
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