【2016年11月2日】インクの世界に「デジタルインク」という新たな考え方を提唱し始めたイベント「Connected Ink(コネクテッド・インク)」が10月27日、東京都中央区のベルサール汐留で開催された。
主催は米国・デラウェア州に設立されたばかりの非営利団体「デジタルステーショナリー コンソーシアム インク(dsc、デジタル文具協会)」。
レポート3では、ワコムとパートナー企業からパネラーが参加し、デジタルとアナログ、その融合などについて語ったパネルディスカッション「デジタルペンとインクについて」をお届けする(要旨)。
あのワコムが仕掛ける「コネクテッド・インク)」って何!?【イベントレポート1】
あのワコムが仕掛ける「コネクテッド・インク」って何!?【イベントレポート2】
ワコム デジタル文具に関する非営利団体「デジタルステーショナリー コンソーシアム インク」を設立 開発と普及を推進
参加したパネラーは以下の通り。
ワコム………………………井出信孝氏
ワコム………………………岸田茂晴氏
コクヨ………………………長司重明氏
呉竹………………………竹本卓主氏
ニューロスカイジャパン…伊藤菊男氏
ワン・トゥー・ドライブ………梅田亮氏
デジタルとアナログといいますが、手書き(描き)とは何か
竹本 年賀状を手書きで書く方は?(会場では一人が手を上げる)。では、一筆手書きを入れるという方(半数程度が手を上げる)。やはり、印刷でも一筆手書きを入れる方は多い。手書きで一筆というのは感情がこもっていて、伝わりやすいからで、手書きの文字には感情がある。
井出 私も呉竹さんの写経セットを買ったのだが(笑)、「昔の人はどんな気持ちでこれを書いたのだろう?」と手書きの文字を見つめて、考えながら写経をしている。それが自分を見つめ直すきっかけにもなる。
竹本 昔、同じものを書いた人がいる。それを共有できるというのは手書き文字の良さだ。
井出 我々が取り組む「ユニバーサルペン」では、思いを伝えることも目的にしている。また、これまでアナログでは消えてしまっていた人が生まれてから、死ぬまでに書いたものすべてが(データとして)残る可能性がある。
「ユニバーサルペン」は一生を背負う、自分と向き合うツールになる。
文具大手としてコクヨさんは「デジタルインク」をどう考えるか?
長司 当初、文具屋としては「デジタルは脅威」と考えていた。そして、どうせ(文具市場を)崩されるなら自分たちで、崩そうとデジタル文具を始めた。
ところが、単純にデジタルに移行しても、手書きは意外に生活のさまざまなところで発生している。これをいかにデジタル化するかという課題があり、これらを解消するには今のデジタル・IT文具よりも簡単に使えるものが必要だ。
だから、こういったイベントにパートナーが集まることは非常に楽しみ。
岸田 デジタル化が進展しているといわれていますが、現在もFAXは200万台が稼働している。実際のオフィスでは手書きが多いのだ。
よく企業が行う間違ったデジタル化で「パソコンやタブレット端末を配るだけ」というのがあるが、こういったものは、だいたいたくさんのお金をかけ人件費をつり上げて取り組んでいる。紙一枚回せば数百円で済むことなのに。
ワコムでは、こういった問題にも取り組んでいる。
生体認証や感情の認識もできるそうですね
伊藤 我々の作ったシステム(「感情を伝える手紙」)では、脳波から感情をデジタルインクにとり込み、書いたときにどのような気持ちだったかなどをデータ化。今まで残せなかったものを可視化し、残すことができる。
梅田 この感情がわかる文字に接することで、文字というのは「もう一人の自分なのだ」と感じる。
こういったシステムを使えば、ビジネスメールでも、もっと気持ちを伝えられる仕掛けができるはず。
さらには文字の持つ感情の「ビジュアライズ(可視化)」から、IoTやAIとの組み合わせで「レコメンデーション(推奨)」といったことも可能になる。
文章の組合わせで「破断になりやすい商談メール」が分かったりしたら面白い。
井出 確かに、ニュアンスの分かりやすいビジネスメールなどあったらいい。表現の一環として、感情データが残った文章というのはいいと思う。
竹本 俳句なんかも感情のデータと一緒に書きつけられたら面白い。
梅田 連歌なんか面白いかと(笑)。
最後に井出さんまとめを
井出 今回のイベントのように手を取り合ってパートナーになっていくことが素晴らしい。
「アイデア×アイデア」「インクとインクのスパーク」といったものが、この短い時間ではあったが、感じられたと思う。
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