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「Amazon Dash Button」がついに日本上陸! 押すだけで商品が届くシステムで世の中はどう変わる?

【2016年12月6日】はるか昔、記者の母が「押したら、お醤油買ってきてくれるボタンはないものかね~」などと言っていたが、とうとうその思いが叶ったようだ。

アマゾンは12月5日、ワンプッシュで商品が届く「Amazon Dash Button(アマゾンダッシュボタン)」を発売した。

「アマゾンダッシュボタン」は、キーホルダーサイズのボタンを押すだけで、洗剤や清涼飲料、紙おむつなどが自宅に届くというサービス。
本体価格は500円だが、初回の注文時に商品価格から500円割引されるため、現在は実質無料で手に入れられる。
アマゾンダッシュボタン Amazon アマゾンダッシュボタン Amazon

使い方は、ボタンをスマートフォンに連携し、Wi-Fi環境のある場所でボタンを押すだけ。1回の注文すると商品が届くまで、押しても注文はされず、重複注文の心配はない。
ボタンの表面には注文できる商品をイメージするラベルが貼られており、注文する商品は一目瞭然。裏面はシールになっており、好きな場所に貼り付けて使用できる。
使用対象者は現在、アマゾンプライムの会員(年間3,900円・税込み)に限られている。

アマゾンダッシュボタン Amazon

 

「アマゾンダッシュボタン」今後の展開は?

「形になったIoT」と言われるこの商品。
米国では2015年3月末に発売されており、日本では1年半以上遅れてのサービス開始。米国ではすでに200ブランド以上のラインアップがあり、売り上げも伸ばしつつある。
プリント&プロモーションでは今後、日本ではどんな展開が見られるかを、少しだけ予測してみたい。

アマゾンダッシュボタン Amazon

まずは当然、「プロモーション用」の販促品として配布されるだろう。今の初回は商品価格から500円引きも、ある意味販促品としての使い方だ。
洗剤やシャンプー、紙おむつ、水などは、まとめ買いセットなどにおまけとして、このボタンを付ければ、安定的に継続したリピートが得られる。メーカーとしては「囲い込み」に、配布したいと考えているのは間違いない。
ただし、小売店などで配布することは、商品の性質上難しいだろう。

「アマゾンダッシュボタン」ブランド一覧
アマゾンダッシュボタン Amazon

他の商品のノベルティやおまけとしての配布もあるかもしれない。
炊飯器のおまけとして、お米や水をリピートできたら、子供服と一緒におむつをリピートできたら、これはなかなか便利。

表面にプリントできる仕様になっているので、アマゾンが許すならばだが、企業名などを書いたプレミアムツールとして配布することも可能だろう。
自動車ディーラーや住宅販売、保険会社といった高額品を販売する会社は、販売・契約後、または来店者への記念品として渡すには、珍しさもありちょうどよいのではないだろうか。一時期の(今でもあるが)USBメモリーのような使われ方だ。

 

さらに近未来の「アマゾンダッシュボタン」は?

もっと直接的な「プレゼント」としてはどうだろう。
一人暮らしを始める若者にこういったものは便利かもしれない、単身赴任の旦那様に持たせるというのも考えられる。

「囲い込み」という点では、ミュージシャンやアイドルがファンクラブなど向けに販売し、新曲が出るたびに、ボタンを押せば購入できる、チケットの優先予約ができるといったサービスも可能だろう。

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法律的な問題があるかもしれないが、一部の医薬品などで採用されれば、交通が不便な地域で、薬を取りに行く手間を省ける。
これにはお年寄りの「見守り」といった機能も期待できそうだ。遠隔地に住んでいる家族にお年寄りがボタンを押したかどうかを確認できる機能なども実装は可能だろう。

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これはシステム自体に関わるため、すぐには実現しないかもしれないが、夕飯の食材やお昼のお弁当が届くサービスはどうだろう。
「買い物ができない」「昼食を社外で食べる時間がない」という日には、既定の時間までにこのボタンを押せば、その日の食材や食事は確保される。何よりスマホやパソコンを、いちいち開かなくていいので、忙しい人に向いている。
会社や工場などで社員に配布しておけば、その日の仕出しの数を確認する必要がなく、スムーズに昼食を提供でき、総務の省力化や福利厚生の一環にもなりそうだ。

これらのサービスで必要な機能をすべて満たすのは、今のボタンの形では難しい。近い将来、小型の液晶とタッチパネル付きの買い物専用端末の発売も考えられるのではないだろうか。
こういったものができれば、関連商品の購買を進める「クロスセル」や、より上位商品への誘導を行う「アップセル」も可能になる。

 

米国では前年比5倍の売り上げ 日本の流通はどうなる?

いずれにしろ、アマゾンダッシュボタンが普及すれば、流通業はマイナスの影響を受けざるを得ないだろう。
大手流通はこれを追いかけないのだろうか。

かつて書店や出版社は、アマゾンを今までもあった「ネットの書店」と思い込み、ほとんど対抗策を打たなかった。
アマゾンダッシュボタンにより、ある意味聖域だった日用品がリピートされるようになれば、街の路面店は現在の書店と同じようになる可能性がある。

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米国での「アマゾンダッシュ」による売り上げは現在、スタート時の5倍。これを多いと取るか少ないと取るかだが、どこかでブレイクスルーが始まれば、インフラ整備は終わっているので、あっという間にリピート品の購買事情は変わりそうだ。

冒頭で書いたように、昔も今も主婦は「押したらお醤油を持ってきてくれるボタン」を必要としている。
流通業界に対抗策はあるのか、それを実行できるかが今後を決めそうだ。

アマゾンダッシュ
www.amazon.co.jp/dashbutton

 

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