【2025年11月25日】エプソン(長野県諏訪市)が、令和7年度関東地方発明表彰で「長野県知事賞」を受賞した。小型・高密度・低コスト構造を特徴とする液体噴射ヘッドの発明が評価されたもので、受賞式は20日、茨城県の水戸市民会館で行われた。

地方発明表彰は大正10年に始まり、全国を8地方に分けて優れた発明や考案に取り組む技術者・研究者を顕彰する制度である。今回受賞対象となったのは、圧電方式の液体噴射ヘッドに関する技術で、エプソンが保有する特許(特許第5958568号)を基に実用化されている。
本技術では、圧電素子に薄膜ピエゾ材料を使用し、その材料を絶縁膜として兼用する構造とした。これにより構成膜の数を減らしつつ変形量を大きくする仕組みを実現し、噴射性能の向上につなげた。さらに、変形時に応力が集中する位置を基板側に配置し、その部分に金属配線層を積層することで剛性を高め、小型化と高密度化、低コスト化を同時に達成した点が特徴である。
液体噴射ヘッドは、エプソンのインクジェット技術「PrecisionCore マイクロTFPプリントヘッド」に採用され、同社のオフィス向けおよび商業・産業用途のプリンタに搭載されている。国内外の印刷現場で広く稼働しており、高精細なデジタル印刷の普及に寄与してきた。エプソンは同プリントヘッドを外部メーカーにもOEM供給しており、多様な製品での採用が進んでいる。
受賞者はエプソンの技術者を中心とする11名で、開発設計、品質保証、分析CAE、システム設計など多岐にわたる部門の担当者が名を連ねた。
同社は、インクジェット技術の高度化と小型化、低消費電力化を継続して進め、幅広い印刷分野での実装を図る方針である。
プリンタ(インクジェット)技術
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製品情報:インクジェットソリューション「インクジェットヘッド」
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