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【この人に聞きたい】グラシン紙を使ったファイル・封筒を提案「グラスシリーズ」とは!? 吉田印刷所(新潟)吉田泰造社長


【2022年5月18日】吉田印刷所(新潟)は今年、新製品として素材にグラシン紙を採用しクラフト紙と貼り合わせた封筒「グラス封筒」を開発した。
同社では今年3月に、紙製クリアファイル「グラスファイル」を発売したばかり。
今後、この透明度の高いグラシン紙を貼り合わせ加工する技術を、自社ブランド「グラスシリーズ」として売り出すつもりだ。
もともと、薄紙の印刷では定評があった同社が挑む自社ブランドについて、開発の経緯や現状、今後の展望について同社の吉田泰造社長に聞いた。

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薬袋の技術を応用

――薄紙の印刷加工では実績を知っていましたが、「グラスシリーズ」は面白い商品ですね。知ってすぐに取材をさせていただきたいと思っていました
ありがとうございます。
驚いていただいて嬉しいのですが、当社としては既存製品の製造の中から生まれたので、反応にびっくりしています。

――従来の製造品の中から生まれたものなんですね
当社はもともと病院や薬局で薬をまとめて入れるのに使われる「薬袋(やくたい)」を作っていまして、そこから派生した製品です。
この薬袋は、2枚の紙の四辺を貼り合わせた後、一辺にスリットを入れる事で袋状にしているのですが、この“2枚の紙を貼り合わせる”方法により製品に紙の折り返しが存在せず、平滑性が高い薬袋であるとご好評を頂いておりました。

開発では、製袋をさまざまな紙に変えて試行錯誤しました。さらにその中で、貼り合わせる2枚をそれぞれ別の紙にしてもいいと気づき、グラシン紙を使った貼り合わせを考えました。そのような中で昨年末に、グラシンを製造している製紙メーカー様からロール紙の試供品を頂いたので、これを活用させてもらいました。
「そ・か・な」の開発でグラシンの扱いになれていたということもあります。

――「そ・か・な」を説明していただけますか
当社は薄紙への印刷を得意としており、さまざまな印刷物を薄紙で作ってきました。これを文具や包装紙のブランドとして販売しており、そのアイテム数は100種類を超えています。
そこではグラシン紙への印刷や薄紙印刷の技術も使われており、今回の「グラスシリーズ」開発にも生きています。


薄紙に鮮やかな印刷をする文具シリーズ「そ・か・な」

 

「グラスファイル」で脱プラを

――開発第1弾が「グラスファイル」ですね
はい。
上質紙とグラシン紙を貼り合わせ、クリアファイルの代替品となる商品を開発しました。
脱プラスチックが叫ばれる社会の中で、リサイクルプラスチックや植物由来素材を使ったクリアファイルはあります。また、紙のクリアファイルもありましたが、中身が見えず、使いづらいものが多い印象でした。
当社では、グラシン紙を使用することで、従来のクリアファイルに近いものができるのではないかと考え、この商品を開発したのです。

――試行錯誤はありましたか
当初はトレーシングペーパーの採用を検討していましたが、素材のコストが高すぎるため販売価格が高価となり製品化は現実的ではないと判断しました。その中で出てきた素材が薬の個包装などでも使われるグラシン紙でした。
グラシンは紙でありながら、透過性があり、中に入れた書類などが何かを確認できます。大きさにもよりますが、文字は見えますし、QRコードの読み取りも可能です。

 

――課題などはありますか
価格はやはり、クリアファイルに比べて少し高くなってしまうと思います。作成部数や印刷の有無にもよりますが、現在20枚入り620円(1枚約30円)で販売しています。
また、一般的なクリアファイルに比べてコシがないため、長く書類を入れて持ち運ぶと折れてしまう可能性があるという欠点もあります。
このあたりは使い方だと思うのですが、展示会などで資料を入れて渡す場合などには「グラスファイル」を使えば十分ではないでしょうか。自社を知ってもらう場合に「持続可能性を意識した会社だ」とも思ってもらえますし。
もう一つ、クリアファイルと同等の透過性を必要とする場合には、まだまだこの透過性では物足りないかもしれません。これも使い分けをしていただければありがたいですし、当社でも素材を検討し、さらに開発を進めたいと思っています。

 

「グラス封筒」を拡販

――第2弾として、今回「グラス封筒」をつくられました。こちらのきっかけは
今年の初め、無印良品さんで目にした商品包装が紙風の窓あきだったのです。
紙風なのですが、完全には紙ではなく、OPPなどが使われているので、「これってやりたいことは分かれるけれど、最終的にその目標を達成できていないのでは?」と思ったことがきっかけです。
紙と製袋に精通した我々がグラシン紙を素材として使う事で、この紙風の窓あき袋をデザインした本来の意図である”減”ではない”脱”プラを叶える事が出来るのではないかと考えました。


同社では実際に東京の事業所から本社に封筒を使ってチラシを送付する実験も行った

――そこから試供品の作成までは?
1、2週間ですね。

――それは早いですね
小回りの利くところが当社のいいところですので(笑)。
無印良品さんの印象があったので、クラフト紙テイストのあて紙にグラシンを合わせてみました。作ってすぐに見た目がいいと感じました。風合いに落ち着きがあり、汎用性も高いことも良いと感じました。
クラフトは片ツヤを採用し、ツヤ面の方をグラシンに合わせています。これも試行錯誤の中で生まれた形です。
大きさは、角2や長3などの定形角封筒サイズのほか、さまざまなサイズで作っており、これも今まさに試行錯誤しているところです。

――「グラス封筒」について課題は?
独自製法が特長の当社の製袋ですが、マチがないという欠点があります。
このため、厚手の物をいれると少し窮屈になる場合があるのです。
まだまだ参考商品なので、これからも試行錯誤を続けてさらに良いものにしていきたいと思っています。

――引き合いや採用のお話は?
まだまだ試作品ができたばかりなので、数社の地元企業と大手企業に話をした程度です。
ただ、製品や企業のイメージへ与える影響が強いパッケージデザインにおいて、昨今意識が高まっているエシカル消費マインドに訴求可能なデザインである事を踏まえて、今後広めていければと思っています。
「グラス封筒」は、DMや商品パッケージでの活用のほか、ホテルのアメニティーなどを入れる袋としても可能性があると思います。
様々な業種で応用した製品の開発が考えられますが、まずはSDGsに興味がある会社や官公庁などから、お話を始めていきたいと思います。


オール紙でありながら商品の中身が見える展開も可能

――可能性は大きいですね。グラスシリーズ全体の今後の展望を
脱プラを求める企業は多いですし、SDGsやエシカル消費の観点からも、これらを推進していくことは当たり前となっています。
その新しい価値観を持った市場に、新しい商品として提案できると感じています。
紙ですので印刷もでき、企業ロゴやメッセージを入れれば、プレミアム品として活用できますし、キャラクターなどを入れて商品として販売することも可能と考えます。
実際に大手企業からの引き合いがすでにあり、拡販に向けて営業担当が動いています。
まずはGW明けに、「グラス封筒」を使ったDMをお送りし、この商品を知っていただきたいと思っています。
また、こんな商品が欲しい、こういう風に使いたいというご希望があればいつでもサンプルを提供します。
当社ブランドで取り組む新たな商品として、たくさんの方に知っていただき、持続可能社会を支える存在の一つになれればと思っています。

吉田印刷所
https://www.ddc.co.jp/

 


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