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【レポート】空中に飛び出す映像装置を開発 アスカネットが記者向けに技術を披露 来年には世界デビューも

【2016年10月13日】「AI」というと最近は人工知能(artificial intelligence)の略だと思う人が多いだろう。
また、空中に映像が浮かび上がるというと「VR(Virtual Reality)」などを思い浮かべる人が多いだろう。
そういえば本日10月13日「PlayStation VR」も発売された。

そんな中、空中に映像が浮かび上がる新たなシステム「AI」が注目を集めている。広島県のアスカネットが開発した「エアリアル イメージング(AI) プレート」がそれだ。
そのアスカネットが10月12日、記者向けの発表会を行ったので、記者もAI体験をしてきた。

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一般的な空中映像との違い

一般的な空中映像はVRのように専用のメガネをかけるか、薄いフィルムや水蒸気などの反射物に物体を映して、空中に浮かんでいるように見せる。
このため、実際には空中ではなく、何かの物体がそこにある。
レーザーを使い実像を結ばせる技術もあるが、模様を変化させる程度の動きで、動画などを映し出すことはできない。

アスカネットのプレゼン資料
    アスカネットのプレゼン資料から

今回、アスカネットが開発した「エアリアル イメージング(AI) プレート」は本当に何もない中空に高輝度な動画や静止画像を実像として浮かび上がるのだ。

仕掛けは名前の通り、ミラーを敷いた上にガラスを積層し、そのガラスに細かな切れ込みを入れたプレート。そこに映像やモノを映せば特殊な反射が起こり、空中にイメージが浮かび上がる。

体験、本当に空中に浮かんでいる

さっそく記者も、AI体験をしてみた。

見える!そして、そこにはフィルムや水蒸気などは何もない。本当に不思議だ!不思議すぎる!
あのスター・ウォーズで見た、オビワンやマスターヨーダのような感じで確かに見える。
さらにセンサーと組み合わせれば、タッチパネルのように操作も可能なのだ。
普通物体から放たれた光は再結像することはないというから、本当に不思議としか言いようがない。

残念ながらこのAI。デジタルカメラの静止画ではあまり、そのリアルさが伝わらない。
動画でもどこまで伝わっているかかなり不安だが、どうだろう分かっていただけただろうか?

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   写真だとこんな感じで非常に伝わりづらい。紙のメディアは苦労しているだろう

AIプレートの課題とは!?

アスカネットは結婚式のフォトアルバムや遺影の修正など写真関連のビジネスを継ぐけてきた会社。
なんと年間に亡くなる方の25%が同社の「メモリアルフォトサービス」を利用しているという業界のトップ企業だ。
インターネット普及以前に専用線を引いて、写真のデータ送信を行うなど先進的な取り組みが多い会社でもある。
AIプレートもこれらの取り組みの中から開発された製品だ。

アスカネットではAIプレートを、デジタルサイネージや店舗装飾、アミューズメント、医療、タッチパネル、家電などで活用したいとしている。
また、国内自動車メーカー全社にもサンプルを提供しており「自動車関連でも利用される可能性が高い」と話す。

同社の福田幸雄CEOは「デジタルサイネージなら人目を惹くだろう。パチンコやパチスロ、ゲームなどのアミューズメント系でも、当たりが出たら画像が飛び出すといった演出もできる。また、タッチパネルの置き換えであれば、手術室で医師が血の手でもパネルを汚さずタッチできる。センサーで反応させるため手袋をしていても影響がなく、出したり消したりも自在だ」とAIプレートの活用法を語る。

アスカネット 福田幸雄 CEO

3年ほど前に、空中に映像を映し出す方法は確立したそうで、ガラスの溝の細かさを向上、プレートのつなぎ目を消す方法などが次々と確立されており、日々、空中映像のクォリティーは向上している。
先日はプロモーションツールとして、大日本印刷(DNP)から発売されることが決定。本格的な販売と活用が始まった。

しかし、このAIプレートまだ課題もある。
手づくりで、数回の加工工程を異なる協力会社で行っているため、量産ができないのだ。このため、価格もまだ40㎝角で40万円、1m角では200万円ほどになり、まだこなれた価格とは言えない。

 

世界デビューから空中映像の普及へ

福田社長は「現在、量産を目指して加工メーカーと協力しながらラインを開発している。量産が実現すれば、さらに普及を進めることができるだろう」と話す。

アスカネット

すでに日本では旅行会社のHISのサービスカウンターで採用されており、来店客が世界の景色を眺めたり、ゲームを楽しんだりしているという。
また、今年のCEATECにも出品され、そこでは外国のバイヤーから「いくらだ?」「すぐにくれ」という反応をもらったという。

アスカネットでは2017年、AIプレートを英国や中国、ドバイなど6カ所の展示会に展示し、世界デビューを果たす。
福田社長も「どのような使われ方がユーザーから提案されるか、非常に楽しみ」としており、多くの採用に期待を寄せる。

今年はVR元年と言われているが、来年は空中映像元年を期待できそうだ。
皆さんの目の前の中空に映像が飛び出して来たら、それはAIプレートの仕業かもしれない。

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