【2018年1月24日】IT専門調査会社 IDC Japanはこのほど、「国内プロダクションプリンタ市場に関する2017年第3四半期の実績」を発表した。
これによると、プロダクションプリンタの出荷金額は60億8,000万円で前年同期より14.6%減少した。
一方、高速インクジェットプリンタ出荷金額は、前年同期比67.7%増の20億6,000万円と、プロダクションプリンタ市場は縮小しているにも関わらず伸長しており、プロダクションプリンタ市場の3分の1を占めるまでに成長している。
プリンタベンダーはオフィス市場の成熟化により成長が鈍化。プロダクションプリンタ市場にフォーカスしているが、中でも高速インクジェットプリンタ市場は、技術やインクの開発が継続して行われているため、今後の成長が期待される。
また、産業用高速インクジェットプリンタは、印刷速度や印刷コストがレーザープリンタに比べて優位であることや、B2サイズのカット紙(枚葉紙)に印刷できる大型の製品の発表などから、注目度が上昇。
高速インクジェットプリンタでは、印刷技術革新とインク品質向上によって高品質化。B2サイズの枚葉紙では、オフセット枚葉機と同等の印刷速度を実現した。
こうした印刷品質と速度の向上が高速インクジェットプリンタの急速な拡大の理由であるとIDCでは分析している。
産業用高速インクジェットプリンタは、すでにダイレクトメール、書籍、新聞などの印刷に使用されている。
ダイレクトメール印刷では、顧客のデータから顧客の嗜好や購買行動を分析。顧客一人一人に合わせた内容のダイレクトメールを、最適なタイミングで送付することによって、収益が増加した例が報告されており、マーケティングツールの一部として機能し始めている。
書籍や新聞印刷では、必要な部数のみを印刷することができるため、不要な在庫の削減と不要な印刷物廃棄の削減に貢献しているという。
さらに、インクジェット技術は非接触でインクの定着温度が低い印刷技術であることにも注目。
このため、紙だけでなく布や木材、プラスチックなどへの印刷が可能で、一部のインクジェットベンダーはすでに捺染(繊維製品の染色)、段ボール、軟包装材への印刷システムを提供しています。このように、あらゆるものへの印刷の可能性をもつ産業用途のインクジェットプリンタは今後も開発が進んでいくと考えられる。
IDCでは印刷品質や速度が向上し、応用範囲や印刷できる素材が増加することにより、市場がさらに拡大するとみている。
「産業用高速インクジェットプリンタ市場では、高速インクジェットプリンタを使った印刷で顧客のビジネスをどのように変革し、売上増加に貢献できるのかが重要である。ベンダーは、ビジネスの変革の視点でソリューション提案を行うべきである」とIDC Japan イメージング,プリンティング&ドキュメントソリューションのシニアマーケットアナリストである三谷智子氏は述べている。
今回の発表はIDCが発行したレポート「国内プリンタ市場 2017年第3四半期の分析と2017年~2021年の予測」と、「国内MFP市場 2017年第3四半期の分析と2017年~2021年の予測」にその詳細が報告されている。
同レポートでは、プロダクションプリンタを含む国内プリンタおよびMFP市場の動向を明らかにし、プロダクトごとの出荷台数、出荷金額、平均販売単価について、ベンダー別、販売チャネル別、ユーザーセグメント別などの実績データを提供している。
レポート概要はこちら 国内プリンタ市場 2017年第3四半期の分析と2017年~2021年の予測
https://www.idcjapan.co.jp/Report/Tracker/j17141308.html
国内MFP市場 2017年第3四半期の分析と2017年~2021年の予測
https://www.idcjapan.co.jp/Report/Tracker/j17151308.html
IDC Japan
https://www.idcjapan.co.jp
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