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【この人に聞きたい!】天然水初のエナジードリンク!即断のリニューアル サントリー食品 脇奈津子さん

【2019年4月22日】サントリー食品インターナショナルは今年3月、エナジードリンクの「サントリー 南アルプス PEAKER(ピーカー)ビターエナジー」をリニューアル発売した。
サントリー 南アルプス PEAKER(ピーカー)ビターエナジー

「サントリー 南アルプス PEAKER ビターエナジー」は、昨年8月(全国発売は10月)に発売された「サントリー天然水」ブランドでは初めてのエナジードリンク。厳選素材を使用しており、この分野では珍しい「身体に優しい味わい」という特長を持つ。

なんと、この「サントリー 南アルプス PEAKER ビターエナジー」、発売から7カ月目という早いタイミングでパッケージをリニューアルし、従来の黒が基調のボトルから、シルバーへと大きくイメージチェンジした。
8月発売から7カ月でのリニューアルは異例。それもこのタイミングでのデザイン変更した場合、新発売からすぐに刷新を決断したようだ。

開発の経緯から、今回のリニューアル決断、その反響などについて、商品開発・刷新を担当したサントリー食品インターナショナル ジャパン事業本部ブランド開発事業部の脇奈津子さんに話を聞いた。

 

厳選素材・体に優しいエナジー

――まずは製品のコンセプトや開発の経緯を教えてください
世の中に多くのエナジードリンクが出回っており、当社でも当然ながら市場性があると考えていました。ただ、この分野ではブランドを確立できておらず、新たにブランドを作っていきたいという思いがありました。

では、そこに参入する時、既存のエナジードリンクに近いブランドを使用するのか、全く新しいブランドにするのかといった課題がありました。
さらには、既存のエナジードリンクはカフェインやアルギニンなどの成分が含まれているものが多く、厳選素材や身体にやさしい味わいを強調できるものではありませんでした。

サントリー PEAKER

――そういうものが含まれているのが当たり前というイメージでしたが、違うのですね
はい。そこで、これまでとは異なるエナジードリンクの案として出てきたのが「サントリー天然水」。このブランドを使うことで「身体にやさしい味わい」「健康的」というイメージを打ち出し、従来のエナジードリンクとのギャップを鮮明にしようと考えました。
何より私自身が健康オタクということもあり、エナジードリンクのアーティフィシャル(人工的)で、ケミカル(科学的)なイメージがイヤだったことも影響しました。

当社にはペプシやデカビタCなど、エナジー系に近いブランドがあったのですが、真逆のイメージを持つ「天然水」でエナジー感のある味わいに迫りながら、どこまで「ナチュラルな味わい」にできるかも非常に面白いと考えました。
この企画を立てたのが2017年の9月くらいのことでした。

――天然水からエナジーをイメージさせるのは、かなり難しいと感じるのですが
既存のエナジードリンクはカフェインの量や糖分などによりエナジーを感じます。しかし「天然水」では、炭酸のガス圧を高め、飲んだ時の刺激によるパンチや、ホップの苦み、自然な香り、心地よさでエナジーの効果を出そうとしています。

――容器やパッケージの仕様は
最初のパッケージからそうですが、先行するエナジードリンクが缶で提供しているのに対して、「天然水」ではPETボトルを採用しました。
これにより、中身の液色が分かり、味覚や嗅覚だけでなく、視覚など五感のすべてを刺激しつつ、天然水らしく安心して飲んでいただけるという意味を込めました。

また、フタができるPETボトルの特性として、無理に全部飲まず、自分の欲しいだけ摂取できるという特長もあります。一気に飲み干さずに済むことで、飲み方を強制しない、自分のペースで、女性でもちょっとずつ飲んでいただける工夫なのです。
ラベルにはタテ型に透明な窓を開け、その脇に目盛りをプリントしており、どれだけ飲んだか分かるようにしています。

 

早期のリニューアル・その決断とは?

――ずいぶん早い段階でのリニューアルでした。その経緯を
大きな課題があり、これを解決するために早々にリニューアルを決定しました。
まず、8月のリリース後にPOSデータが上がってくるのですが、どうも飲んでくれそうな人に届いていない、認知もされていないということが分かってきました。
最も大きな理由は視覚で「(分類が)なんだかわからない」というものでした。店舗の陳列でも、店員さんから「どこにおいていいか分からない」という話があり、黒のパッケージのイメージからか、コーヒーの横に置かれてしまうということも実際に起こっていました。

――レッドブルやモンスターナジーといったコンペティターの隣には置いてもらえない?
先行の両ブランドとも店舗での陳列では、棚1段に横並びにに陳列する施策をしていまして、その隣に1品加わったところでなかなか視覚的には厳しい。棚割りは小売店さんが決定するものなので、指定もなかなかできないのです。
先行商品はこれまで大量の広告と、繰り返しのフレーバー投入、リニューアルで育てられた10年ブランド、こちらはできたてほやほやの新ブランドですから、簡単には太刀打ちできていないということもあります。

 

――デザインはどの部分を変えましたか
まずはパッケージの色。コーヒーと間違われないように黒からシルバーへ、鳥をモチーフにしたマークもこれに合わせ赤から青色にしています。
ブランドロゴも「PEAKER」というブランドがエナジードリンクとして認知されておらず、これを前面に押し出さず、「エナジードリンク」という言葉を大きく赤で表現しました。購入者がどう呼ぶかを考え、おそらくは「南アルプスのエナジー」との呼び名になるのではないかと想定。このことから「南アルプス」というブランド名と「ENERGY」という言葉を以前に比べ圧倒的に大きく表示しています。

ここに至るまで、デザイナーの尽力もあり、ロゴもさまざまなものを書いてもらい、数十のデザインを用意し、次々にパッケージを試作しました。
リニューアル前の商品は手元で見てかっこいいという評価はもらっていたのですが、棚に並べた時には課題があったので、実際にコンビニエンスストアの棚での見え方にとことんこだわりました。その中でデザイナーさんの協力を得て、ディスカッションを繰り返しながら、今の形に決めていきました。
デザイナーさんも真剣で「PEAKERをやっているから他の仕事が受けられません」と言われるほど、前のめりで取り組んでくれました(笑)。
私自身もデザインをしている途中でタイポグラフィーの本をデザイナーから借り勉強し、これだと思うものを推薦したりもしました。

 

チーム一丸でリニューアル

――それにしても早い決断でしたね
2018年8月に発売し、11月下旬にはデザイン変更を決定しました。
当社ではデザイン決定は製造の12週前という決まりがあり、3月に間に合わせるにはそこしかなかったのです。
ふつうは新発売の商品は1年後のリニューアルと決まっているのです。しかし、先ほども言いましたように「10年ブランド」を相手にしており、1年後と言っていたら棚がなくなってしまいます。また、こちらは大きな広告費用もかけられないので、悪いと思った時はルールを超えて、どんどん改善していこうと上司に提案しました。
幸い、当社は非常に真剣にこのブランドを考えてくれる人が多く、賛成してもらいこのリニューアルが実現しました。

リニューアルは「ブランド」「デザイン」「中味」の開発が必要だったのですが、広報部や宣伝部にも会議に出てもらい、試飲もするなど、新ブランドでお金が使えない中、社内外のチームが一丸となってできるだけのことをしてきました。

――リニューアル後の反響は
まだ順次切り替えが始まって、やっと店頭に並べられ始めている中なので、何とも言えない部分はありますが、Twitterなどからの反響は「さわやか」「かっこいい」「自然を感じる」などおおむね好評です。
変化があったと感じたという発言が多くありました。

――今後はどのような施策をしていきますか
まずは「天然水」にエナジードリンクがあるということを認知してもらう取り組みを進めていきます。
身体にやさしい味わいのエナジードリンクという新たなジャンルを、しっかりと広めていき、中長期計画でブランドを確立していきたいと考えています。
スタートアップ、ベンチャー企業にいるような、新しいものに敏感な方たちから高評価を得ています。また、特にエナジードリンクとは、無縁だった女性にも健康の観点から買っていただきたいです。
今後はその方たちへ向けたさまざまな施策もしていきたいと考えています。

 

サントリー 南アルプス PEAKER(ピーカー)ビターエナジー
内容量375ml、価格190円(税別)。

「サントリー天然水」ホームページ
http://suntory.jp/tennensui/

 

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