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紙エレ研 第5回発表会 紙の応用テーマに4氏が講演 


【2015年12月2日】紙のエレクトロニクス応用研究会は11月30日、東京都港区西麻布のクレイサロンで「2015年度 第5回技術研究発表会」を開催し、約40人が参加した。
今回は4人の講師がそれぞれの視点から紙のエレクトロニクスの応用について発表を行った。

鳴海紘也氏(東京大学)は「銀ナノインクによるアドホックな回路作成のための支援ツール」のテーマで講演。焼成不要な銀ナノインクペンの描き直しと、回路の誤りを知る方法について話した。

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銀ナノインクペンは、だれでも簡単に導電性の回路を描くことができるが、描き直せないことが課題となっていた。回路を切るにはカッターなどで線を切るか、化学的に剥離させるなどの方法をとっていた。しかし、これでは扱いが難しく描き直しもできなかった。

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今回、メラミンスポンジとエタノールで「CircuitEraser」を開発。誰でも簡単で安全に銀ナノインクを消し、描き直しができるようになった。

また、描いた回路がきちんと役割を果たすかを通電前に知る方法がなかったが、これをスマートフォンやタブレット端末などのアプリで解決した。
アプリのアルゴリズムは線をピクセルとして認識し、抵抗値の近似値を表すもの。認識速度は5秒以下、誤り率は7%ほどで、銀ナノインクに初めて触れるような初学者向けワークショップでは十分の数値となった。
これにより、「描く~解析~描き直し」の試行錯誤のサポートが可能になった。

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河原 大助氏(㈱東急エージェンシー)は「リアルな“モノ”としての紙のコミュニケーションの可能性」について話した。

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スマホの浸透により、人は1日の2割、活動時間の3割を液晶ディスプレーから受けるインターネットの情報を見て過ごす。
年間の広告費でも2007年から14年までに新聞は-36%、雑誌は―45%と大幅に減らしている。一歩、インターネットは+75%と大きな伸びを示している。

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河原氏は「では、紙によるコミュニケーションはもう無用なのだろうか」と問題を提起。
セグメント性、伝達コスト、製作コスト、動画も含めた表現力、多くの面で「紙」に印刷して配布するよりも、インターネット経由でディスプレーに表示する方が上回っている面が多い。

しかし、紙にも強みがある。
「紙はさわれる」
「紙は変形する。立体になる」
「紙は存在する。残る」
「紙に脳は強く反応する」
など「紙は体験装置となる」という役割がある。

河原氏は国内外のさまざまなキャンペーン事例を紹介し「紙は大掛かりな仕掛けがなくとも手軽で新しい体験を生み出すことができる有効な手段」とし「紙はほっこりし、自然に受け入れられるとゆう利点がある」と結論付けた。

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また、IGAS2015で発表した銀ナノインクを使用したデコトラックの発案から、制作の様子を紹介した。

辻智和氏(㈱ショウエイ)は「当社の印刷技術の概要」の演題で、印刷技術を使ったさまざまな取り組みを紹介した。IGASのデコトラックのプリントは同社が行ったもの。

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同社は1952年、製版会社として東京都文京区で創業。その後、さまざまな機器を導入することで、印刷も手がけることになった。

近年の取り組みでは「INK DE JET!JET!JET!」と題し、さまざまな紙や印刷方法を使った20種類以上のポスターの製作と展示した。この取り組みでは100種類以上のポスターをトライアルし、厳選したポスターを公開。これが話題を呼んだ。
「MUSABI OPEN CAMPAS 2015」で武蔵野美術大学の学生と行ったコラボレーションでは、紙を刃型で細かく抜き、これを立ち上げて絵のような表現をした。

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「SUNTORY響」の事例では、和紙にレーザーカッターを使い響のイメージをビジュアル化した。
当初、和紙は灰が残らず焦がして色を出すことができなかったが、膠の成分を塗布することでこれを可能にした。

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辻氏は「技術を追求することで新たな展開を生み、挑戦し驚きを提供したい」と結んだ。

最後は同会幹事の小杉博俊氏がIGASのデコトラック展示の報告と「未来の紙ビジネス創生分科会(仮称)」の立ち上げについて報告。分科会ではさまざまな紙に関するテーマを募集し、これをカタチにしていくという。


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