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紙エレ研「第21回技術研究発表&交流会」は3氏が講演 「フレキシブルディスプレイ」「紙おむつ」「紙の芸術」

【2019年12月9日】紙のエレクトロニクス応用研究会(紙エレ研)は12月6日(金)、東京都港区の東急エージェンシーで「第21回技術研究発表&交流会」を開催した。

紙エレ研は、銀ナノインクによる電子回路のプリントを中心に、紙を加工した技術やサービスについて研究している。
研究会には技術者のほか、技術を将来活用する可能性のある印刷会社や広告代理店、資機材メーカーなど、幅広い業界から入会があり、毎回多くの人が参加している。

 

研究発表

まず、内田孝幸氏(東京工芸大学工学部)が「透明フレキシブル有機(透けて曲がるディスプレイ)の検討」のテーマで話した。

内田氏自身が透明フレキシブルなELディスプレイを2005年に開発。その時はアルカリ金属を使用していたため、水分や酸素が入るとすぐに劣化してしまった。
2019年の10月にはサムソンのギャラクシーがポータブルスマホで折り曲げタイプを発売し、シャープも画面を巻き取れる大型ディスプレイを発表。これにより実用段階まで製品は進んでいる。

これは、分極型の材料を使い劣化が少ないELが完成したためだ。
向こうが見えるほど薄いデバイスがいよいよい実現し、ショーウインドウサイネージや自動車のフロントウインドーへの応用も見え始めている。
ただ、非常に薄い素材なので、壊れやすく、新聞をこの方法でデジタル化するといった印刷代替での応用はまだ難しい。

 

宮澤清氏(ユニ・チャーム株式会社CSR本部参与、工学博士、東京理科大学客員教授)は「増加する紙おむつの現状と将来~使用済み紙おむつのリサイクル事業について~」の演題で話した。

高齢化社会の新進展で、介護需要の紙おむつが非常に増えている。
全国的に廃棄物の6~7%が紙おむつ、高齢化が進む地方では10%まで増加しており、ライフサイクルを環境対応にする必要が出てきた。

まず、当社では紙おむつの材料にFSC認証材を使用している。
さらに使用済み紙おむつからパルプを作って、オゾン処理し、再生する技術を開発し、特許も取っている。
欧米では高水圧蒸気処理をしているが、日本はさらにレベルの高い洗浄分離処理を行う技術があった。ユニ・チャームでは、さらにレベルの高い洗浄分離除塵処理で、価値のあるリサイクルを行う。
これを実現するには、おむつだけを分別回収しなければならない。このため、細かな分別回収が進んでいる志布志市で実証実験を行っている。

 

半澤友美氏(アーティスト)は「紙と表現」のテーマで、今年自身が行ったポーラ美術館での展示を中心に、作品の変遷などを紹介した。
半澤氏は紙漉きから、着色、紙を固めての造形など、さまざま中身の特性を生かした芸術作品を数多く生み出している。
自身のアトリエでの制作のほか、米国各地で手すきの紙工房を巡り、そこでしか得られない技術や素材を見つけて活動の幅を広げている。

 

半澤氏の活動を紹介する動画

 

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