【2024年1月15日】「2024年新春大予言」、今年は思わぬ長編になってしまったので、前後編に分けました。後編はまずはこの話題から。
【ちょいとコラム】「2024年新春大予言」 今年起こりそうな4つのこと!(前編)
今年二つ目の予言はAI技術に関してです。
2022年末、某プリンタメーカーOBの方から、不意にSNSを通じて連絡をいただきました。
そのメッセージは
「すごいものができたよ!」
「これは世の中を変える仕組みだ!」
最初は何のことかと思ったのですが、オンラインでミーティングし、そのお話を聞いて、正直言って腰を抜かしました。
それが、今は皆さんご存じの生成AIの「ChatGPT」です。
この「ChatGPT」のGPTは「Generative Pre-trained Transformer」の略で、文章の指示(プロンプト)に従って、文章で回答する能力があります。
従来あった「チャットボット」は、与えられたストーリーどおりに応えているだけでした。簡単に言えば心理テストみたいなチャート式で、Aを選べばAの答え、Bを選べばBの答えを出して、最後に必要な答えに導く分岐をしているだけ。
一方の「ChatGPT」は、サイトや既存データなどから情報を取り込み自ら学習して、自分の言葉(のようなもの)で答えを出します。また、今までのAI技術とどこが違うかというと、プログラムじゃなく、人間の言葉で指令できることです。
例えば「日本の印刷業界に対して、売り上げを上げる3つの対策を出して」と指令したところこんな答えが!
かなりいい内容なので、「この内容を皆さん実践してください」と言って、この予言をここで打ち切りにしたくなる…のですが、ちょっと言いたいことをいわせてもらえれば、このAIは「いい子ちゃん」なんです。超優等生で面白みがない、そして「それって、まあみんなそう思ってるし、知っていることだよね」という内容。
もっと複雑な指令を出すか、対話を重ねれば、かなり面白いことを言いますが、例えば「戦争で勝つ方法」や「完全犯罪の方法」といった、質問は受け付けてくれません。
これは無料版なので、最新の有料版ならもっと攻めた答えが出てくるかもしれません。
昨年の今頃は「すごいな」と思いながらも、ここまで急激に一般的になるとは思ってもいませんでした。それがものすごく一般的になったのは次に紹介するもので、それも印刷に大いに関係があります。それは、AIによるイラスト作成です。
昨年、記者が自撮りした写真をAI加工したものを載せましたが、あんなものは序の口でした。
あれは、現実の人物の写真から、マンガ風や絵画風のイラストを作成していましたが、その後続々と出てきたAIイラストはゼロから言われたイメージを作り上げます(本当はいろいろデータを参考にしているけど)。
以下に紹介するのは「fotor(https://www.fotor.com/)」というブラウザ上でお試しできるAIイラスト生成システムですが、例えば「ローマ風」「女性と男性」「王族」「建物の中」「クリスマスパーティ」というキーワードでは、こんなイラストができます。
このAIイラスト、商業利用可能なものもあり、イラストを描く必要も頼む必要がなくなるのです(作家さんの過去作品からのパクリという問題はクリアされていませんが…)。もちろん、なんかちょっとイメージと違ったり、全然思ったことができてこなかったり、ということも多々あります。
そこで重要になってくるのがプロンプト(指示)です。AIさんにうまく指示を出してあげることが重要になります。この上手な指示出しができることが、AIを使う人の能力となるのだと思うのと同時に、それで学んだAIが、より人間のイメージに寄り添ったものを提供してくれるようになります。
実は、プリント&プロモーションの「記事の見出し」も一部はAIが考えたものです。もちろん、そのままは使えないものは多いですが、筆者が気づかないような切り口の見出しをつけてきて、はっとさせられることもあります。
予言の二つ目はこのAIを上手に使って、新たなビジネスを生む会社がプリンティング業の中から出てくるということです。
チラシやカタログの作成、サインやディスプレイの作成、さらにはTシャツなどのオーダーグッズビジネスの作成でも活用可能です。
絵が描けなくとも自分の思いに近いTシャツができたり、チラシの原案を5つ出して顧客に比べてもらうなどと言うことが可能でしょう。
冒頭で紹介したChatGPTは、今年に入り、ユーザーがシステムをカスタマイズし販売できるアプリストアの提供を開始しました(アップルのアプリストアの初期みたいな感じ)。カスタマイズも可能で、その販売も可能、印刷に特化したAIや、オーダーグッズビジネスに特化したAIの開発なども大きなビジネスを生みそうです。
次に掲載する写真は8年ほど前に取材したオランダのDEONET社という会社です。
ボールペンやアクリル製品など、さまざまなグッズに名入れやユーザーオリジナルのデザインをプリントする会社で、欧州全体から注文を受けていました。
この年からロボットアームを導入し、折り畳み式USBの組み上げを自動化。このロボットは1日8時間で3,000~3,500個のUSBメモリーを完成させます。
導入以前、そしてこの時も、近所のご婦人をパートとして採用して、USBを組み上げていました。パートの熟練者が1日は3000個を組み上げるそうで、生産の最盛期にはパートを60人ほどを雇っていました。
そうなんです。このロボット、熟練者よりも1日でつくれる製品の数が多いのです。だって人間が1日8時間(休憩あり)なのに、ロボットは24時間365日働けるんだもの(つまり人間の3倍以上仕事ができます)。
導入時に初期費用の数百万円が必要ですが、導入したその日にロボットのアームを持って動きを教えてあげればその通り動いて、導入1カ月ちょっとで1個の不良品も出していないと言っていました。
個体ごとの技術差もなく、疲れず24時間働き、給料も社会保障費もいらず、文句も言わず、人間関係で揉めることも、他社に行くこともない、ロボットは利点だらけなのです。
この会社のマイク・ヴェルジュ(Mike Verjans)CTOも「もう人を雇うことはリスクでしかない」と言っており「今後、パートは全員いなくなる」と話していました。
それが8年前です。
欧州では、単純労働はロボットに任せればいいという考えが一般的になり、これまでそういった仕事をしていた移民などの自国言語を話せない人の仕事はなくなっていっていくのです。
日本でも昨年10月、イメージ・マジックが「DTFプリント」に対応した回転プレス機を自動化する協働ロボット「CGXi G12/G6」を発売しました。
同社は、自社でオーダーグッズビジネスのプリンティングなどを行なう会社でしたが、近年はDTFなどの資機材販売も行なっています。
また、自社工場の完全自動化を目指している会社としても知られています。
Tシャツプリントの完全自動化を目指し、ブラザーとともに岐阜県多治見市の「岐阜プリントセンター(GPC)」に、ブラザー工業のTシャツ製造システム「DIGITAL LINE(デジタルライン)DL2400」を導入し、製造の自動化しています。
このほかにも、ソーター(搬送機)でプリントしたTシャツを運んだり、配送先ごとにまとめるシステムも開発・導入し、販売もしています。
社長の山川誠氏が目指すのは完全自動化「人件費を減らし、人から人につなぐ部分を省略すれば、そのコストや時間をユーザーに還元できる」というのです。
自動化については土建業を見ればわかりますよね。昔は人間が数十人で行なっていた掘削作業も、ショベルカー1台ですむようになりました。人間が1mの穴を掘ると1時間かかるところが、ショベルカーなら3秒です。
それと同じことが、工場の現場で、会社内で起っているのです。
プリンティングの業界も自動化を進めた会社だけが今後生き残れると言ってもいいでしょう。
この流れは変えられません。
馬車屋が「自動車は危ないから走らせるな」と言ったところで、自動車は止まらなかったように、自動化も走り続けます。
上記のことで必要になってくるのが、これらの新規事業を遂行できる人材です。
脱印刷から活印刷で、NFTやメタバース、イベント事業、BPO、アプリ制作などに乗り出すプリンティングの会社はありますが、成功している会社に共通しているのは、それを「遂行できる人」か「目利きできる人」が社内にいることです。
例えば、自社に新規事業を遂行できる人材を採用したいという場合でも、その人が本当にその仕事ができるのかを見極めなければなりません。外注する場合も、その会社が本当にそれをできるのかを社内で判断しなければ、高いコストをかけて何も得られないということになりかねません。
そこではもう一つの課題があります。
ITエンジニアなど、専門性を持った人材の給与は非常に高いのです。20年、30年働いた工場長などより、30才そこそこのエンジニアが高給なので、面白くないと思う人もいるでしょうし、実際にこういった人材を採用した会社では離脱者も出たそうです。さらに言えば、社長より給料が高いエンジニアもゴロゴロいます。
まず経営者がこれらの課題に耐えられなければ、こういった会社の変革はできないのです。
中小零細の場合、経営者が新規ビジネス遂行のリーダーになることが一番で、勉強して目利きになって社外の会社を活用することになるかと思います。
なにしろ、新しいことを始めるのにトップが旧態依然ではなにもできないと思うのです。
これも以前から言っているのですが。
「スマホを持っていない」
「SNSのアカウントがない」
「コンビニで缶コーヒーを買う」
こんな経営者はすぐに引退した方がいいです。
スマホがないのは目や耳がないのと同じです。
アカウントがないのは顔がないのと同じです。
コンビニであんなに不味い缶コーヒーを買う人は、コンビニコーヒーの買い方を知らない(世の中の情報を知らないか、センスのない)人です(現場関係者を除く)。
上記に当てはまる方は、即刻引退してください(と言っても、ここを見ていないかもしれませんので社員の方は教えてあげてくださいね)。
さて、今回は4つの予言をしましたが、AI並みに攻めてない内容になってしまい反省しています。
毎年この記事が年間アクセスランキングのトップになるので、ちょっと守りに入ってしまったかなあと…。
最後にちょっと言いたいのが。「少子化」についてです。
政府が少子化対策をしていますが、あれほぼ無意味です。
ベストセラー「FACTFULNESS(ファクトフルネス)」は読んだ方も多いのではないでしょうか。この本、世界や人類に関するマクロな数字を示して、人間が思っている「思い込みや偏見」に「真実の姿」を突き付けるという内容です。
この本では、人口増加についても書かれています。「多くの新興国で子どもの数が増え続け、人口爆発で人類は食糧危機になる」というようなことを、どこかで聞いたことがある人は多いと思います。
これってウソなんです。
人口が増加する国は、医療や食糧事情の進展で、幼くして死ぬ子供が減っているのです。
人口が増える国の人たちのこれまでは「5人産んでも、3人が死ぬ」といった状況でした。それが解消されれば、多く産む必要はありません。また、子どもは貴重な労働力だったのですが、これも経済的な向上や社会の進展により、児童労働はさせないという方向に動きます。
自分たちのことを考えればわかると思いますが、言葉を選ばずに言えば、先進国では子どもは「親の趣味」なのです。少なく産んで、しっかりと楽しみながら育てる、その結果少子化になるのは当たり前です。
いくら「産め、産め」と言っても、増えるわけがないのです。
それを言っている国会議員が子だくさんなんて聞いたことがないですしね(笑)。
少子化の問題点をChatGPTさんに聞いてみました。その結果
①労働力不足と高齢化社会
②経済の停滞と消費の低下
③教育制度への影響
④地域社会の弱体化
⑤年金・医療・介護の負担増
だそうです。
①はAIや自動化で補えます
②人間ばっかり増えてもどのみち仕事はないのに人口をふやして経済がよくなるの?失業者ばっかり増えるんじゃないの?ということが言えます。むしろAIや自動化で経済を回すべきではないかと思います
③少なく産んでしっかり教育をすることが大事で、今の教育制度が大量生産大量消費時代と変わらないから、日本は他の先進国に比べて遅れを取っているとも言えます。教育改革が経済改革というのは常に思っているのですが、それはまた別の機会に
④これってどのみち弱体化していますよね。人を増やしても便利な都会に住みたがりますし、不便な場所は人が消えていくのは同じです(人口が欲しいのはその土地から選出された議員で、票が欲しいだけでしょ?)。逆に自動化などで人口が少ない場所でも住みやすくなる可能性もあります
⑤これこそ、国や政治家の手前勝手で、健康保険はまだしも、年金という絶対に失敗するネズミ講みたいなものを存続させるために、なんで自分たちの子孫を増やして苦労を背負わせなければならないのでしょうか?介護に関しては自動化が解決してくれると考えます
少子化という大きな流れは変えることはできません。
やはりこれに合わせたビジネスを行っていくしかないのです。
日本人が増えることはないにしろ、人口がゼロになることも、よほどのことがなければないでしょう。
これらを見据えた上で、2024年を生きていきましょう。
長くなりましたが、ここまで読んでいただいた方、本当にありがとうございます。
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