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【レポート】「OGBS大阪2025」 DTF出品企業はさらに増加 大手メーカー初のシェイカー登場 中国製・輸入企業も目立つ

【2025年2月15日】「オーダーグッズビジネスショー大阪2025(OGBS大阪2025)」が1月22日~23日、マイドームおおさか C・Dホールで開催された。

このイベントは1981年「印章フェア」としてスタートし、2013年からは展示会名称を「オーダーグッズビジネスショー」とし、毎回、大判プリンタやその関連資材が多く展示されている。
近年はテキスタイルプリント用のDTF(Digital to Film)方式のシステムが多く展示されており、今年も10社以上が出品していた。
今回は諸事情で(セミナーとかで忙しく)速報できなかったため、記者の感想も含めて各ブースの展示を報告したい。

 

パウダーレスや国産シェイカーが登場

イメージ・マジックは、昨年10月から販売しているパウダーレスDTFシステム「TransJet DTTS-6000」シリーズと「DTF用バインダーインク」を展示した。

「TransJet DTTS-6000」は、従来のDTFプリンタとは異なり、プリント後にパウダーを撒布するシェイカーが不要となるため、パウダーの追加投入作業がなく、連続運転や省人化が可能となる。
バインダーインクの特殊な樹脂配合により、インクが繊維に深く浸透し、優れた洗濯耐久性を実現。DTFの弱点といわれていたプリント面の厚さや固さが無く、薄く生地の風合いを活かしたプリントができる。

注目は「UJF-7151plusⅡ」にカメラをつけて、出力物を読み取るデモンストレーションをしていた。
このシステムでは、出力物を適当に置くだけで出力ができるようになり、治具も不要になる。このため、作業時間と治具のコストが削減されることから、競争力が高まり、作業者に熟練が必要なく、シフトの組み替えなども楽になるという。

このほか、同社は今年から海外ブランドのプリンタの販売を開始した。
Enjoyprint社は世界最大級のOEMメーカー。同社の「400mm/600mm幅 DTFプリンタ」は、600mm幅で、総出荷実績500台以上を誇る。

「Nocai社製UVプリンタ」は、600mm幅のUVプリンタが登場。雑貨、グッズビジネスを効率化し生産性を向上する。ゴールドフィルムにも対応しているため、さまざまなデザインを加工できる。
「自社ブランドのみでなく、良いものは他社ブランドも扱っていきたい」と担当者。

ミマキエンジニアリングはプリンタ各種を展示した。
「UJF-3042Mk e」では、アクリル素材へのプリント、「UJF-6042MkⅡe」はオプションの「KebsbuHS」を装着してカップへのプリントを展開した。

DTFでは「TxF150-75」はもちろん、新型の「TxF300-1600」も展示。生産性は従来機の約4倍に向上している。

DTFは各社が展示したが、ミマキ製品が好調という話を聞いた。保守サービスなどに優れた国産品は安心感があるようだ。

ダイヤモンドマークは、ミマキの「TxF150-75」を展示していた。フィルムとパウダーは同社製品とのことで資材の販売も含めた展開だ。

パイオテックもDTFを展示。ミマキ「TxF150-75」やローランド「TY-300」と自社の「シンプルシェイカー」を接続しデモンストレーションした。
同社システムは、フィルムに繋げられるテフロンシートダミー部分を用意しフィルムの無駄を削減。アジャスターを用意しパウダーの横こぼれが少なくリサイクルで運び作業を軽減している。
システムの速度は実用モードで10.9㎡/h、カッター付きで切り離しが楽。

ローランドディー.ジー.(ローランドDG)は、同社初のシェイカーオーブン「RDTFS800」を、DTF「TY-300」に接続し展示した。
日本プリンタメーカーでは、シェイカーを開発・販売する会社はこれまでなかったが、ローランドDGはこの分野に初めて踏み込んだ。
大手メーカーがこれを手掛けなかったのは、プリンタメーカーのノウハウとは異なる機構であることや、パウダーの人体への影響の疑念といった課題があったからだ。同社はこれを解決したと考えられ、今後他社の参入も注目される。

A5サイズフラットベッドUVプリンタ「BD-8」や、A3サイズ「MO-180」もデモ。絵馬やゴルフボールなどにプリントサンプル展示。

また、セルカムもローランドDG製の「MO-180」を展示した。

エプソン販売は、同社初のDTF専用機「SC-G6050」は、幅600mmで、標準モード(600×600dpi)が5.6㎡/h、グラフィック T シャツやトートバッグ制作向きの高画質モード(1200×600dpi)が3.4㎡/h 。
プリントヘッドを清潔に保つために必要な「吸引キャップ」に、自動クリーニング機能を搭載。またロール式の布製ワイパーを搭載し、毎日の部品清掃が不要となった。

DTFのエントリーモデル「SC-F1050」は、ガーメントプリンタのDTFハイブリッドモデル。フィルム出力に加え、Tシャツやトートバッグなどの布製品への直接出力にも対応している。

またUVプリンタ「SC-V1050」は、ノベルティグッズへの名入れやアクリルスタンドなどを小ロットから制作可能。

理想科学工業は、テキスタイル系のプリンタなどを展示した。
DTFはプリンター&シェイカー一体型の「mR2」を展示し、独自路線を見せた。
同機は4基のヘッドを搭載したことで、従来機「mR1」から速度が向上し600mm幅9.5~19㎡となった。
リコーのガーメントプリンタ「Ri4000」では、Tシャツプリントを実演した。

アステムは「ART JET」は、印刷速度8㎡/h(6パス)、6㎡/h(8パス)で、4色カラー印刷の上にホワイトをのせる計5色でのプリントが可能。
また、ミマキ「TxF300-75」やローランド「TY-300」と組み合わせたDTFシステムも展示した。
担当者は「DTFの登場からそろそろ5年、買い替え需要もある。国産メーカーも多く出てきており、選択の幅が広がった」と話す。

ユーロポートの「MUSE」はミマキの「TxF300-75ep」とシェイカーを組み合わせたDTFシステム。
プリンタとシェイカー幅が1300mmで1時間にTシャツ66枚分を作成可能。「TxF300-75ep」はユーロポート専売の機種で、生産性の高いDTFプリンタを求めた会社で導入されている。
また、ローランド「BY-20」とシェイカーを組み合わせたDTFシステムや、エプソンのガーメントプリンタ「SC-F2250」でDTFを行うなどでアピールした。

このほか「UJF-6042mⅡe」ではアクリルへのプリントを実演し、レーザー加工機「HUSER」でカットしていた。同加工機は書こうスピードが400㎜/秒、加工サイズは800×600㎜。

 

中国製DTFの新規参入増加

TERMINAL7は初出展。中国製のDTFプリンタ「HC602」とシェイカー「SH600R」を展示した。
「日本での販売はこれからで、知名度を上げながら実績を作っていきたい」と担当者。

また、UV-DTF「U603」でUVデカールを出力。DTFと同じようにフィルムにインクを転写して、粘着剤を裏側から塗布し、これを貼り付けてこすればデカールシールのような効果があるというもの。
このUVデカールマシンは中国や韓国が得意で、布用のDTFを出している会社が多く作っている。
デカールはオフセット印刷やスクリーン印刷でつくられることが多く、少量生産が難しいことから、この方式は伸びる可能性があると思う。
日本のメーカーはこういうのに気づかない、もしくは市場が見えないと飛び込まないところがあるのはDTFの初期と同じだ。

上野山機工は今回も韓国MANPROTEK社のDTF「DTX PRO」シリーズを出品。「DTX STUDIO」は超小型にもかかわらず出力幅が600mmの2ヘッドで水準を満たした生産性があるという。
同社はこのほか、折り畳み機やヒートプレス機など、アパレルプリント周辺機器を一貫して展示した。

バードランドマシンは卓上UVプリンタ「UVP-A3XP」を日本初出品。最大出力サイズはA3 330✕600㎜で、最大厚150㎜までをプリントできる。インクは6色(CMYKWV)を搭載でき、クリアにす可能なども可能。同機は、中国製品を日本仕様に組み直したもので、同社では数年で100台の販売を目指すという。
価格は100万円超程度。

シンプルアクツは中国製の「OtterDTF」を紹介。この日展示したのは小型機で、300mm幅を紹介。
ロールtoロールマシンで、シェイカーは用意がなくパウダーは手で振りかける。同社は自社がプリンティングを行う会社で、同機を使ってのTDFプリントを行っている。
同社では自社でTシャツプリントを行う会社で「自分で作っているから他社に勧められる。北米や欧州で販売されていることから、プリンタとして洗練されている。日本には小型でいいDTFがないことから販売したいと考えた。日本人が満足できる仕様で、我々も使用しているので仕事のコツなどもお教えできる。家電のような感覚で使えるマシン」と担当者。
「OtterDTF」シリーズは、出力幅は400㎜、600㎜などもあり、さらに大型で生産性の高いDTFもある。

DTFを中心とした海外製品は、中国のビザなし渡航の解禁も相まって増えそうだ。資材の遅滞ない供給や保守サービスの安定などが見込めるなら、これらの会社の製品も導入が進むだろう。

グラフィックサポートは、小型のUVプリンタ「BFクラフトUVpro-6mini」を紹介。本体サイズはW500 x D560 x H400mmで出力サイズはA4価格は69万8000円。担当者は「A4サイズでお求めやすいものを提供する」としている。

テクノプロモーションは「CORFIDO」など小型DTFを展示。同社はプリント資材の専門商社でもあり、川井浩社長は資材の専門家。このため、輸入フィルムを多数用意しユーザーのニーズに応える。

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