【2019年8月30日】「第4回 デジタルテキスタイル研究部会講演会」が8月27日、東京都渋谷区の文化学園大学で開催され、業界関係者や研究者、報道など102人が参加した。
主催はファッションビジネス学会 デジタルテキスタイル研究部会。
「デジタルテキスタイル研究部会」は、2017年4月に設立され、企業と消費者との関係が変化する中、ファッション産業の新しい飛躍を目指して、情報提供や意見交流を行っている。
今回もデジタルテキスタイルの最前線にかかわる以下の3組が講演した。
特に今年6月ペイン・バルセロナで開催された「ITMA2019」に関して、コニカミノルタの稲田寛樹氏やキヤノンの城田衣氏らの報告が中心となった。
この報告では、以下のようなポイントが挙げられた。
① 会期中に一台約4億円といわれるシングルパス機が計10台成約した等、高額な高速機が多数商談成立し、従来捺染業者向け展示会として大成功
②マイクロファクトリーなど垂直統合系の展示は少ない
② プロセス面で、色管理プロセスや前後処理プロセスの短縮の動きがみられた
④材料面では、ドラスティックな新材料の登場はなかったが、前後処理不要の顔料インク、混紡用インクなど進展が見られた
稲田氏は、まとめの中で「シングルパスは各機種の画質と生産性のバランスに大きな差はなく、市場での安定稼働実績やダウンタイムの縮小が競争軸に」「コストや品質の見える化に向けたデジタルデータ連携を進める必要がある」としている。
また、城田氏は「HPが業界に本格参入」「紙を媒介とするプリント方式の対象布の拡大」「直接昇華、顔料インクの技術の進歩」「従来捺染(スクリーン)との組み合わせが進む」「新規ベンチャーの参入」などをトピックスとしている。
さらに予測では「従来捺染業者のデジタルへの置き換えが進む」「(紙を媒介とする)昇華方式は転写紙等の問題が大きいが、参入の容易さから引き続き市場は拡大する」「直接昇華、顔料インクの技術の進歩から、用途によって昇華方式から直接方式への転換が可能となる」「従来捺染(スクリーン)との組み合わせによる新たな表現が生まれる」「新規ベンチャーの参入が続く」といったことを挙げている。
このほか、「デジタル化で変わるファッションマーケット」のテーマでレクトラ・ジャパン 代表取締役社長の田中昭彦氏が講演を行った。
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