【2016年12月26日】「デジタルテキスタイル2016」が12月13日、東京都新宿区の京王プラザホテルで開催された。同イベントの日本での開催はこれが初めて。
主催のWTiN (英国、ワールド・テキスタイル・インフォメーション・ネットワーク)は、雑誌「デジタルテキスタイル」の発行や多くのイベントの開催で知られる。
共催は大野インクジェットコンサルティング。
「デジタルテキスタイル2016」は、繊維やアパレル分野、またソフトサイネージなどで活用されているデジタルテキスタイルの最新動向を報告するコンファレンスイベント。
今回も国内外のデジタル印刷機メーカーやアナリストなどが登壇した。
冒頭、主催者を代表しWTiN のマーク・ジャービス マネージングディレクターがあいさつ。「日本には有力なインクジェットヘッドメーカーやプリンタメーカーが数多くあるが、このコンファレンス開催は初めてである。これを機会に今後は世界のデジタルテキスタイルの最新情報をお届けし、さらに業界を活性化して行きたい」と述べた。
コンファレンスは、大野インクジェットコンサルティングの大野彰得代表が司会者となり、翻訳・解説を交えながら進行した。
初めに大野氏が「インクジェットテキスタイル印刷の歴史」のタイトルで講演し、「世界のデジタルテキスタイルの進歩に比べ、わが日本は取り残されている。いつの時代も日本を変えるには、外圧が必要なのかもしれない。という訳で、英国企業による当コンファレンスを密かに『黒船プロジェクト』と呼んでいる。日本の捺染産業を変えるきっかけにできればと願っている」とまとめた。
WTiNのジョン・スクリムショウ氏が「デジタルテキスタイル印刷-世界市場概要」のタイトルで、現代のデジタルテキスタイル印刷市場規模や状況を、調査結果をもとに解説。将来の成長分野の予測も行った。
Digital Textile Solution Limited のポール・ユエンCEO(Paul Yuen)は「デジタルテキスタイル印刷 – 中国市場の見通し」のテーマでプレゼンテーションした。
このセッションでは、現状の中国でのデジタルテキスタイル印刷規模について、掘り下げた調査をもとに中国市場での成功事例を紹介した。
「マーケットに出現する新規技術」のセッションではコニカミノルタの松井康祐マネージャーが、11月に上海で開催されたITMA ASIA(繊維機械の大規模展示会)について報告。テキスタイル印刷分野でインクジェットを応用することの有効性や、活用を拡大させる新技術開発を考察した。
「印刷品質の向上に有効なソフトウェアの役割」では、Inèdit Softwareのオリオール・マルティネス氏が、産業用印刷での大量の画像データ処理に必要なソフトウェアの役割を中心に話した。
Coldenhove Papierのヘイスベルト・ハルムセン シニアセールスエグゼクティブが、「高速産業用プリンター用昇華紙」のテーマで、高速デジタルテキスタイル生産用プリンターの最新世代用の昇華転写紙に要求される特殊な性能規格を説明した。
「プリンター&購入者の市場予測」では、再びWTiNのジョン・スクリムショウ氏が、デジタルテキスタイル産業内での要望を調査した主な調査結果と、市場内での既存のチャンスについて話した。
特に「デジタルテキスタイルによって、プリントだけでなく縫製まで含めたアパレル製造業が先進国に戻って来る。既に事例が増加中」との報告に注目。欧米で起こることは必ず日本でも起こるとの予言も披露した。
「ケミカル仕上げのためインクジェットを用いた費用節約の可能性及び品質向上」では、EFI Reggianiのマイケル・リーバマーケティングディレクターが、ケミカル仕上げを行うインクジェット技術について、テキスタイルへの応用などの調査結果を報告した。プリントのほか、無地染めや、撥水・親水などの機能付与へのインクジェット応用を構想しており、実現すれば繊維業界に大きなインパクトを与える。
パネルディスカッションでは大野氏がコーディネーターとなり、同イベントの全講師が登壇。このほか、スポンサーによるプレゼンテーションも行われた。
「デジタルテキスタイル」は今後、日本での定期開催を予定しており、次回開催は2017年冬を予定している。
同イベントやデジタルテキスタイルに関しての質問は大野インクジェットコンサルティング(akiyoshi.ohno@gmail.com)まで。
WTiN
http://www.wtin.com/
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