【2018年10月19日】アサヒ飲料は今年5月、商品にロールラベルをつけない「アサヒ おいしい水 天然水 ラベルレスボトル(PET600ml、PET1.9L)」を発売した。
「アサヒ おいしい水 天然水 ラベルレスボトル」は、同社初となるラベルレス商品。ESG(環境・社会・ガバナンス)領域に関する活動の一環で、廃棄物削減などによる環境負荷低減の取り組みを強化している。これにより、ラベルに使用する樹脂量は約90%削減となった。
今回はこの商品を企画したアサヒ飲料マーケティング本部の河野裕一郎副課長に話を聞いた。
――ネット通販に消費の中心が移行し、また環境対応が必要な中で登場したと思われるラベルレスの飲料水に関して、先進的な取り組みとなりました。ラベルレスミネラルウォーター開発の経緯は、やはり環境ですか
当社も国連が定めたSDGs(持続可能な開発目標)に従ったさまざまな取り組みをしています。
例えば、「三ツ矢サイダー」では、バイオマスラベルやライスインキ、バイオエタノールの採用をしており、商品として取り組んでいます。これ以外に、「水と環境に関しての出前授業」を行い、社員が講師になって、子供たちと一緒に地球環境について考えるなどの取り組みもしています。
環境と人にやさしいことは重要で、今回の「ラベルレスボトル」の展開も、これに従ったものなのですが、一番重要なことは「ラベルを剥がすのが面倒くさい」という声に応えた点です。
――ラベルを剥がすのが面倒くさいという声ですか
そうですね。
商品を流通させるときラベルは、重要で店舗に陳列された時に商品の中身を表しますが、使用後には剥がして捨てるという方が多いようです。最近のリサイクル方法では「剥がさなくてもよい」という場合もあるそうですが、ご近所が剥がしていると、自分だけ剥がさないというわけにはいかないようで、皆さん剥がして捨てていらっしゃるようです。
その中で、「毎日水のラベルを剥がすのは面倒くさい」という声が上がっていたのは事実です。
――ネット通販のみでの展開ですね
Amazonでテスト販売しています。
――社内では反対意見はありませんでしたか
やはり「ラベルがないと何かわからないのでは」「ラベルがないものを買ってくれるのか」という心配の声はありましたし、私自身もその考えを持っていました(笑)。
そこで、消費者にアンケートを取ったところ、思った以上にネガティブな意見は少なく、買いたいという声が多かったのです。
主に賛成派は「エコにいい」「剥がす手間がなくなるのはいい」というのがその意見でした。
一方で反対というか不安を持った方たちは「品質に不安を持つ」という声がありました。
当社としてはボリュームが大きい水の市場で、価格に頼らない価値を見出すときに「ラベルレス」というのは大きな武器になると考え、今回の商品を発売しました。
――ラベルレスでどのように内容や賞味期限などを担保していますか
今回の場合は、通販限定の箱入り商品ですので、まずは箱に内容を記載してこれを担保しています。賞味期限は段ボールはもちろん、キャップにも記載しています。法律の観点からもカートン1つで1点の商品ということになり、表示の問題はクリアしています。
また、Amazonなどでは、内容をサイト内でしっかり訴求して、買った方の不安がないようにしています。
――ラベルレスで包材などの企業から不安の声は出ませんでしたか
ご質問はいくつかいただきましたが、特に不安の声はございません。
――発表後、お客さまやマスコミからの反響は
4月末にリリースし、ウェブなどで記事が取り上げられました。ヤフーニュースのトップにもなり、話題性としては思った以上でした。
ヤフーのコメントでも「環境にいい」「使いやすそう」「はがす必要がない楽さ」を強調した感想が数千単位で寄せられました。他のSNSの分析でもおおむね好感を持っていただいたと感じています。
――今回、個々の商品への記載が必要なリサイクルマークは、ラベルの代わりにシールが貼ってありましたが、ロールラベルの代替として、シールを貼れば店舗でも流通でき、剥がしやすくなるのではありませんか
店舗に並べるには「流通段階で剥がれてしまわないか」「陳列の時、ひとつの面だけのシールで大丈夫か」などさまざまなことを考えなければなりません。
剥がしやすさという点では、いいかもしれませんが、現段階では何とも言えません。
――ネット販売以外、同商品以外への展開は
現在はミネラルウォーターの売り上げは横ばいですが、宅配やウォーターサーバーなどにお客さま流れているのも事実です。
また、健康志向や災害での備蓄用としての需要もあり、そういった点でユーザーから求められることも期待しています。
――他商品でのネット販売でラベルレスは
今はミネラルウォーターで検証している段階で、その結果を踏まえ検討していきたいと考えています。
年間販売目標はPET1.9Lが30万箱、PET600mlが12万箱で、これを販売してからさまざまなことを考えていきたいと思っています。
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