印刷業界とユーザーをつなぐニュースサイト 

紙と印刷にかかわる人なら知っておきたい!西麻布の「マテリアル・ガーデン」はアイデアと製法をつなぐ場所


柔らかだと思えば、丈夫な建材のようにもなり、厚くも、薄くもでき、形も自由自在。色や質感もさまざまで、表面には文字や絵を描くことができる媒体。それは紙だ。
その紙について素材と活用法を提案する学びの場が東京・西麻布にある。
「マテリアル・ガーデン」では、紙を中心にさまざまな素材を活用した商品や提案品を常設展示し、その可能性を再発見できる。

マテリアル・ガーデン 001 マテリアル・ガーデン 059

紙の持つ無限の可能性を追求
マテリアル・ガーデンは「KREI /co-lab 西麻布」に開設されている。KREIはコラボレーションを通じた新たな働き方の創出を目指すコクヨグループのクリエイティブセンター。併設されているco-lab(コーラボ)は、クリエイター専用の会員制コラボレーション・シェアオフィスで、渋谷や千駄ヶ谷、二子玉川、代官山、墨田亀有などに拠点がある。
まさにクリエイターの感性を刺激する取り組みとして、マテリアル・ガーデンは設置されたのだ。

商品や提案品の展示は、同所のオープンスペースでなされており、重厚な本棚にそれらが陳列され、フックにかけられた解説用リーフレットで紹介されている。来訪者は興味のある提案品のリーフレットを自由に抜き取り、開発者や技術を持つ企業などとコンタクトできる。

同所を企画した小杉博俊さんは「紙の仕事人」と呼ばれる紙素材とその応用の専門家。これまでも、さまざまな商品開発を行い、時には支援してきた。

マテリアル・ガーデン 060

小杉さんは「紙の持つ無限の可能性を表現したかった」と開設のきっかけを語る。
紙には合成紙やフィルムなども含めて無数の種類がある。加工法も日々進化し、新たな技術が生まれている。

小杉さんのところに持ち込まれるものも膨大で、紙以外の素材もたくさんあり、それらを組み合わせて新たな製品を作り出すことが多く「もっとオープンなスペースで、たくさんの人が見ることによって、さらに新たな製品が生まれる場所」としてこのマテリアル・ガーデンの価値は高いという。

紙を生かすユニークな製品たち
陳列されているものを紹介しよう。

「ゲラメモ」は出版社で大量に使用される校正用ゲラの裏側を使ったメモ帳だ。日本伝統の和装四ツ目綴じを採用し、雰囲気は和綴じ本そのままというのも面白い。
「もしかしたら、有名なあの本のゲラかもしれない」という読書家心をくすぐるロマンも感じる。

同商品は羽塚順子さんを中心に活動するPRe Nipponが企画したもので、福島県南相馬市の障がい者施設「NPO法人さぽーとセンターぴあ」で障がい者が作成しており、彼らの社会進出を手助けするアイテムともなっている。また、ここから発生した「東北和綴じ自由帳」が、2015年度グッドデザイン賞を受賞した。

「ランチョンマットブックShiki」は、紙のランチョンマットをブックレット風にしたもの。すべて柄が異なっており、気分やイベント、使う人のイメージに合わせてミシン目で切り取り使用できる。
デジタル製版機を活用し、さまざまなデザインの紙を織り込むことができ、バリエーションをつけやすい。こちらは、みさとみらい21と三郷コンピュータ印刷が、フォーム印刷(帳票や連続伝票)の技術を活用し商品化したものだ。

マテリアル・ガーデン 011

同じくみさとみらい21と三郷コンピュータ印刷の技術で作ったのが、最長40mの「なが~い、なが~い、スタンプ絵本」。こちらもフォーム印刷の技術とデジタル製版機で作らており、これまでにない表現方法を獲得している。
帳票が得意とする蛇腹折りを活用しており、墨1色で印刷された絵巻物は、さまざまなスタンプを押すことで壮大なグラフィックを展開できる。

マテリアル・ガーデン 009

「紙風船deポップコーン」は、昔懐かしい紙風船の中にポップコーンの素を詰めた商品。電子レンジでチンすれば、中のポップコーンが膨らみ、風船も膨らむ。
子供たちは風船をビリビリっと破り、ポップコーンを食べる。このビリビリに爽快感があるという。小杉さんがアイデアを出した作品だ。
ここでは紹介できないが、このほかにもまだ多くの商品やアイデア提案品が展示されており、不定期で展示品が入れ替わっている。

マテリアル・ガーデン 028

アイデアと製造法をつなぐ場所に
もちろん、行われているのは陳列だけではない。co-lab渋谷アトリエにある「co-factory」と連携し試作品作成や商品開発までをコンサルティングすることも可能だ。クリエイターとビジネスパーソンをつなぎ、課題を解決する機関というのがこのマテリアル・ガーデンの真の姿といってもいい。

小杉さんは「クリエイターはアイデアを持っているが、素材や加工法がわからず壁にぶつかるときがある。また、企業も新たな素材や加工法を持っているが、製品化できないといった悩みを持つ。こうした課題を解決する場になればありがたい」とマテリアル・ガーデンの活用を呼びかける。

マテリアル・ガーデン 004 マテリアル・ガーデン 055

紀元前に中国で発明されたとされる紙、今でもその記録性や携帯性、保存性、易加工性などは他の媒体に比べて突出したものだ。小杉さんが言うように、無限の可能性があるこの紙という素材に、新たな命が吹き込まれる場所としてマテリアル・ガーデンに注目が集まりそうだ。

関連記事
今熱い!新規入会者殺到の「紙のエレクトロニクス応用研究会」とは? 印刷、広告業者から熱い視線

 


Copyright © 2017 プリント&プロモーション(印刷とユーザーをつなぐニュースサイト) . ALL Rights Reserved.