【2023年9月4日】サトーは9月1日、東京都港区の同社本社で、2018年12月から提供している非破壊の果物の硬さ診断サービス「coro-eye(コロアイ)」について、小売りの売場などへ需要が拡大していることから、導入事例などを交えた記者発表を開催した。
「coro-eye(コロアイ)」は、さまざまな果物の果肉の硬さを専用の機械に置くだけで測定し、切らずに食べ頃を判断できるサービス。システムは硬度測定装置とタブレット端末、ラベルを発行するためのプリンタで構成されており、果物を置けば数秒で硬度を表示できる。
硬度測定は、果物に振動を与えてその共振の波形から、食べ頃について「硬め」「柔らかめ」などを測定・評価。プリンタで「〇日ころ~〇日ころ」と食べごろを示したラベルを発行できる。
硬度診断は、あらかじめ果物へ振動を加え、サトーの社員が実食しながら、その波形を時間の経過とともに記録し「食べごろ」の始まりと終わりを見極めている。このため、品種やブランドごとの細かな評価にも対応できる。
今回、発売から4年半を経て、導入事例が生産者から小売りの現場に広がり始め、その中で新たな使用法やキーワードが生まれ始めているという。
開発にあたったリテール事業戦略部シニアエキスパートの佐渡真一氏は「果物の食べごろ判断を失敗し、美味しくなかった場合はサイレントクレーマーになり、7割が果物離れするという調査結果がある」とした上で、宮島観光サービスの「キーツマンゴー」の事例を紹介した。
このマンゴーは見た目や香り、表面の柔らかさなどから熟し具合を判定しづらいことから、売ることが難しく「果物屋泣かせ」と呼ばれてきた。
開発者でリテール事業戦略部シニアエキスパートの佐渡真一氏
宮島観光サービスの辺土名忠志社長は「毎年、販売に苦労するキーツマンゴーが今年はシーズンの初めに売り切れた」とし、その上、毎年社員を悩ませていたクレームはもちろん「食べごろはいつか?」という問い合わせも激減したと報告。さらに廃棄も3割から1割まで減り、市場価格が1個2000円程度という高級な果実の食品ロスを減らすことに成功したという。
宮島観光サービスの辺土名忠志社長
前出の佐渡氏は「coro-eyeの導入は、農園や選果場などの川上が中心だったが、『食品ロス』などのキーワードが浸透したことから、少しずつ小売り、生活者に需要が移っている」とし、売り場で「coro-eye」を使って来店者が自ら果物の硬度を測る事例を紹介。「購入する人が自ら測定する“体験”も一緒に販売することデカ客満足度が上がり、安心して買えることから食品ロスも減少した」としている。
システムの販売価格は「ハード」と「クラウド利用料」があり、しすてむの買取価格は50万円、クラウド料金は1カ月1万円。リースの場合は1カ月1万円、クラウド1万円となっている。さらにある期間しか使わないという場合は、短期レンタルサービスも用意しており、料金は1カ月5万円。
「coro-eye」は、4年間で10件の契約だった。しかし、昨年下期から大手小売りで20件を新規受注するなどで導入が加速し、累計30件が導入済み。今期50件、来期100件、その後大手小売りでの一斉導入なども視野に入れており、今後3年間で1000件の導入を目指す。
サトー執行役員の岡本剛氏は記者発表で「我々はメーカーとして物づくりにこだわってきた。coro-eyeは、商品そのものの見た目ではわからない食べごろを調べて、販売やおいしさという喜びを提供できる。フードロスの削減で貢献するシステムにワクワクした気持ちでいる」と話した。
サトー執行役員の岡本剛氏
coro-eye
https://www.sato.co.jp/market/common/coro-eye/
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