【2023年2月22日】大手印刷通販の受注停止・休止の連鎖が、2月中旬から続いている。
プリントパックやグラフィック、ラクスル、プリントネットなどが、いずれも一部の商品を発注できない、もしくは納期が遅くなるという状態になっている。
他の媒体が、このかなり重大な事案を書いている様子がないので、速報性があるットメディアの使命として、確認できる範囲で、今起こっているこの状況を追ってみたい。※写真はイメージ
わかる範囲で最も早かったのが、2月10日のプリントパックの「一部商品の受付中止」。受注を休止したのは「変形サイズ」「無線綴じ冊子」「中綴じ冊子」「折加工商品」「大部数チラシ」「薬袋」など。また、一部の商品は納期を伸ばすなどの対応をしている。
このあとグラフィックが2月15日、「中綴じ冊子」「無線綴じ冊子」「UV圧着はがき印刷」「フチのり圧着DM印刷」で部数や納期の制限を開始した。
また、ラクスルは2月17日、「一時的な受注増加に伴い」と断りを入れた上で「新聞折込」「ポスティング商品」「印刷商品の一部」を販売を停止としている。
さらにプリントネットは2月21日、「オフセット印刷商品」「オフセット中綴じ冊子印刷商品」「オフセット無線綴じ冊子印刷商品」の一部営業日制限、「輪転チラシ」「フライヤーチラシ(B4サイズ)」の受注制限を開始した。
この時系列と「中綴じ冊子」「無線綴じ冊子」などの品目の重なりを見ると、プリントパックの受注制限をトリガーに、ユーザーからの発注が他社へ集中したことから、こちらも受注量のキャパをオーバー。このあと連鎖的にこのほかの印刷通販も許容量を超えて、受注の停止や休止、納期の遅延が起ったものとみられる。
SNSなどの反応を見ると「ユーザーはパニック状態」「入稿しといてよかった」「入稿済の注文も到着が遅れている人がいる」といった書き込みが見られた。
また、同業者の「弊社の印刷通販も仕事が混んできています」「困っている方、うちを使ってください」「当社の印刷通販もご一考を」といったつぶやきも散見された。
この問題、どこが悪いという犯人探しをするつもりはない。
テレビCMやネット広告により、懸命にユーザーを集めていた印刷通販が、キャパオーバーになるというのは、それだけ業態が一般的になったのだと感じる。「印刷通販は、印刷業全体が縮小する中、伸び続けている」という矢野経済研究所の調査も発表されたばかりだ。一般の人にとっての印刷は、もはや「印刷通販」であると言っても過言ではないだろう。
一方、携帯電話の通信障害や、電車の遅延と同じで、規模が大きくなり社会インフラのようなものになるとしたら、不利益を受けるのは利用者だ。また、その不利益は、印刷通販全体の評判に跳ね返ってくるだろう。
携帯電話では他社の通信施設の代替利用、鉄道会社では振り替え輸送などの措置がある。
印刷通販は、ネットという他社とオープンでつながりやすい媒体を使った業態。このため、組合のような古い形式の組織をいまさら作る必要はないと思う。ネットを使った横の連携など、フレキシブルな枠組み作りの議論が待たれると同時に、ここに新たなビジネスチャンスがあるとも感じた。
【参考】
プリントパック「ご注文の受付休止につきまして」
https://www.printpac.co.jp/contents/stop/
グラフィック「お客様へ重要なお知らせ」
https://www.graphic.jp/information/head_news
ラクスル「一時的な受注増加にともなう一部商品の販売停止のお知らせ」
https://raksul.com/news/586/
プリントネット「【重要】受注制限のお知らせ」
https://odahara.jp/news/index.php?id=1138
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