【2016年3月30日】2015年12月、紙やプラスチックに代わる新たな素材「LIMEX(ライメックス)」をつくるTBMは、LIMEX工場第二号立地協定締結式(宮城県多賀城市)を開催した。LIMEXは石灰石を主原料とするもので、ストーンペーパーの一種といえる。だが、その中身はこれまでのストーンペーパーとは一線を画すものという。
製造時に樹木や水を使わず、非常に環境負荷の低い製造工程を実現。再生利用も可能なことから、注目を集めている。
昨年、宮城県にパイロットプラントを建設し、実用品の製造を始めたTBM。LIMEXの素材としての魅力や今後の展望を、開発・製造しているTBMの山崎敦義社長に聞いた。
どうしてLIMEXを開発されたのですか
以前はストーンペーパーを台湾から輸入していました。ストーンペーパーは環境にやさしく丈夫で、素晴らしい製品、可能性のある製品だと思って始めたのですが、輸入品は価格が高いわりに品質が安定せず、製品として満足のいくものではありませんでした。それなら、「自社で作ってしまおう」と始めたのが、LIMEXの開発です。
製品の特長を教えてください
石灰石を使った素材であるため、紙のように加工でき、丈夫で水に強く、印刷物や袋など、紙製品の代替用途で使用できます。
通常の紙では1トンを生産する場合、樹木を約20本、水を約100トン使います。
しかし、LIMEXではいずれも使用せず、石灰石0.8トンとポリエチレン0.2トンから、製品1トンを生産できるのです。
樹木を使用せず原料が石灰石であること、そして製造時に水を使わないことが評価され、今、世界から注目されています。
それはどういうことですか
まず石灰石ですが、比較的世界のどこでも取れるのです。ですから、原材料に困らない。さらに水を使わず作れることから、環境負荷が低いのはもちろん、水の少ない地域でも生産が可能なのです。
「紙」としての納品方法は
四六もしくは菊全の枚葉紙で納めています。いまは量産ではないため、枚葉での納品のみですが、今後、ユーザーから希望があればロールでの納品も可能にしていきます。
厚さは最小で80~100㎛が可能ですが、今は約200㎛で生産しています。
用紙としての利用のほか、容器やプラスチック製品の代替としての利用も考えていますので、当社がさまざまな形に加工して納品することも考えていきます。
同社では2015年2月、宮城県白石市に年産6,000トンのパイロットプラントを建設されました。
現状はどうなっていますか
品質の改良を進め、同時に実用化に至りました。昨年12月の発表で示した通り、多賀城市に新たに量産工場を建設する予定で、2年後を目途に年間30,000トンの生産量を目指します。
プラントも製紙工場に比べて非常に小規模で作れるため、水の少ない内陸部でも作れます。
販売先などは
販売チャネルは現在構築中です。LIMEXのコンセプトを理解していただき、当社とともにパートナーとして製品を作り上げていただける会社があれば、一緒にやっていきたいと思っています。
もちろん、紙への印刷や加工に関わる印刷業の方たちも重要なパートナー候補と考えています。
ストーンペーパーは加工が難しいという声もありますが
加工の部分は、課題をクリアできた部分もあれば、そうでない部分もあります。それは合成紙や塩ビも同じではないでしょうか。
今のところ加工で大きなクレームが出るようなことはないのですが、課題が出てきたらそれを解決していくつもりです。そのためにも印刷や後加工ができる会社と一緒に、製品づくりに取り組みたいと思っています。
そういった会社と積極的に情報交換できればうれしいですね。
とにかく、ユーザーの声には応えていきたいと思っています。
印刷適性は
オフセット印刷への適性は非常に高くなってきました。まだまだ発展途上でありますが。
価格はどのくらいでしょう
今は合成紙と同等くらいです。これも量産がしっかりすれば、もう少し下がっていくでしょう。
廃棄の面でも優位性があるそうですね
主原料の石灰石は使用後リサイクルできるため、廃棄物が出づらいです。
廃棄するとしても一般ごみとして廃棄できますから、環境負担は非常に軽いです。
今後の展望は
2017年12月には量産プラントが完成するので、量産化を進め、LIMEXを確かなものにしていきます。
水を使わずに生産できることから、砂漠地帯の中東地域などからも引き合いが来ています。小規模プラントで済むため、世界中のあちこちに生産拠点を作ることも可能でしょう。
当社がPRを行い、良いパートナーと一緒にこの技術を広めていきたいと思います。
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