【2021年5月17日】新型コロナウイルス感染拡大の影響から、印刷やプリント関連は不調を極めている。その中で唯一好調なのが、グッズプリント。Tシャツはじめとしたアパレルやバッグ、スマホケース、アクリルキーホルダーなど、紙以外へのプリントだ。
この中でもメイン商材ともいえる、Tシャツなどアパレル関連のプリントに利用されているのがKornit Digital(コーニット)のガーメントプリンタ。多くのプリンタの中でも最高ランクに分類される同社の製品だが、コロナ禍での同社の動きはどうなのか、Kornit Digitalゼネラルマネージャーの多田比佐史氏に話を聞いた。
――コーニットの直近の活動はいかがですか。売上なども含めてお教えください
日本もグローバルも製品やサプライの動きは悪くはないです。
――コロナ禍でそれはすごいですね。どのあたりがその動きを支えているのでしょうか
eコマースでの、アパレルプリントの動きが活発で、オリジナルのTシャツをはじめとした商品に多くの需要が集まりました。その中で当社プリンタの導入も進みました。
――やはりeコマースなのですね
昨年はロックダウンや、日本でも緊急事態宣言下で商業施設の多くが休業したことから、ネットでアパレルを買い求める動きが進みました。その中でオリジナルプリントの商品を選ぶコンシューマも増えたようです。
大手カジュアルブランドでも、自社の製品製造に、当社製品を採用していただくケースが増えました。
――プリンタの設置は新規需要が多いのでしょうか
新規需要ももちろんありますが、追加で設備されるユーザーが非常に多く、こういう言い方が適当かわかりませんが「勝ち組が追加している」というイメージです。
これまでも同様のプリント事業をされていて、生産が追い付かず、新たな設備でそれに対応しようというユーザーが導入を進めています。各国で多少事情が違いますが、追加の方が目立ちますね。
別の観点からも、テキスタイル、アパレルのデジタルプリントへの移行は進んでいます。
――それはどういうことでしょう
こういった業界も含めて、多くの業界がSDGsの観点から、サステナブルな生産を求められるようになりました。
これまでのアパレル業界は「大量生産・大量消費・大量廃棄」が当たり前でした。たくさん作って、たくさん捨てる。これはあまりエコではないですよね。
また、生地を染める産業は重化学工業に次いで、排水や廃棄物が多い産業です。これも何とかしなければならないという声が上がっていました。
デジタルプリントでは、排水や廃棄物がほぼなく、必要な数を必要なだけ生産できるという利点があります。このために改めて注目されているのです。
世の中の流れが「サプライ(供給)~デマンド(需要)」から「デマンド~サプライ」に変わっています。やはりこの環境下でデジタルプリントが成長するのは当然と考えます。
消費者は、同じデザインでも少しオリジナルの部分がある「マスカスタマイゼーション」志向となり、これが成長しています。この「マスカスタマイゼーション」もeコマース・デジタルプリントと非常に相性がいい分野です。
――それにしても追加が多いというのは、新規が入り込めないのですか?
いいえ、そうではありません。従来、当社製品で生産をしている中堅から大手の企業はかなりあり、彼らを脅かすさらに大きな競争相手が存在しないことがその要因です。こういった企業には生産が追い付かないほど注文が集中し、「ならば」とプリンタを複数台増設しているのです。
もちろん新規もありますし、そういったところにも仕事は多く来ていますよ。
また、市場が注目され始めたことから、今後大きくこの流れが変わる可能性もあります。
――世界の中で日本の動きはどうでしょう
日本はデジタルプリントでは、まだまだこれからの国です。
一部のユーザーは先行して利益を得ていますが、多くのアパレル業者はデジタルプリントを活用できておらず、苦しんでいます。
「着なきゃならない」という「ニーズ」で着ているものは売れていますが、「あれを着てみたい」というような「ウォンツ」なものは売れておらず、ブランドも尖った商品をつくる冒険ができないケースも増えています。
ただ、今はECの環境が整い、ウォンツの商品も見つけやすく買いやすくなりました。
さらに自分がデザインして着る・売るという「Suzuri」などのサイトもあり、「BASE」や「Shopify」など、簡単にECをつくれるプラットフォームも登場しています。そこにはデジタルプリントが活躍する場所があると私は考えています。
――貴社製品の特長を教えてください
前処理からプリントまですべてできるプリンタもあり、ワンオペが可能です。シフト制で24時間、機械を回す場合でも、人員の負担が軽いです。
速度、品質、安定性は業界でも最高クラスなので、アパレル系のプリントを始めるなら、ぜひ当社のプリンタをご導入ください。
また、今後、新機種や機能の追加のなども予定しています。ぜひ注目していただければと思います。
Kornit Digital
https://www.kornit.com/ja/
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