【2025年11月10日】コニカミノルタは、インクジェットテキスタイルプリンタ「ナッセンジャー」シリーズ専用の新開発インクジェットヘッドを発表した。
独自のソルダーレジストインクをインクジェット方式で塗布したプリント基板(PCB)を採用しており、プリンタの性能向上とともに、基板製造工程の変革や環境負荷低減にも寄与する。同社は「ナッセンジャー」シリーズのヘッドを順次この新ヘッドへ切り替える方針だ。

PCB製造では、回路を保護する絶縁膜であるソルダーレジスト層の形成にフォトリソグラフィ方式が主に用いられているが、マスク露光や現像など複雑な工程を伴う。一方、インクジェット方式は工程を簡略化できる上、材料やエネルギー消費量、VOC(揮発性有機化合物)排出を削減できる。しかし普及はまだ途上にある。
コニカミノルタは、この課題に対し独自開発のソルダーレジストインクを用いたインクジェット印刷基板を採用する「KM1024iSAE-SR」「KM1024iMAE-SR」を開発。「KM1024iSAE-SR」を「ナッセンジャー8」に搭載し、テキスタイルプリントと基板技術の両面で実績を重ねることで、インクジェットソルダーレジスト技術の普及を進める。
同社のUVインク技術を応用した独自ソルダーレジストインクは、配線上への定着性に優れ、塗布品質の向上に寄与する。さらに、UL94 V-0などの難燃性評価基準や各種規格にも適合しており、信頼性を確保している。

新ヘッドを初搭載した「ナッセンジャー8」は、今治市の新居田物産で年内に本格稼働する予定で、高精細で鮮やかなタオルプリントを実現する見込みだ。今後は「ナッセンジャー10e」など他機種への展開も予定している。
「ナッセンジャー」シリーズは、テキスタイル向けに特化したインクジェットプリンタとして20年以上の実績を持ち、高品質な印刷と優れた生産性により、繊維印刷のデジタル化や環境負荷低減に貢献してきた。
今回の新開発ヘッド採用により、同シリーズは印刷品質の向上とともに、基板製造分野への波及効果も期待されている。
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