【2025年9月25日】 J.D. パワーは、2025年の「カラー複合機顧客満足度調査」と「カラーレーザープリンター顧客満足度調査」の結果を発表した。
調査は2025年6月下旬〜7月下旬に郵送で実施し、複合機ラージ&ミドル市場5,326社、スモールオフィス市場2,437社、カラーレーザープリンター1,578社から回答を得ている。

2025年の総合満足度スコア(1,000点満点)は、複合機ラージ&ミドル市場が671、スモールオフィス市場が663、カラーレーザープリンターが639で、いずれも近年は上昇傾向にある。2021年比では「商品」と「保守サービス」のスコアがいずれも20ポイント以上改善しており、処理速度や故障の少なさといった基本性能・稼働品質の向上が満足度押上げの主因と見られる。
保守サービス面ではリモートメンテナンスの導入が進み、利用企業の約8割が「迅速で的確な故障対応が受けられている」「故障の未然防止やダウンタイム短縮を実感している」と回答しており、保守品質向上が顕著だ。
一方、複合機を外部クラウドや業務システムと連携して実際に活用している企業は依然として少なく、ラージ&ミドル、スモールとも約1割にとどまっている。にもかかわらず、企業側の関心は高く、文書デジタル化や業務プロセスの自動化を重視する割合はラージ&ミドルで44%、スモールで30%となっている。クラウド連携の導入が伸び悩む背景には、セキュリティ懸念や導入効果の理解不足があると推察され、メーカー側には導入メリットの明確化とセキュリティ説明の強化が求められている。

実際にクラウド連携を利用する企業では、用途が広がっている点も注目に値する。最も多いのは「文書管理・保存」が52%だが、「会計業務(支払等)」は前年12%から19%へ増加し、経費精算や契約業務でも利用が拡大している。こうした利用企業は総合満足度が平均を上回る傾向にあり、連携化が満足度向上につながる可能性が示唆される。
カラーレーザープリンター顧客満足度では、第1位:リコー(660ポイント)が8年連続の総合満足度第1位を獲得。「商品」、「コスト」、「保守サービス」の全3ファクターで最高の評価を得た。

また、ブランド別ランキング(総合満足度ポイント)は次の通り。
カラー複合機(ラージ&ミドル)
第1位:キヤノン(679)/第2位:リコー(675)/第3位:富士フイルムビジネスイノベーション(673)。

カラー複合機(スモールオフィス)
第1位:コニカミノルタ(684)/第2位:キヤノン(676)/第3位:富士フイルムビジネスイノベーション(667)。
カラーレーザープリンター第1位:リコー(660、8年連続)。

調査では総合満足度に対する各ファクターの影響度も示されており、複合機では「商品」(38%)「保守サービス」(28%)「コスト」(21%)「営業対応」(13%)、レーザープリンターでは「商品」(72%)「コスト」(19%)「保守サービス」(9%)が主要因とされる。製品そのもの(印字品質・速度・信頼性)が満足度を左右する比重が特に高い点は変わらない。
今回の結果から読み取れる主な示唆は次の通り。メーカー側は(1)基本性能と信頼性のさらなる向上、(2)リモート保守の普及・活用促進、(3)クラウド連携の導入メリットを分かりやすく示すこと、およびセキュリティ不安への対策説明を強化することが重要である。企業ユーザーは、導入時のトータルコストと運用面の利便性(リモート保守やクラウド連携の有無)を評価軸に含めることで、満足度の高い選択につながる可能性が高い。
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