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今熱い!新規入会者殺到の「紙のエレクトロニクス応用研究会」とは? 印刷、広告業者から熱い視線


【2015年9月25日】日本で最大の印刷展示会IGAS2015でもっとも多くの人が訪れたと思われる日本HPブースの隣にあった「+FUTURE」というコーナー。ここは大学などの教育機関や研究機関、研究グループなどが出展し、未来につながる新たな技術を展示したスペースだ。

話題となった光る!動く!デコトラック
中でも注目を集めたのが「紙のエレクトロニクス応用研究会」の展示だ。
厚紙でできたデコトラを光らせ、テーブルの上で動かし、来場者を驚かせた。
まずはこれを見ていただこう。

テーブルがターンしているわけでもなく、下にローラがついているわけでもない。これはフィルムモーター(静電モーター)という静電気を使った動力システムだ。

IGAS3日目 223

簡単に言えば、2枚のフィルムを使用しており、下に敷いたフィルムに高電圧をかけ、電圧の高い位置を移動させることにより、上のフィルムを動かすシステム。
このため、ほとんど厚みがなく、テーブルの下を覗いても何の機器もない。場所を取らない設備の薄さがこのシステムの特徴でもある。

この日は軽い紙のトラックを動かしていたが、同じシステムを利用して約20㎏までの重さなら動かすことが可能というから、その応用範囲はかなり広いと思われる。
POPやディスプレーした商品などを軽快に動かせば、広告媒体として有効で訴求力も高いだろう。

LEDを光らせているのは紙の表面に配線された銀ナノインクによる回路だ。
こちらも薄く、自由に配線できる上、カラーでのプリントも可能という。回路をカラーにし、絵や文字を描けば、配線自体を楽しい演出として使える。

このほか、フィルムモーターを使ったデモンストレーションでは、フィルムのレーシングカーを壁に張ったレーシングコース上で走らせるという展示もあった。
コンピューター制御でランダムにクルマを動かせるため、ディスプレーはもちろんイベントのアトラクションでも使用可能と思われる。


技術研究発表会で語られた実用例

9月14日にはビッグサイト会議棟で、同研究会の「第4回技術研究発表会」が開かれ、印刷関係者や研究者など約60人が出席した。

川口電機製作所の岩下敦部長は「静電モーターの製品化」について解説。構造から、実用化に向けて製作方法の変遷、製品例を紹介した。
実用化へ向けて制作方法の変遷では、基盤や配線を使用し初期の取り組みから、レーザー加工を試したことなどを紹介。最後に銀ナノインクと出会い「配線のルートが自由に」、厚さ1㎜以下で「薄く」でき、B0サイズや長尺などの「大判の制作」が可能になったことを明かした。

紙のエレクトロニクス研究会 015

製品例では、動くクーポンやしおり、ポスター、ターンテーブル、ロール広告などを紹介。課題としては静電気を使用するため湿度や水濡れなどの弱さもあるが、実用化はすぐにでも可能という印象だ。

このほか、筑波大学の江前敏晴教授が「紙基盤のセンサーとエレクトロニクスの開発」、東京工芸大学の佐藤利文教授が「紙の上で光るEL素子」のテーマでそれぞれ発表を行った。

紙のエレクトロニクス研究会 005 紙のエレクトロニクス研究会 022
江前敏晴教授と佐藤利文教授

同研究会の小杉博俊氏は「IGASとこの研究発表会により、入会者が大幅に増えた。この紙のエレクトロニクスという技術への大きな期待を感じる」と反響の大きさを語る。

同研究会では今後も定期的に研究発表を行っていくとしており、実用化に向けて広告代理店や印刷関連企業と連携しながら研究を進めていく。


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