【2025年7月14日】「文具女子博トーキョー」が6月26日から29日までの4日間、東京の有明GYM-EXで開催された。東京での大型開催は3年ぶりで、夏の開催は今回が初めてだった。
同イベントは、“見て・触れて・買える”日本最大級の文具の祭典。会場は連日多くの文具ファンでにぎわい、活気に満ちた4日間となった。今回は「夏祭り」をテーマに、「文具縁日」と題した特別企画を展開。射的や輪投げといった縁日の定番を文具仕様でアレンジし、会場は“文具のテーマパーク”のような雰囲気に包まれた。
プリント&プロモーションではプリンティング関連の商品も並ぶこのイベントを数年ぶりに取材した。
女子博の名前のとおり、来場者の8割から9割が女性だが、男性もちらほら。この男性たち、女性のお供か、もしくは大手小売店や流行に敏感なお店のバイヤーだそうで、ここが新たなトレンドの発信店にもなっていることを知らされた。
OSPグループは「OSP Item」のブランド名で出展した。
「ZipperRoll」はテープの中心線にミシン目が入れてあり、封筒などの封緘をした際にその部分から割るように開封できる。
「フルーツメッセージ」は、ミカンやリンゴなどの果物を模したメッセージカード。実の部分がメモになっており一言を添えたあと、皮の部分を貼り付けて封緘可能。受け取った人は、果物の皮をはがすようにメッセージを確認できる。ミカンとリンゴそれぞれに向き方が異なるのも面白い。OSPの本業はシール・ラベルでその技術の「ノリ殺し」(シールの粘着部分の一部を日粘着にする)を使っている。
「ひとことレスラー」は覆面レスラーが描かれたメッセージシール。腕部分を折り曲げられるなどポーズをつけられる。マスキングテープの「しりとり」は、言葉とそれを表すイラスト29種類をしりとりでつなげたもの。このほか、また、1mごとにデザインの変わるクラフトテープも出品した。
担当者は「今回は『ISOT』で展示した製品が中心で、すでにAmazonや大阪の文具。百貨店で販売中」と話す。
キャノンマーケティングジャパンは協賛ブースとして出展。プリント体験ワークショップでは「缶バッジ」や「クリアフォト」などを、家庭用プリンタで500円程度から作成できるサービスを展開した。
担当者によると「毎年出展しているが、今回は特に満席が多く、プリントしてグッズを作ることへの興味が高まっていることを感じる」と話す。
ラウンドトップは、マルテンの名前で知られるシール・ラベル印刷会社の文具ブランド。マスキングテープがメイン製品で、ラベル印刷機を使った少量・多品種製造ができることが特長だ。
マスキングテープのほかにもカットされた状態のシールのセット「フレークシール」なども販売していた。
マステの老舗という趣も出てきたマルテンだが、商品のパッケージが特徴的で「ミニ牛乳パックパッケージ」や「ミニテープテトラパック」など、ユニークな提案をしていた。この辺りはやはりシール・ラベルというパッケージ業界の会社だけあり「パッケージが商品を売るのには大事」という感覚をデザイナーが持っているという。
村田金箔の「ウチハク」は、「箔押しをおうちで楽しめる」をコンセプトに作られた商品。メタリックのテープは色数が40色以上あり、これを選んで文字やデザインを箔押しできる。箔押しの方法はペン状の糊で紙などの被着体に文字や絵を描き、その上からテープを載せて擦るというもの。
箔押しという印刷業界ではおなじみの技術だが、一般の人でどうやって箔ができているかを知っている人は100人に一人もいないだろう。その常識の差を使って、箔をコンシューマに販売する新たなビジネスを開拓したことは称賛に値する。この日見た中でもトップクラスの興味深い商品だった。
同商品はクラウドファンディングで資金を集め2020年に発売されたそうで、大手小売店などでも販売されており、すでにヒット商品と言えるものだ。
豆本ドールハウスは、豆本づくりのテンプレートを出品。同社は起業したばかりだそうで、ドールハウスなどのミニチュアの小物として豆本を作成できるキットを販売している。テンプレートは鉄の型で、その型通りに紙を切り取ることで豆本が完成する。キットには豆本尿の薄紙や樹脂版(はんこ)もセットされており、楽しく製本が可能という。
マルモ印刷の「お皿のふせん」は660円。同社は商業印刷や出版印刷などを手掛ける企業で、近年はメモなどの文具の製造販売をしている。
お皿のふせんはお皿そのものに見える出来栄えで、その工夫が人目を引く。こういったチャレンジが印刷業界には大事だと感じる。
Lindoの「コラージュマステ」は透明基材でつくられたマスキングテープ。大型でデザイン一つずつを切り離して貼り付けることも想定しており、マステというよりはシールのように使用することも提案する。
価格は1m594円~、3m1000円台とのこと。
同社は中国の会社で10年前からこの商品を販売しており中国ではすでに人気という。
FUWA Marketの「幸せの紋様シリーズ」は「北欧好きターゲットの和柄」というユニークなコンセプト。
賞品はすべて京都の向上で手捺染で染め上げており、日本の伝統工芸を新たなデザインに落とし込んでいる。4月立ち上げたばかりのブランドで、販売先などを模索している。この日もブースにはデザインに魅かれた来場者が多く立ち寄り、がま口や小物入れ、手拭い、茶筒などを購入していた。
BGMは、ジオラマ2.5Dシールを販売。さまざまなジオラマをシールで再現するというもので、純喫茶や居酒屋、お祭り、コンビニなどのテーマで商品を展開していた。
会場は熱気に包まれており、約5万人が訪れたという。
以前に取材した際は浅草の会場で、今の5分の1程度の面積で行われていたが、その時は入場規制で外まで行列ができるほどだった。その熱気でどんどん開催規模が大きくなっており、その展示内容には大手小売店のバイヤーからも熱い視線が贈られるようになった。
当サイトでよく取材するプリンティング系の出展も多く、各社がそのアイデアと技術を競っていた。縮小する印刷などの業界からの転換を目指すという企業が多く、彼らの今後をさらに注目していきたい。
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