【2018年9月27日】「ジャパン・デジタルテキスタイル・コンファレンス2018」が9月26日、江東区の東京コンファレンスセンター有明で開催された。
主催はワールド・テキスタイル・インフォメーション・ネットワーク(WTiN)。
「ジャパン・デジタルテキスタイル・コンファレンス」は、テキスタイル用途のデジタルプリントに関するイベントで、国内での開催は今回で3回目となる。
国内外のデジタルテキスタイルプリントの市場や機器、技術、サービスなどについて、専門家や企業で活躍するエキスパートがセミナーやパネルディスカッションを行った。
プリント&プロモーションでは、テキスタイルプリントの概要が分かる2つの講演をピックアップして紹介する。
冒頭、ムトゥル・シャオシュ・オロズコ氏(WTiN)は、「デジタルプリント市場の概観」のテーマでデジタルプリントについて概観を以下のように紹介した。
テキスタイルのデジタルプリントにはアマゾンなどが参入しており新しい技術に対し莫大な投資をしている。
一方、従来の染色会社は、新技術に投資をするかの選択を迫られている。
今年7月、バーバリーが自社の商品370万ドル分焼却し問題となったが、デジタルプリントは必要な分だけ少量から作れるので環境にやさしいという面がある。そして衣服だけでなく小物やホームテキスタイルなど幅広い分野で使用できる。
しかし、デジタルプリントの市場規模は染色全体の5.5%に過ぎない。5.5%の大部分が既存の染色からの置き換えだが、新しいビジネスも起こりつつある。
スプーンフラワーという米国の企業は、スプライトパターンというブランドを持っており、ここはデジタルプリントにより、ユーザーが自分の好きな服を型紙なしで自分で作ることをサービスにしている。
ホームテキスタイルではコントラド(英国)やエボリナ(スペイン)そういった企業が新たに入ってきている。
マシンではハイエンドのコ―ニットやコニミノから、エントリークラスのミマキなどまである。
生産総量は25万㎡で、メーカーごとの生産量は1位がMSだ。地域ではアジアと欧州の生産量が多くアジアは小型機、欧州は高速機が多い。
今後、デジタルプリントの生産量はますます増えていくが、中でも高速機が増える傾向だ。
変化が激しいので市場を注意深く見ていく必要がある。
大野彰得(大野インクジェットコンサルティング)は、「デジタル化の産業比較論:何故セラミック業界のインクジェット化は5年間で完了したのか」のテーマで、以下のように話した。
「テキスタイル」と異なり、中国での「セラミックプリント」はわずか5年間でデジタル(インクジェット)化された。
セラミックタイルとは、一見、石板のように見えるタイルなどのことで、実はすべてインクジェットで表現されているもの。玄関ホールやビルのエントランスなどでよく見かけるが、石だと思っている人が多いのではないだろうか。
メーカーでは「ダースト」や「KERAjet」「EFI」「クレタプリント」「メジャー」などがあり、200ほどある高級品を生産するラインには、過去の5年間ですべて入っていると考えられる。
セラミックプリントでのインクジェット導入のメリットは明らかだ。
インクジェット化によってコストダウンした。非接触のため、薄くて丈夫、クラックが入らない。また、タイル自体が半分の薄さになり、運送費も倉庫費も半分で済むようになった。
従来と異なり、デザインは自由、凹凸のあるデザインにも対応した。大きなサイズのタイルも生産可能になり、付加価値も向上している。
メリットを紹介したがなぜセラミックプリントはこれほどまで一気に普及したのか、この最大の理由はメリットを享受する人がはっきりしているからだ。
印刷には下請けに出せるものと出せないものの2種類がある。オフなどは下請けに出せるが、セラミックは割れてしまうことなどリスクが多く横持ちできず1社ですべてが完結する。つまりインクジェットプリントのメリットをすべて、導入企業1社が受け取れるのだ。
一方で、テキスタイルは基本的に分業で、特に日本ではインクジェット投資のメリットが誰のものになるのかがはっきりしない。
欧州の方が普及が早いのはZARAやH&Mなどがリスクとリーダーシップをとったからで、日本にはそういったリスクをとる企業がない。
セラミックプリントにテキスタイルが学ぶことは以下の通り。
下請け印刷・下請け構造からの脱却
商習慣を壊すことによって「垂直統合」を目指す
垂直統合=メリットの総取り。リーダーシップ
日本では川上、川中、川下がバラバラだが、それを乗り越えてビジネスを始めている会社もある。
日本企業は機器をつくる能力は優れているが、それをうまく使うのは米国などが優れている。他人のふんどしばかりをつくって相撲を取っていない。そろそろ自分たちで相撲を取ろう。
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