【2021年2月6日】今回はプレスリリースについて書きます。
というのも、ちょっと前にTwitterでプレスリリースについてつぶやいたところ、たくさんの「リツイート」「いいね」と、もっとたくさんの「インプレッション」をいただきました。
そこで今回は、記者が記事にしたくなるプレスリリースの書き方の基礎の基礎について、ポイントをまとめてみます。
さて、私が平日の1日に受け取り、表題だけでも目を通すプレスリリースの数は、およそ80~100通。ちなみに2月4日が92通、2月3日が89通でした。土日も来ますし、英文のリリースもいただくので、年間だと3万通以上いただいているかもしれません。
正直、最近多すぎて、当サイトに関連があっても、書くことができないものも出てきています。
プレスリリースは、記者がそれを見て記事を書き、または取材の申し込みを行う媒体です。
だから、すご~く大事で、最も安価に企業が商品やサービスを一般に紹介できる方法の一つなのです。
でもね、下手くそなリリースが多すぎ!
しっかり書かないと、記者の目に留まりませんし、記事にしてもらえません。さらに言えば間違いの元になります。
当たり前ですが、プレスリリースには書き方があります。
ここをメモっておくだけで、今日あなたは少なくとも数万円分得すると思います。これが分かっていないでプレスリリースを書く(書かせている)会社は、何十万円も損しているんです。
では、どういう順番で書くかをブロック分けすると以下のようになります。
製品・サービスの発表の場合
①社名、日付(発売日、開発日、発表日など)、製品のタイプ、製品名、簡潔に製品の特徴
②製品・サービスの主な機能や特徴(特に新しい機能や特徴)
③それ以外の機能や仕様、価格
④開発の経緯やそれに至る思い
⑤販売目標
⑥問い合わせ先
こんな感じです。
簡単でしょ?
新聞を読んでいただけるとわかりますが、大体こんな風に記事が構成されているはずです。もちろん、記事の分野によって違いますが、製品やサービスならほぼこれで間違いないでしょう。
このどれかが欠けていても、リリースとしては不十分なものになってしまいます。
とにかく①と②のブロックがないと、記事になりません。
ないのは、顔を洗って出直して来い!というか、顔がないからつけて来い!って感じのダメリリースです。
「そんなのわかっている」という方は、読み飛ばしていただいていいのですが、多くの会社がこれをできていないのか、ものすごくわかりづらいプレスリリースが送られてきています。
記者が読んでいて頭を抱えてしまうリリース、1週間に最低でも2、3通はあります。読んでいて「ちょ!待てよ!」と言いたくなるような。
特に多いのが、製品の開発経緯から書かれる方。
いや、わかります。よくわかるんです。
「子供の絵日記式」で、自分がやってきた順番で書きたくなりますよね。「朝起きて、顔を洗って、ラジオ体操をして、ご飯を食べて…」という流れ。
「当社がこの製品の開発に至ったのは1969年の創業時に、創業者の〇〇が東京都千代田区の神田に社屋を…」と会社設立からの大河ドラマが始まってしまうと、記者は頭を抱えてリリースをゴミ箱に入れたくなってしまいます。
「ITについて説明して」と言ったら、人間が火を使い始めたあたりから説明が始まったような文章では、記者は振り向いてくれません。
次に製品に込めた想いを延々と書き綴られる方。
「いかに苦労したか」「これがいかに世の中の役に立つか」など自分の内面を縷々切々と書き連ねるタイプです。もちろんそのお気持ちはわかりますし、魂のこもった商品の方がいいに決まっています。でも、ひとまずそこは置いておくのが大事なのです。
社員や家族、友人のエピソードを入れて、もはや小説を読んでいるのか?と思わせるリリース、これも記事にするとき「あ~苦労しそう!」と思ってしまいます。
上記の内容ですが、後の方でいいんです。というか、ほぼ記事には書かれない雑音なのです。
まずは①のブロックにある
社名
日付(発売日、開発日)
製品のタイプ
製品名
簡潔に製品の特徴
これを必ず書いてください。ここだけでも押さえれば、記事してもらえる可能性がグッと高まります。
逆に①のブロックをしっかり押さえていないリリース本当に多いです。
これについて事例を示しましょう。
まずは
「製品名がない」
「いやいや、そんなことはないだろう」という声が聞こえてきそうですが、けっこう大手でもあるんです。
例えばですが「新たに開発したオレンジジュースは」なんて書かれている。見出しにも本文にも、商品の固有名詞がないのです。記者も当然「いやいや、そんなことはないだろう」とつぶやいて、2度3度と読み返します。でもやっぱり製品名がない!
どうしても書きたい場合は、電話やメールで聞くのですが「え!特に名前なんてないけど、決めなきゃダメ?」という驚きの答えが返ってきたりします。「じゃあ記者さんが決めちゃってよ」と言われることも…。
大手の場合は「開発品なので名称はありません」などと回答いただくのですが、記事の扱いは当然小さくなります。
2つ目は
「どこに特徴があるのか、どこが新しいのかわからない」
ちゃんと、どこが新しくて、いい機能なのかを先に教えてください。これを教えてくれないと、記事を書けませんし、書く気が起きません。
「これまでにない新しいオレンジジュース『〇〇』を新発売」というような記事で、読み進めても、どこが新しいのかまったく分からず終わってしまうリリースもあります。やはり、記者が電話で尋ねると「いや~もう何十年も前からある商品なんだけど、今度、ちょっと名前変えてさ~」ということもありました。「そんなの書けるわけないだろ!」と心でつぶやいて、2クリックでリリースはゴミ箱行きになります。
3つ目は
「いつ発売なのかわからない」
新発売、新製品とは書いているけれど、発売日の記載がない。さらに読み進めると、すでに導入実績が1000台などと書いてあるものも…。「これ発売はいつ?」「本当に新製品?」と電話で尋ねることになります。
これを答え合わせをすると以下のような分類になります。
「実は数年前の新製品で、導入が進んだことを書きたかった」
「シリーズと製品の販売台数をごっちゃにしている」
「発売日が決まっていない(実はまだ開発中)」
「上記の複合」
上記のような、超ツワモノはなかなか少ないですが、プレスリリースの乱れは商品・販売計画の乱れ、というくらい、ダメリリースを出してくるとこは、ちゃんとした商品になっていないことや、売る体制になっていないケースが多いです。
一方で、素晴らしい商品なのに、まったくそれが伝わらないリリース、これもたくさんあります。
そうそう、プレスリリースは最高の商品計画書という言葉もあります。面倒くさいのをパワポとExcelで作る前に、Wordでプレスリリースを作成してみると「自分(自社)がいつまでに、どこで、何を、どうしたいか、そのサービスで世の中にどういう影響を与えるか、どれだけ売るのか」が見えてくると思います。
これから新製品や新規事業に取り組もうと思う方は、ぜひお試しください。
まだプレスリリースについて書きたいことは、たくさんありますが、今日はこのあたりで。
プリント&プロモーション 中村
※文中に登場するオレンジジュースは架空のもので、いかなる企業や団体、個人、商品とも関係がありません
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