【2017年7月3日】今年5月、ミネラルウォーターブランド「い・ろ・は・す 天然水」のラベルにフレキソ印刷を採用したコカ・コーラシステム。
【この人に聞きたい!】「い・ろ・は・す」のラベルをフレキソ印刷に<前編>に引き続き、日本コカ・コーラ技術・サプライチェーン本部の松岡建之グループマネージャーと、マーケティング本部の田中学マネージャーに、「フレキソ」導入までの経緯を聞く。
――フレキソ印刷に切り替えを目指したのはいつくらいからですか
松岡 3年ほど前からで、それからさまざまな試行錯誤を繰り返しながら、今回の商品化を目指しました。
――少し時間がかかった印象ですが、苦労された点などは
松岡 簡単ではなかったですね。
フレキソ印刷は、従来ラベルを製造していたグラビア印刷に比べ、インク量が少なく、同じように印刷しても色が薄くなってしまうのです。
これをグラビア印刷と同等の濃度にするというのは、非常に大変でした。
――今、拝見していますが、見た目はほとんど区別がつかないですね
松岡 ありがとうございます。
最初はやはり、色の再現性が薄く、とてもラベルとしては使えませんでしたが、印刷会社の方もがんばっていただき、ほとんど見た目はグラビア印刷と変わらない品質まで行きました。
田中 当初は色が薄くなることで、「安っぽくなってしまうのでは?」という声もあったのですが、印刷したものを社内で検討するということを数十回繰り返して、グラビアとそん色のないものができました。
――このほかに苦労された点は
松岡 グラビア印刷とフレキソ印刷では、ラベルの滑り性が異なるため、ラベリングの機械がうまく動かず、ラベリングできないことや、ラベリング後にボトルから剥がれてしまうといった不具合も発生しました。
「い・ろ・は・す」は採水地から近くの消費地に届けるというコンセプトがあるため、すべての工場でテストを行いました。
少しでも問題が出れば、工場が止まってしまうので、これも繰り返し試して課題を解消しました。
――フレキソ印刷の他の商品への展開は
田中 今のところは難しいと思います。
松岡 そうですね「い・ろ・は・す」の場合、実はラベルの色数がそれほど多くないという特徴がありました。
さらに、今回のフレキソ印刷採用に合わせて、ラベルデザインのデザイン変更もしており、ラベル全体を透明にして透け感とみずみずしさを出しています。
――やはりフレキソ印刷ではまだ難しい表現もあるのですね
松岡 すべての色合いをグラビアと同じにするのは、今のところ無理ですね。
「い・ろ・は・す」のようなイラストとマーク、文字中心のデザインであれば、問題ないのですが、写真調のデザインを再現することなどは、いまだに課題です。
逆に色がよく出たものもあります。
現在販売中の福岡限定のフレーバー「あまおう」では、金色が使われているのですが、思った以上にきれいに出ています。
――では他の商品にはまったく可能性はない感じですか
松岡 いえいえ。可能性はあると思います。
例えばハロウィンやクリスマスなどのデザインボトルでは、従来の色と異なるもので出すことがあり、こういったものでは採用の可能性があります。
田中 ブランドにもよりますが、環境負荷を低減するという取り組みは、当社では常に進めていこうと思っています。また、陳列したときの面白みがしっかりと出る印刷であれば、今後採用が検討されるものもあると考えます。
――今後のパッケージについて
松岡 当社では商品ブランドが約50種、SKUで言えば800~850種類の商品があります。
環境負荷の低減はもちろんですが、さらに訴えかけられるパッケージが制作できればいいですね。
商品をより良い形で消費者に届けていけたらいいと思っています。
田中 目標などはカテゴリによって異なりますが、以前は邪魔にならない、持っていて恥ずかしくないパッケージが望まれていましたが、今は「楽しさ」「エモーショナル」「使いやすさ」などが求められているようです。
これらをかなえるパッケージを提供していきたいです。
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