【2017年4月17日】昨年、ドイツで開催された世界最大の印刷関連機材展「drupa2016」。
印刷機メーカーからはデジタル印刷機について多くの提案があった。
「シリーズ デジタルプリント」では、印刷機メーカーを中心にデジタルプリントにかかわる企業を取材し、デジタルプリントについて現状や将来を明らかにしていく。
その2では「10個だったジョブが、1ジョブの印刷枚数が少ない100個のジョブになるという現象がさまざまな現場で起きている」とし、ここにワークフローを効かせていくという話が出た。さらに具体的な話を、ハイデルベルグ・ジャパン デジタルビジネス本部の土屋弘太郎本部長、尾幡征崇プロダクトマネージャーに話を聞く。
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――実際、どうすればいいのでしょうか
土屋 やはり100個をこなすには、印刷会社でもオートメーションが必要になるでしょう。
ハイデルベルグの自動化のキーワードとして「プッシュ・トゥ・ストップ」があります。デジタル化が進み、印刷機は今後ますます自動化されていきます。つまりオペレーターがボタンを押すのは事前に設定された印刷プロセスに変更が必要な時や、なんらかの問題があった時だけになります。オペレーターが機械にタッチしている時間というのは「仕事が止まっている時間」です。
製造のオートメーション化は、このタッチをできる限り減らすことを目指すものなのです。
印刷会社様には、デジタル印刷機の活用とともに、この脳みその部分「ワークフロー」に投資してほしいと考えています。
印刷は1枚数銭が勝負となる仕事だからこそ、人が判断して行う作業をできる限り減らすための自動化が必要なのだと当社では考えています。
尾幡 印刷業界は3Kのイメージがあり、若い方が入ってこないという話を聞くことがあります。
同様に3Kのイメージが強い酪農も、自動化によって若い世代が経営を引き継いでいるケースを最近目にしました。
やり方を変え、仕組みを整えていく、コンピュータやAIでできることは任せていくことが大事だと感じます。
「drupe2016」では「プリント4.0」や「インダストリー4.0」が話題となりましたが、これをスムーズに実現できるのは、印刷の現場を一番知っているハイデルベルグだと思っています。
――そうはいっても、ユーザーが導入しなければ、デジタル化は進みません。日本のユーザーは、デジタル導入についてどう考えているのでしょうか
土屋 経済全体が停滞する中で印刷に対する需要も減るという恐れ、さらには小ロット化やIT化の加速も受け、印刷会社も従来型大量印刷という視点での投資に対しては敏感になっていると思います
だからこそ、メーカー側としては「デジタル印刷により、新しい価値を提案できる」ということを、印刷会社の先のクライアントに伝えなければならないのです。
例えば、マーケティングオートメーションのニーズが、ここ4~5年で高まっていますが、デジタル印刷機はこのマーケティング手法と非常に相性が良く、使いこなせば強い武器になります。
オフセット印刷ではできないことが、デジタル印刷では可能です。
印刷会社の営業担当者も、これまでの印刷では制約を受けていたさまざまな課題を取っ払って商談ができると思うのです。逆に言えば、新しい営業の方法をとる会社であれば、デジタル印刷機を入れるべきなのです。
尾幡 もちろん、オフと同じ品質・風合い、生産性ではないということは、ユーザーもその先のクライアントも理解していただかなくてはなりません。
デジタルはデジタルの、オフはオフの良いところを融合し、サービスをつくっていくことが必要なのです。
土屋 当社では、デジタル印刷機を使ったビジネスを取り組む会社のために、マーケティングのセミナーやワークショップを行っています。
こういった、取り組みを重ねながら、印刷会社やブランドオーナーと一緒に、デジタル印刷で儲かる仕組みを作っていきたいと考えています。
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