【2025年10月28日】コニカミノルタが開発した産業用インクジェットヘッド「KM1024iSHE-HM-LV」が、マイクロジェット(長野県塩尻市)のペロブスカイト層塗布用インクジェット装置「PerovsPrinter(ペロブスプリンター)」に採用された。両社は、次世代太陽電池として注目されるペロブスカイト太陽電池の研究開発分野で協業を進める。

コニカミノルタが2025年9月に発売した「KM1024iSHE-HM-LV」は、溶剤に対する耐久性と高精度な吐出性能を兼ね備えた新モデル。ペロブスカイト層に含まれる有機溶剤はヘッド部材を劣化させやすく、粘度の低さから安定吐出が難しいとされてきたが、同製品はこれらの課題に対応。精密な小液滴塗布が可能で、長期的な安定性を確保する。
ペロブスカイト太陽電池は軽量かつ低コストで製造できる点から注目されており、建築物の壁面など多様な場所への設置が期待されている。マイクロジェットは、同電池の発電層形成に最適化した「PerovsPrinter」を開発。基材に非接触で材料を塗布できるインクジェット方式を採用し、大学や研究機関の実験設備としても利用が広がっている。
「KM1024iSHE-HM-LV」は、コニカミノルタの高精細・高速印刷向けインクジェットヘッド「KM1024iシリーズ」をベースにした新製品。薬品耐性を強化し、ディスプレイ、有機半導体、金属ナノインクなど多様な材料塗布にも対応する。72mm幅に1024ノズルを高密度に配置し、安定した吐出と高速駆動を実現。ヒーター内蔵構造により高粘度インクの塗布にも対応する。
また、シリーズ共通のプラットフォーム設計により、印刷機の換装や保守が容易な点も特徴。マイクロジェットの装置と組み合わせることで、研究開発現場での材料実験から量産試作まで柔軟に対応できる体制を整えた。

コニカミノルタは、インクジェット技術に加え、ペロブスカイト太陽電池の耐久性向上に貢献するバリアフィルムや、ハイパースペクトルイメージングを用いた特性・品質検査の分野でも開発を進めており、次世代エネルギー分野での技術展開を強化していく考えを示している。
マイクロジェット「PerovsPrinter」https://www.microjet.co.jp/productinfo/printedelectronics/perovsprinter/
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