【2025年10月16日】ペーパル(奈良市)は、奈良・平安時代の再生紙文化「宿紙(しゅくし)」に着想を得て開発した新素材「薄炭クラフト(うすずみクラフト)」を11月に発売する。食品残渣などから生まれる“バイオ炭”と段ボール古紙を掛け合わせ、宿紙のような柔らかな色調と自然な風合いを再現した循環型パッケージ素材だ。
同社の開発担当者が、正倉院に現存する日本最古級の再生紙「宿紙」の存在を知ったことが開発のきっかけとなった。1300年以上前の日本では、使い終えた紙を漉き返して再利用する文化が根付いており、これを現代の技術で再現したいという思いから「薄炭クラフト」が誕生した。
「薄炭クラフト」は、食品残渣やもみ殻などを炭化したバイオ炭を配合することで、自然なグレーの色合いを表現。CO₂排出の抑制や固定化を可能にし、脱炭素に貢献する環境素材であると同時に、消臭効果も備える。見た目の美しさと機能性を両立させた紙として、化粧品や菓子、雑貨、名刺など幅広い用途に対応する。
本素材のバイオ炭化は、バイオマス発電や炭化装置の開発を手がけるZEエナジー(東京)との共同開発により実現。ペーパルは、バイオ炭の社会的認知を高めるとともに、企業や地域が自らの残渣を活用して循環を生み出す仕組みづくりを推進する。
製品はFSCリサイクル認証紙で、構成は段ボール古紙にバイオ炭を配合した再生紙(古紙100%)。色調はやわらかなグレーとクラフト色で、宿紙の薄墨色を再現している。規格はL判T目310g、K判T目・Y目310gで、別抄きにも対応する。
ペーパルは1890年(明治23年)に奈良で創業。2008年にFSC/COCを取得し、フードロスペーパー「kome-kami」や「クラフトビールペーパー」など、アップサイクル素材の開発を続けている。近年はCO₂実質ゼロの「GXアイボリー片面-FS」なども展開し、紙を通じた環境配慮型素材の開発を推進している。
「薄炭クラフト」公式サイト
https://usuzumi-craft.com/
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