【2017年7月21日】キーポイントインテリジェンスは7 月 20 日、東京コンファレンスセンター・品川で、「パッケージング&高速インクジェットコンファレンス」を開催した。
当日は同社の日米アナリストが業界の現状や展望を解説。資機材メーカーや印刷関係者、報道など約70人が参加し、最新のデジタルプリント事情について学んだ。
今回のテーマは「デジタルプリントの技術から見え得る市場の成長とは?」「連張機の将来は?」「インクジェットとトナーのそれぞれの利点とは?」「ラベル、紙器、軟包装、ダンボール市場の市場性は?需要動向は?」などで、先日ドイツで開催された「Interpack」についても報告された。
ゲスト講師では、大野インクジェットコンサルティングの大野彰得代表が登壇。
「Interpack2017年を踏まえて2020年にどう取り組むか?~2020年に同年開催されるdrupaとInterpackこれにどう準備をしていけばいいのか?~」のテーマで以下のように講演した。
まず、「drupa2016」を総括すると「パッケージングdrupa」と言っていい内容だった。
B1や段ボール用、フィルム用水系インク、前処理不要水系インクなどいずれもパッケージを意識した展示が多かった。これ以外にも包材の豊富なサンプル・事例、一貫ラインなども展示された。
さて、これだけパッケージが注目された昨年の「drupa2016」だった。しかし、今年5月に行われた「Interpack2017」ではHPと富士フイルム、ザイコンの3社のみが実機を展示し、そのほか3社がサンプル展示を行っていただけだ。あれだけパッケージを意識した印刷機材メーカーは、どうしてしまったのかと思った。
「包材印刷とは何か?」というのは、象を目隠しで触るような感じだろう。
それぞれが巨体の一部を触り異なる意見を持っている。
日本のデジタル印刷機メーカーの印象をいくつか述べたい。
「自己完結指向」「量産指向」「管理指向」「規模指向」「コンプライアンス指向」という環境にある。
さらに「市場と対話するより社内議論に終始」「組織が重く意思決定が遅い」「業界素人が上にいる」「業界素人が中間管理職に多い」という社内条件があり、その素人が「意思決定を避けたがる」ことで「情報を集めてこい」というだけで、集めた情報が意思決定に反映されない。
今回の「Interpack」の現状も、そういったことが反映されているのかもしれない。
一方の「Interpack」にも課題はある。
彼らは、包装印刷は「ごく一部」と考えており、従来技法ですでに「品質・速度・表面コスト」は確立されている。さらにはデジタル印刷機ついては未知数と考えているようだ。
ただし、「インダストリー4.0」の発展を契機に認知が一気に進む可能性はある。
「drupa」も課題を抱えている。元はハイデルベルグを中心としたオフセット印刷の展示会。このため、包装印刷の主流であるグラビアやフレキソ、スクリーン印刷は範囲外。さらに2020年には「Interpack」と同年開催になる。
そんな中、2020年の「drupa」の申し込み締め切りは2018年秋ごろに迫っている。
今から機材メーカーは、仕事の進め方改革をして、これに備えてほしい。
それには「業界から人を獲得する」「業界とJVを組む」「インクジェットベンチャーを獲得する」「規模話を封印する」「素人管理を封印する」「素人が作った事業計画を封印する」「既存事業のための社内規定を封印する」などが必要になる。
さらには展示会の主催者としっかり対話し、出展の方針を決めてほしい。
このほか同社米国のアナリストであるジム・ハミルトン氏、ボブ・リーヒ氏、日本の後田雅人氏らがパッケージングやラベル、段ボール印刷の現状について報告を行った。
問い合わせはキーポイントインテリジェンス(☎03-5475-2663)または(mail@keypontintelligence.jp)まで。
また、大野インクジェットコンサルティングへの問い合わせは(akiyoshi.ohno@gmail.com)まで。
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