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日本アグフア・ゲバルト キングプリンティング(大阪)に超大型プリンタのアジア1号機を納入 「オフセットからの転換目指す」

【2021年9月17日】日本アグフア・ゲバルトは9月16日、大阪府堺市のキングプリンティングに、超大型インクジェットプリンタ(IJP)「JETI TAURO H3300 LED」のアジア1号機を納入した。

「JETI TAURO H3300 LED」は、出力幅が3.3mの超大型プリンタで、ロールとフラットベッドの両方に対応したハイブリッド搬送が可能。1.6mのロールを2本搬送し、それぞれ異なるジョブのプリントにも対応する。

プリントヘッドはリコー「GEN5」を60個搭載し、最高453㎡/時の生産能力がある。
導入機では、インク色をCMYK+Wに加えてLc(ライトシアン)とk(ライトブラック)を採用し、高い色再現性を持つという。

ジャンボロール対応で直径60cm、重量700kgまで搬送可能。ロール交換作業を削減し、300~400mの連続印刷を実現する。

また、生産ジョブ数や枚数、消費インク量、消費用紙枚数、生産時間などをレポートする「ASANTI(アサンティ)」との連携にも対応する(導入機では未連携)。

 

導入企業とその理由

キングプリンティングの社名は「キングサイズの印刷」に由来し、屋外広告で使用されるような大型ビジュアルコミュニケーションを得意としている。

1917年、手書き看板の工房として創業され、映画全盛の時代に、看板の注文が殺到したという。手描きより効率よく大量生産するために、海外製の紙幣用オフセット印刷機を輸入し改造。これを使用して映画看板を作成したことから、大判の印刷会社に転身した。
1990年代には、5m幅のIJP国内1号機を導入。現在もさまざまなサイズのIJP 30台が稼働している。

製造しているのは、ビルボードなどの大判の屋外広告はもちろん、商業施設の装飾や店頭タペストリー、イベントなどの演出に使われるプリント物も手掛けている。


キングプリンティング光弘祐紀専務

16日に行われた記者発表で、同社の光弘祐紀専務は「『JETI TAURO』の用途は、多店舗展開しながら、エリアごとにマーケティングの異なる演出をする企業へ、印刷物を提供すること。インクジェットがオフと変わりない品質となっており、大量に生産できればオフの代替も可能ではないかと考えている」と話す。

また、日本アグフア・ゲバルトの岡本勝弘社長は「サイン業界のリーディングカンパニーである同社へ『JETI TAURO』の1号機を納入でき、また素晴らしい会場での記者発表を準備いただいたことに感謝する。オフセット印刷とともに第2の柱としてご活用いただきたい」とあいさつした。


日本アグフア・ゲバルト岡本勝弘社長

 

記者発表での質疑応答

光弘専務の回答を抜粋

Q.ロールとフラットベッド主にどちらを活用し、何をプリントするか
主にロールを使用し、多店舗展開の企業へ、エリアごと、マーケティングごとに異なるグラフィックを提供する。当社は印刷だけでなく、デザインデータの作成から、小分けしての発送まで、印刷にかかわる前後の作業も行っている。

Q.導入の経緯は
数年前からオフセットの代替になるのではないかと、高速インクジェットの製品の調査を始め、当初、シングルパスを調査したが、安定性や品質面で優れるマルチパスが当社のお客様には合うと感じ「JETI TAURO」を選択した。マルチパスを使って、オフセット並みのプリントを行うことは、数値上ではある程度の可能性が見えてきたと思う。

Q.選定の決め手は、またその狙いは
数社候補はあったがそれほど多くの選択肢がない状況。アグフアのプリンタは2台導入しており、メーカーとしての信頼があった。
この規模の設備投資なので、本来は実物のデモンストレーションを見たかったが、コロナ禍でこれができなかったので少し導入は遅れたが、従来機よりも品質と安定性が格段に向上していることを見て決定した。

導入の狙いは印刷メディアの付加価値を高めること。印刷メディアが、短納期対応が可能で、柔軟性があり、利便性が高いメディアと再認識していただきたいと思っている。
デジタルサイネージなどが増えているが、コストパフォーマンスのいい印刷メディアはまだまだ戦える。

Q.デジタル機を新設し、今後オフセット印刷機を破棄する計画などは
おっしゃるとおり。将来的にオフは縮小し、デジタルへの投資を拡大していく。

Qコロナ禍で印刷業の仕事量縮小している。どのような仕事していくのか
当社は、多店舗展開の販促物がメインで、この業態への提供は需要があり、業績は維持できている。
データ作成から、印刷物を細かく分けて配送までを行うなどBPOのサービスも行っている。

Q.今後の展望とビジョン
生産とリードタイムが短い「JETI TAURO」は、広告主の地域性やトレンドを反映しやすいと感じる。
設置したばかりで、実際の稼働計画はこれからだが、創業以来のイノベーションの精神で印刷メディアの価値を高めていきたい。

キングプリンティング
https://www.kingprinting.co.jp/

日本アグフア・ゲバルト
http://www.apogee-users.jp/

 

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