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「シリーズ デジタルプリント」第5回 シンク・ラボラトリー 重田龍男社長に聞く グラビア製版機メーカーが作ったデジタル機


【2017年5月8日】昨年、ドイツで開催された世界最大の印刷関連機材展「drupa2016」。印刷機メーカーからはデジタル印刷機について多くの提案があった。

「シリーズ デジタルプリント」では、印刷機メーカーを中心にデジタルプリントにかかわる企業を取材し、デジタルプリントについて現状や将来を明らかにしていく。

シンク・ラボラトリー 重田社長 007

第4回はシンク・ラボラトリーの重田龍男社長。
2016年3月にインク事業に参入した花王とともに、軟包装用の水性インクジェット(IJ)印刷機「FXIJ-1 AQUA」の開発を発表した。
もともと、製版システムを開発・製造・販売する同社が、異分野へ進出したことに驚いた人も多かったのではないだろうか。

製版からIJ印刷機へ、変化を遂げる同社の戦略を重田社長に聞いた。

 

グラビア製版システムで見えた顧客の利便性とは?

――貴社の概要を教えてください
当社は50年間、グラビア製版の世界にかかわって、製版の自動化を進めてきました。
3世代目となったレーザーグラビア製版システムNewFX3は世界中にユーザーがおり、今現在も世界の4カ所で同時に立ち上げを行う状況でてきました。

シンク・ラボラトリー シンク・ラボラトリー
レーザーグラビア製版システムはシンク・ラボラトリーの主力製品

当社は、すべてのシステムを社内に設置し、何時でも実機によるデモを可能としております。画像作成、水性インクジェットプリンターFXIJ、レーザーグラビア製版システムを各々2ライン設置し、デモ、サンプル作成、研修を一貫して行える環境としております。
――デジタル印刷機の発表には、製版システムを開発・製造・販売している貴社が取り組んだところにも注目が集まりました
「グラビア製版のいらなくなるインクジェットデジタル印刷機を開発するのか」という声があったのは事実ですが、当社としては当然の流れと考えています。

50年という長い期間、お客様の悩みにこたえる中で、製版システムを自動化し顧客の利便性を高めてきました。その利便性追求の先には、版を作る工程が必要なくなるという選択肢も当然あると思ったのです。製版にはコストもかかりますし、特に小ロット生産の場合、製版がなくなるのであれば、顧客の利益につながります。

FXIJ-1 シンク・ラボラトリー
発表当初に公開された「FXIJ-1 AQUA」の画像

現在、グラビア印刷の版は、画像ファイル以降の原価が、1本5000円程度までコストが下がっており、小ロットもこなせるようになってきました。そして実際、世界のマーケットでは、年間10%程度のグラビア印刷が小ロット化しています。
ただし、版の載せ替えなどはやはり大変で、小ロット化は、オペレーターの負担が増す方向ともいえます。

 

開発・発表から反響、納入の決定まで

――開発開始からプロトタイプの完成まではどのくらいかかりましたか
3年ほど前よりUVインクによるロールtoロール機の開発を進めていましたが、UVインクでは、食品パッケージで臭いに対して厳しい事実がありました。
インクメーカー各社にロールtoロール機への水性インクの提供を要請する中で、花王が協業して進めて頂けることとなり、2年程度で、実機デモをご覧いただける状況となりました。

――2016年3月に発表し、その後さまざまな展示会で実機の展示もされました。反響は?
展示会では大きな反響がありました。
お客様の声では「思った以上に品質がいい」「これなら現場で使える」というような声を多くいただきました。
「コンバーティングテクノロジー総合展2017」で発表しました。長年交流のある千葉の信和産業には5〜6月に2台の納入が決まり、実作業での問題改善に取り組んでおります。

 FXIJ-1 シンク・ラボラトリー FXIJ-1 シンク・ラボラトリー

――「FXIJ-1 AQUA」の開発の現状や特徴などをあらためて教えてください
「FXIJ-1 AQUA」は水性インクを使った軟包装用インクジェット印刷機です。
印刷幅は540mm、印刷速度は毎分10〜50m(白無しで毎分50m)、適正ロットは数百m~3000m程度とグラビアでのリピート発注時の小ロットも対象としております。

FXIJ-1 シンク・ラボラトリー FXIJ-1 シンク・ラボラトリー

当社ではレーザーグラビア製版システムメーカーなので、インキジェット用のファイルでも、そのままカラーのレーザーグラビア製版を90分程度で可能なため、小ロットから中・大ロットまでを一貫して対応できます。

――2台を発注された信和産業ではどのような形で納入が決まったのでしょうか
信和産業の村野社長とは、長年お世話になっており、今後のコンバーターとしてのビジネスモデルへのチャレンジを共同して進め、成功事例として多くの方が見ていただけることを期待しています。

 

「FXIJ-1 AQUA」はレンタル方式!?

――「FXIJ-1 AQUA」の価格はどのくらいになるでしょう。また、デジタル印刷機は保守費用が高いという印象があります。これについては?

新開発システムであり、当面は「レンタル契約」とし、250万/月間程度でスタートします。
メンテナス、改良等で、顧客に負担がかからない様に進行しています。

――今後の目標などは
「FXIJ-1 AQUA」では、小ロット、短納期での対応とグラビアでの問題視されているVOCのゼロを目指した花王の水性インクによる環境改善を重視して進めます。
IJではグラビアパッケージに求められる諸条件をすべてクリアすることは困難であり、可能な領域から活用していただく方向です。

FXIJ-1 シンク・ラボラトリー FXIJ-1 シンク・ラボラトリー

 

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