【2016年7月2日】「drupa2016」では多くのデジタル印刷機が展示され、その最新のテクノロジーに大きな注目が集まった。そして、「短納期」「少量」「低コスト」これらをクリアするためにさまざまな機器やシステム、サービスが提案された…。
しかし、「印刷の楽しさって何だろう?」と考えた時、こんなイベントの方がオススメである。
「活版TOKYO2016」は7月1日から3日間(物販は7月2日まで)、東京都千代田区神保町のテラススクエア、神保町三井ビルディングの隣接する2カ所で開催されている活版印刷のイベント。
古書店街で知られる神保町の街、地下鉄で行くとA9の出口を出て少し歩くと、テラススクエアと神保町三井ビルディングが向かい合わせに立っている。
記者は展示と即売を行っているテラススクエアにお邪魔してみた。
ビルの前に看板発見、中にはちょっとした人だかりができていた。
入っていきなり、古めかしい(ごめんなさい)「手フート印刷機」が2台設置されている。
手フート印刷機とは手動の平圧印刷機。平圧というのはハンコのようにペタッと上から押し付けて印刷する印刷機のこと。主に、はがきや封筒などの端物(はもの)と言われる小さめの印刷物で使われてきた。
出品した紙成屋は普段、名刺の印刷などを提供し、活版印刷を通じて「紙の持つ力、やさしさ」を伝えている。
会場では手フート印刷機を使って来場者がカードとコースターづくりを体験できるコーナーを設けていたので、記者もさっそくやってみた。
紙をセットしてもらって、レバーをグイッと下げると、見事に印刷できた。
いつも印刷のことについて書いていても、印刷機を動かすことなどほとんどない記者が印刷体験。これでオペレーターの仲間入りだ(すみません)。
この手フート印刷機は昭和40~50年代に製造されたものだそうで、記者と大体同じぐらいの年齢。まだまだ現役で頑張ってほしいものだ。
そのお隣、真映社のブースでは何やら、こちらも昔懐かしい「プリントゴッコ」のようなものが設置されている。スクリーン印刷の実演?と思ったが、事態は想像を超えていた。
なんと、このプリントゴッコ風の機械には紫外線ランプが仕込まれており、樹脂製版ができるというのだ。
フィルムと版を合わせて焼き付け、それを隣の水が入った容器で洗い出すと、あら不思議。つるつるだった樹脂に凹凸が出現した。
たぶん、印刷業界で、それも凸版印刷をしていないと見ることのない光景。これは貴重だ。
さらに亜鉛版による名刺印刷の実演も。ぐっと押された感じのある名刺はやっぱり格好いい。この名刺、もちろん注文も受けているそうで価格は2500円~。
ラベル印刷屋さんの信陽堂ブースでは、マスキングテープを展示。ラベル印刷機で作るため、少量生産できるそうで最小ロットで10m巻を20個から制作できる。
以前、別のイベントでは夜空をモチーフにしたこのマスキングテープを販売し、200個がすぐに完売したという。なんとこのマスキングテープの値段は5000円!箔がふんだんに使用されており、手の込んだ逸品なのだそうでマスキングテープの収集家にとっては幻の品となっているそうだ。
文房堂は復刻した原稿用紙を展示。なんと有島武郎先生が愛用されたものだそうで、有島先生の直筆原稿を再現した表紙が印象的だった。
展示と物販、カフェ座談会などは本日7月2日まで今日テラススクエアで、ワークショップは神保町三井ビルディングで明日7月3日(日)まで開催している。
「印刷って面白い!」そんな体験をしたい方は、神保町まで行ってほしい。帰りは古書でも買って、カフェでコーヒーを飲むなんてとっても素敵。
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