【2023年6月26日】紀伊國屋書店とカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)、日本出版販売(日販」)は、合弁会社設立に向けた協議を開始する基本合意契約を締結した。
この合弁会社は、書店主導の出版流通改革及びその実現を支えることを目的にしたもの。
背景には、紙媒体市場規模の縮小や高い返品率、物流費の高騰などによる出版流通モデルの危機的な状況がある。日本全国における書店の数は過去10年間で約3割減少し、全国市区町村のうち4分の1を超える自治体が書店ゼロ市町村となっている。
設立に向けた協議では、書店と出版に関する新たなスキームについて話し合いが進められている。
販売と返品については、書店と出版社がコミットしながら送品数を決定する新たな直仕入スキームの構築を目指す。これに伴い、粗利率が30%以上となる取引を増やすことで書店事業の経営健全性を高めるという。
新たな直仕入スキームの構築にあたっては、紀伊國屋書店・CCC・日販各社が保有するシステムやインフラストラクチャー、単品販売データなどを活用。これにより、欠品による販売機会の喪失を最小化し、売上増大と返品削減、環境に優しい流通を実現する。
上記の実現にあたっては「機械学習等のテクノロジー(AI発注システム)の活用」や「適時適量かつESGに基づくサスティナブルな流通」「書店横断型サービス・共通アプリなども視野に入れた新たな販売促進施策やレコメンド施策の実施」などを挙げている。
今後は、3社の担当者による協議を開始し、他書店様や各出版社様へも説明しながら、2023年秋を目途として、実行計画の策定と合弁会社の設立に向けた準備を進めるとしている。
紀伊國屋書店 代表取締役会長兼社長 高井昌史氏
このたび、書店と取次による「書店を核にした出版流通改革」に取り組むことで、持続可能な出版流通サイクルを創り出していこうと決意いたしました。
「文化・情報の発信」「知のインフラ」としての書店を存続させ、出版文化を継承していくことは、我々に課せられた使命と考えています。まずは3社で、それぞれの書店としての良さを生かしながら、新しい仕入れの仕組みを整備し、同じ志をもって取り組んでいただける他書店とも手を携えていくことを目指します。
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