【2021年11月8日】キーポイントインテリジェンスは11月5日、「ワイドフォーマットプリンティング コンファレンス@サインアンドディスプレイショウ2021」をオンラインで開催した。
同カンファレンスはワイドフォーマットプリント(大判デジタル印刷)市場に関する情報を集約したもので、毎年1回開催。同社米国本社などからアナリストが登壇し、世界各国の最新情報などの講演を行うほか、プリンタサプライヤーから講師を招くなどで、さまざまなセッションを行う。
冒頭、サイン&ディスプレイショウの主催者である東京屋外広告美術協同組合の村越有治理事長が開会のあいさつを以下のようにした。
「このコンファレンスが、サイン&ディスプレイショウとともに開催されることに意義を感じる。キーポイントインテリジェンスは長い経験を持つ調査会社だ。看板業界のさらなる発展と、今回の内容が役立つものになることを祈る」。
プリント&プロモーションでは、コンファレンスの中から注目の講演2つをピックアップして紹介する。
キーポイントインテリジェンスのエリック・ジマーマン氏は「ワールドワイド ワイドフォーマット市況」のテーマで、コロナ禍の業界の概況について以下のように解説した。
この20カ月くらいの期間は、これまで経験したことのない、未曽有の事態に陥った。しかし、サインやグラフィックコミュニケーションは必須なものだ。ワイドフォーマットを持つ事業者は、アプリケーションやサービスの目的を変えることで嵐が過ぎ去るのを待っていた。
今後の回復は、着実な歩みを進めるものと思われるが、回復に合わせた労働力などを得られないという事象が起きており、現在は思ったほどの伸びはない。
プリントサービスプロバイダー(PSP)向けの製品では、スモールフォーマット用の機器が販売台数を伸ばしており、フォームオフィス的な用途が増加している。
アプリケーションのトレンドは、「サイン」や「バナー」「デカール・ステッカー」が多く、これはあまり変わっていない。2020年からはソーシャルディスタンス用途が増えたが、アプリケーション自体はそれほど大きな変化はなかった。
目立ったところでは、昇華転写(dye-sub)だけが大きく成長している。
2019~2025年の販売台数予測では「UVやラテックスタイプへの切り替えが、思ったより早く進む。ソルベント(溶剤系)はプリントボリュームでも落ちていくだろう。
新型コロナウイルス感染拡大による落ち込みから、2025年まで0.8%と緩やかに回復する。
また、プリンタは安価なものが多く売れるだろう。中国を中心に、新規メーカーがレジン・ラテックス市場に参入しており成長が継続する。搬送タイプではハイブリッドが成長するだろう。
イベントの再開で、パーソナルや広告のスペシャリティー用途は伸びていく。また、ほとんどの事業者がオンラインでの受注や自動化されたワークフローに移行しようとしているが、これが続くか注視していきたい。
キーポイントインテリジェンス・チャイナの潘維強氏は「中国の最新サイン&ディスプレイ市場」のテーマで講演した。
中国では、エプソンは新プリントヘッド「T3200 」を発売。同社の純正ヘッドがシェアを大幅に伸ばしている。ただし、価格戦争に陥り利益は出づらい。
中国メーカーの大判プリンタは非常に性能を上げており、JHFやKINGT、Hangloryグループなどの製品は、非常に品質が高く安定した出力ができるようになった。これにより中国では、国内メーカーがシェアを高めている。
また、クラウド型管理システムの「YiPS(イップス)」の採用企業が増えており、ワークフローの管理や自動化が進んでいる。
まとめると「(中国)国産ベンダーの増加」「エプソンヘッドの躍進」「新しいアプリケーションの台頭」のほか、「ハイブリッド搬送方式の増加」が中国で見られる。
ワイドフォーマットプリンティング コンファレンス@サインアンドディスプレイショウ2021
http://www.keypointintelligence.jp/cf/wfp/2021/
キーポイントインテリジェンス
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