【2025年4月9日】3月の初め、中国でプリンティング関連の展示会が広州と上海でまったく同時期にプリンティング関連の展示会が開かれた。
一つは広州市の「Print South China2025(華南国際印刷展)」をはじめとする4つの展示会群、もう一つは上海市の「APPP(上海広印展)」で、いずれも3月4日~7日までの期間に開催された。
今回は「Print South China2025<デジタル印刷機編>」と「Print South China2025<デジタル印刷機編>」「「APPP(上海広印展」に続き第4弾をお届けする。
今回は今後、中国の展示会に行ってみたいという方向けに、渡航前の準備や交通手段、街歩き、展示会場についての豆知識をお届けしたい。
出国前に絶対に用意しておきたいのはモバイルWi-FiもしくはeSIMだ。それもVPN内蔵でないといけない。中国ではX(旧Twitter)やInstagram、Facebookなどは原則禁止されている。さらには皆さん毎日使っているであろうLINEも使用不可。これを解決するのがVPNとおぼえておくといいだろう。
もう一つ出国前に用意しておきたいのは「アリペイ(支付宝:ジーフーバオ)」という決済サービス、そして「WeChat(ウィーチャット)」というLINEのような通信サービス。アリペイはもちろんだが、WeChatでも決済可能で、アプリ内アプリのようなミニプログラムも充実しており、両アプリともタクシーを呼ぶ、DiDi(ディーディー)というUberのようなサービスもこのアプリから呼べるのだ。
今回初めて現金を両替せずに行ったのだが、ほぼ困ることなく過ごせた。
そしてWeChatは展示会場内で話し込んだ出展企業の担当者から「交換しよう」といわれることが多く、そこに企業の情報があったりもするので、情報収集にも便利だ。
会場内では、WeChatや微博(ウェイボー)で、ブース内やデモンストレーションの実況中継をしている姿がよくみられる。中国の企業は、展示会に出すだけではなく、それをコンテンツに収めて宣伝し、自社の内覧会に呼び込むのと同時に「展示会に出ている安心な企業です」というブランド作りにも利用しているのだ。
航空券は往復で3~4万円ほど、特に上海はLCCが多く飛んでおり、日によっては片道1万円を切ることもある(機内食などは有料だが1000円程度)。中国国内線も充実しており、どの地域に行くにも便数が多く不便さはない。しかし、欠航が多く、振替になるとなかなか大変だ。記者も今回、上海→広州便が欠航になり、他の航空会社に振替になったのだが、アナウンスもなくどこに行ったらいいのかも最初は分からなかった。
入国審査は航空機で渡される入国審査用の用紙を機内でしっかり書いておいた方がいい。表面は名前や性別、住所、パスポート番号などを書くだけなのでわかりやすいが、裏面は「中国出国時の航空機は予約済みですか?(出国日/出国便名)」「中国国内での受入先と連絡先はありますか?(ある場合は受入先名称と連絡先を記入)」「過去2年間に訪問した国、地域」そして「署名」といった具合いで難易度が少し高い。
特に受け入れ先「あり」としてしまうと、審査官に突っ込まれるので大変なことになる。
到着すると入管の前に無人の入管審査機らしきものがあり、ここにパスポートを置き、顔の写真と指紋をとられる。「これでチェック終わり?」と思ったら、最終的には人が入国審査をする。そしてこの入管の担当者は例外なくぶっきらぼうで怖い…。
空港からホテルまではタクシー利用がいいだろう。料金は日本のタクシーの5分の1程度。広州では空港から1時間以上の距離だったが25元(2500円:1元20円)ほど。大きなスーツケースをもって地下鉄に乗るのはかなり大変だし、バスはどこ行きかわからずかなりハードルが高い。空港内で「タクシー?」と声をかけてくる人がいるがこれはぼったくりなので注意が必要。また、街中にも車体上部にタクシーのサインを出していないのに、ダッシュボード上に「空車」というサインを光らせている自動車がある。これも悪質な白タクのケースが多く、実は今回乗ってしまい5分の距離で200元を請求された(当然、記者は支払いを拒否し、20元しか払わなかった。これでも高いけど)。
上海であればリニアモーターカーに乗るのもいいが、竜陽路という都心の外れまでしか行かないので、そこからはやはりタクシーか地下鉄を使うことになる。
ちなみに地下鉄やリニアに乗るのにも持ち物検査が必要で、金属探知機に荷物を通さなければならない。これは展示会場も同じで、入口に探知機があり、警備員が数人立っている。毎回の検査は面倒くさいが、ここまで厳重にやっているのならテロなどは安心だろうとも思った。
ホテルはそれなりの設備のところに宿泊すれば、ほぼ日本と変わらない料金になる(1人7000円~)。中国のホテルはチェックインの時にデポジットを宿泊料金程度とられることもあるので、初めてだと「え!このお金はなに?」と思ってしまうかもしれない。宿泊後に料金が支払われれば返却されるか差額分だけ引き落としとなる。
中国といえば「物価が安い」というイメージがあるが、今はほとんど日本と変わらない。コンビニエンスストアのカップ麺や飲料、ビールの値段は日本と変わらず、乳飲料や度数の高いお酒などは日本よりも高い。お土産物も日本の観光地で買うのと変わらない値段になっている。
街のレストランなどは、日本に比べれば安価だが、「この値段でこんなに食べられるの!」と思った昔の中国とは別物と考えた方がいい。
日本の経済が弱くなり、円も弱くなったことを痛感できるのも海外出張のいいところだ。
「中国の街歩き、日本人には怖いんじゃないの?」と思っている方、全然そんなことはなく、皆非常に親切だ。「日本から来た記者です」というと「遠くから来たんですね。ありがとう」と声をかけられ、「一緒に写真を撮ろう」という人も何人かいた。
そして、治安は都会なら日本よりもいいかもしれない。空港では一人旅と思われる人が、荷物を平気で置いて買い物やトイレに行く人が見られた。夜中でもミニスカートの女子が街中で動画撮影をしていた。おそらくそこら中に監視カメラがあり、犯罪を犯せば確実につかまり、刑罰が日本より重いからだと思われる。ただし、広州は歩道を電動バイクが全速力で行きかっているので、轢かれないように歩くのに苦労する…。
展示会だが、基本的に日本と同じ入場無料だが、事前登録が必要。メールアドレスでの登録がほとんどだが、中国のマイナンバーカードの番号が必要な場合があり、この際は渡航者向け受付に行き、登録の仕方を教えてもらった方がよい(今回、上海はこのパターンだった)。
これは報道向けの情報だが、プレスルームは両方ともなく、プレスバッジもなかった。
「Print South China」の方は渡航前からメールで事務局とやり取りをしており、朝の開会式に来てくださいと言われていたのに、入ることができず開会式も見逃してしまった。このメールのやり取りも、かなりゆっくりペース、ちなみに上海の方はメールしても返事が来なかった…。
また、「APPP」の方は最終日に行ったのだが、これが大きな間違い。中国の展示会では、最終日は午前中だけ少し展示し、午後は後片付けになるのだ。皆あまりやる気がなく、デモンストレーションしていない機械も多く、スタッフがカタログなどの整理を始めたりという状況。午後2時くらいには会場のカーペットも剥がし始めていた。中には午前中から片づけを始めているブースもあるくらいだ。
しっかり見たい方は、最終日の前日までに行くことをお勧めする。
中国視察や出張、今は非常にチャンスがあり、刺激もある。販売代理店などは、面白い機械 を持ち込み保守サービスをしっかりすれば、新しい市場を開拓できる可能性もあるだろう。
ぜひ今年のスケジュールに入れてみてほしい。
【関連記事】
【レポート】広州・上海 2大展示会を行く① 「Print South China2025<デジタル印刷機編>」 巨大見本市会場に日本未上陸機種が多数
【レポート】広州・上海 2大展示会を行く② 「Print South China2025<デジタル印刷機編>」 日本や欧米とも違う市場 インクはあのタイプが席巻
【レポート】広州・上海 2大展示会を行く③ 「APPP(上海広印展)」 超巨大プリンタ並ぶ異質の市場 日本上陸はあるのか
Copyright © 2025 プリント&プロモーション . ALL Rights Reserved.