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【この人に聞きたい】商品パッケージ開発にプラグの「AI」を採用 大王製紙 マーケティングコミュニケーション部 中村亘氏

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【2022年11月1日】大王製紙は今年4月、新製品「エリエール消臭+(プラス)トイレットティシュ―」のデザイン開発でプラグのパッケージデザイン評価サービス「パッケージデザインAI」を採用した。
「パッケージデザインAI」は、1020万人の消費者調査の結果を活用し、同社が東京大学と共同研究したシステム。消費者がデザインをどのように評価するかをAIが予測する「評価AI」と、デザイン生成と評価を繰り返し1時間で1,000のデザイン案を生み出す「生成AI」があり、大王製紙ではデザインに対しての好意度を測る「評価AI」を採用している。
今回は同社H&PC マーケティング本部マーケティングコミュニケーション部の中村亘氏に話を聞いた。

 

パッケージ開発とは

――一ご自身のお仕事についてお教えください。マーケティングコミュニケーション部はパッケージにかかわる部門ということでしょうか
エリエールとお客様とのコミュニケーション全般に関わる部署です。TVや新聞といった広告や店頭販促にも関与しつつ、パッケージデザインも担当しています。

――企業内のデザイナーさんが在籍しているイメージでしょうか
当部にデザイン室が紐づいており、そこにはデザイナーさんが数名在籍しています。基本的にはデザイン会社へ外注することが多いですが、企画品や簡単なパッケージ変更はデザイン会社を通さず、自社で行います。
ちなみに、私自身は営業畑出身でデザインに関しては、まだまだ勉強中です。

――これまでパッケージを変えて売り上げが非常に伸びた商品はありますか
蜷川実花さんの世界観で、女性向け商品の期間限定パッケージを発売したところ、大々的なプロモーションを行わずとも、売り上げが跳ね上がりました。当然、企画品効果で取り扱い販売店が増えたこともありますが、パッケージデザインの効果を実感するには十分でした。

 

パッケージAIの役割とは

――さて今回の「パッケージデザインAI」の採用の経緯を伺います。そもそも本システムはどこで知ったのですか
プラグ小川亮社長のご紹介です。当社のデザイン研修を小川社長にお願いしたことがきっかけとなり、何度かデザイン室についての相談をさせていただく機会をいただきました。その際に、このシステムをご紹介いただいたのですが、その時は採用には至りませんでした。


プラグ小川亮社長

――小川社長はパッケージデザイン協会の理事長でもありますし、セミナーがまずきっかけだったのですね。そこで採用に至らなかったものが、なぜ今回採用されたのでしょうか
2020年に始まった新型コロナウイルスの影響が大きいです。コロナウイルス感染拡大が始まった時に、マスク不足が非常に問題となっていたのは記憶に新しいかと思います。その際に、当社にできることとして「国内工場にライン入れてマスクをつくろう」と意思決定がなされました。とにかくスピードをもって世の中にマスクを供給するようにと指示を受けた一方で、エリエールブランドで販売する以上は質の高いパッケージを作りたいという想いもありました。通常、新商品パッケージの制作フローには、生活者調査によってパッケージ評価を確認する過程があります。今回は新商品といえども「調査を行う時間がない。」「そもそもコロナで人が集まらない。」という状況下で思い出したのが、『パッケージデザインAI』でした。

――なるほど、その時にテスト的に採用されて、今回が本格採用だったのですね。デザイン選定の詳細をもう少し教えてください
基本的に新商品のデザインは社外に依頼しています。デザイン会社から提案された複数のパッケージ案をブランドの担当部門とデザイン室で議論を行い、方向性を決定します。その際には、商品コンセプトやターゲット特性との合致度、新規性の有無、ブランドらしさなどで案数を絞り、生活者調査の結果を以て社内会議で最終決定します。
「パッケージデザインAI」は、生活者調査にかける案を選定する際に活用することが多いです。

「パッケージデザインAI」の画面「AI評価」

――デザインの企画から完成まではどのくらいの時間がかかるのでしょうか
調査の有無や調査手法によってだいぶ変わってきますが、デザインベースのあるリニューアル品や企画品で2~3カ月、新商品では3~4ヵ月程度です。
どのデザインも全員が納得いくまでじっくりと時間をかけたいのですが、やはり発売日があるので、なかなかそうは言っていられません。直近は、さらに制作スピードが上げる方法を考えるようにと指示を受けています。

――この中で「パッケージデザインAI」はどのような役割を果たすのでしょうか
先ほど申し上げたように、新商品の制作工程では、生活者調査にかける案を選定するというのが一番の役割です。また、調査にかける時間がない案件では、最終案を決める際に活用することもあります。
ただし、AI評価で完全にデザインを決めるわけではありません。あくまで、人間の判断の補助としての役割を果たしています。

――使ってみていかがですか
短時間で結果が出るため、『非常に簡単で便利』です。ただし、結果の解釈の仕方が担当者によって異なってしまう点や、ターゲットを細かく設定できない点から、あくまで補助的な役割にとどめています。

 

AIへの要望は

――この機能が欲しいなどの要望はありますか
まずは、細かいターゲット設定の機能です。大まかなターゲットでは調べられますが、今の「パッケージデザインAI」のセグメントでは会場調査で行うような「30代の乳幼児を持つママ」や「20代の働く女性」と言った細かいターゲット設定ができないのが現状です。
ティシューやトイレットのような万人が使用する商品では問題ありませんが、ベビー用おむつや介護用パンツなど使用者が限定される商品には活用しづらいのが現状です。

次に、AIにはキャラクターや企業ロゴ、ブランドロゴを認識できるようにしていただきたいです。ロゴやキャラクターは少なからず好意度に影響を及ぼしますが、現状ではそこが結果に反映しきれていないです。

「パッケージデザインAI」のヒートマップ

最後に、これは使う側の問題なのですが、担当者によって数字の解釈に違いが出てしまうことがあります。例えば「好意度の80と79」で差があると考えるのか、それとも許容範囲の誤差であるのか、基準がないために担当者によって判断が異なります。機能ではないのかもしれませんが、結果分析の読み解き方に関する説明書が欲しいです。

――これらの要望があっても導入されたのは、良い部分の方が大きかったということですね
その通りです。データによるパッケージ評価の裏付けと、パッケージ制作時間の短縮は大きいです。また効果的に使うことで、開発コストの削減も期待できます。
また、感覚的に操作ができることも良い点で、ブランド担当者にソフトのリンク先を送るだけで、自走してもらえます。

――「パッケージデザインAI」にはデザインを作る「生成AI」もありますが、今後の導入の可能性はありますか
「生成AI」をまだ使っていないので何とも言えません。『ターゲットの好意度が高いパッケージ』=『売れるパッケージ』ではないと思っていますので、「生成AI」が制作した好意度の高いパッケージをベースにして、いかに売れるパッケージにブラッシュアップするのかが、担当者の腕の見せ所になるんでしょうね。機会があれば、一度試用してみたいと思っています。

――「評価AI」について、他の製品でも活用を考えていますか
ターゲット設定が細かくできるようになれば、使用する製品は増えていくと思います。

 

パッケージで重要なこと

――商品パッケージで大事なのはどういったことでしょうか
基本的な話ですが、まずは店頭で他社商品の中に並んだ時、当社商品がしっかりと目立ち、手に取ってもらえることを目指さなければならないと思います。そして、手に取ってもらったときに、「競合商品と差別化された機能がどこなのか」「この商品を使うとどんないいことがあるのか」ということを『端的に』『印象深く』伝えられることを目指してパッケージを制作しています。

――製品やデザインに関して、今後の展望や生活者へのメッセージなどを 
エリエールブランドはティシュー・トイレットだけではありません。紙おむつや生理用ナプキン、お掃除用品や除菌ウエット・マスク等、多くの商品を展開しています。手前味噌ですが、どれもエリエールブランドの名に恥じなることのない品質であり、やさしさを感じていただける商品ばかりです。ぜひ、試してみてください。

また、生活者の嗜好変化やSDGsの浸透により、パッケージに求められる条件も変化してきています。多様化したニーズに応えるべく、パッケージデザインにおいても新しいチャレンジをしています。そういった商品を見かけた際には、ぜひそのご感想やご意見をSNSやお客様相談室を通じてお聞かせください。

エリエール
https://www.elleair.jp/

 

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