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【レポート】フォーム工連とPODi セミナー「なぜ、いまDMなのか!」


【2019年6月18日】日本フォーム印刷工業連合会(フォーム工連)とPODiは6月17日、東京都江東区のテレコムセンタービル西棟で、セミナー「なぜ、いまDMなのか!」を開催した。

今回は「なぜ いまDMなのか!」をテーマに、さまざまな分野で活躍する講師がそれぞれ報告。これをもとにパネルディスカッションを行った。
講師・パネラーは、岡本幸憲氏(グーフ)、目黒友氏 (IDOM)、石川森生氏(ディノス・セシール)、吉川景博氏(フュージョン)。ファシリテーターは亀井雅彦氏(PODi)が務めた。

冒頭、PODiの亀井雅彦代表が、米国など海外でのDMについて解説し、今回のセミナーのテーマを提示。そのあと、4人のパネラーがそれぞれの取り組みを披露した。内容は以下の通り。

 

PODi 亀井雅彦代表

インターネットの発達やスマホの発売、そのたびに印刷業界は市場を失っていった。ECサイトビジネスは小売り市場の10%、Web広告のシェアは2025年には50%を超える。全米ショッピングモールも3分の1が閉鎖し、郵便総量やDMも減っている。
カタログ印刷は全盛期の48%。しかし、金額ベースでは減っていない、これはなぜかと考えたい。

この中で、ダイレクトメール(DM)のレスポンス率が2016年から向上しており、マーケティング業界では印刷の価値の見直しが進んでいる。これは、デジタルメッセージの信頼度の低下が影響している。メールは開かれず、アドブロックなどの広告を拒否するシステムも出ている。
そこに米国の印刷会社はネットをうまく使って、印刷を提案している。

ネット上の広告に近いことをDMが可能にしているが、ネットの広告担当は印刷のこと知らない。
じゃあ日本ではどうなのか、どうしていくのか、ということを今日はディスカッションしたい。

 

グーフ 岡本幸憲CEO

紙とデジタルは”VS”ではない。
それぞれ違ったカテゴリーとして価値が高まり始めている。
ただし、印刷メディアしかない時代ではなく、友人のマンションの玄関には多くのチラシがゴミに出され、これは1週間で50ℓの袋一杯になるという。

私が考えているのは、テクノロジーで「紙」の新たな価値を作ること。
「デジタルトランスフォーメーション」は、「インダストリー4.0」「Society5.0」などさまざまに言われるが、「モノと人がコネクトする」ものだ。デジタルはバリアブル印刷が価値ではなく、テクノロジーとつながることが価値となる。
主役は「ブランドオーナーが何のために使いたいか」「紙に新たなニーズが出てくるか」ということで、これを考えなければならない。

デジタル印刷最大の有効性・能力はコネクテッド可能なことで、今存在していない印刷物を生み出す力がある
私はそのためのプラットフォームづくりをしている。

 

フュージョン部長 吉川景博氏

当社は全日本DM大賞で13年連続受賞している企業。

クライアントは、DMに関して相談したい、改善したいという場合、
「広告代理店に相談すると必要以上に大きな話になる」
「印刷会社は紙を売りたい、提案がない」
「デザイン会社はマーケティングの知見がない」
など、どこにも相談できないという課題を抱えている。

全日本DM大賞の審査ポイントは以下の通り。
戦略性
クリエイティブ
実施効果

クライアントは、データ活用の意識が上がった。
新規獲得DMでは、PDCAし、効果検証している。
小売り業は、ID付きでPOS管理し、データ連携で業務(DM、アプリ会員、コールセンター)とつないでいる。
外資系企業は、複数のパターンのDMをつくり、細かなテストで検証しながら正解を導き出し、最後は大きく展開している。

D2Cがデジタルに限界を感じている中、印刷物の限界はまだ見えていないと感じる。

全日本DM対象の受賞作品の特徴は
①パーソナライズ
②関係性強化
③SNSに投稿したくなる
④感性に響くシナリオ設計

DMが持つコミュニケーション力は、リアルにモノが届くこと。ストーリーと説得力、保存性、パーソナライズなどがあり「デジタルとの連動で強力な行動喚起メディア」になる。

 

IDOM 目黒友氏

当社はガリバーが2017年7月に社名変更した。
現在は、自動車関連のフリマやサブスクリプション、カーシェアも行っている。

当社の課題には
Webではなく店舗でコンバージョンする
歩留まり率
リテンション機能しにくい
などがある。

特にリテンションは、1回購入してから次までに約7年というサイクルで、当社を忘れてしまうので機能しなかった。
これを「ネット上のチャット」「現状マーケティングの歩留まり率を上げる」の二つで解決していくのだが、今日は後者をお話しする。

DMのメリットは強い行動喚起力だが、一方でコストは高い。ならばと、行動してくれやすいターゲットに送ることを重視した。
強い行動喚起力があるかを分析するには、ローンの残債データを使った。しかし、リサーチすると、7年目に連絡した場合「ローンが終わったら冷蔵庫買う」と、次のお金の使い道は決まっているが多いことが分かった。われわれは、その意思決定の前に顧客への喚起を掴むことを目指した。

ユーザーの思い込みは「今のクルマには値段がつかず、ローン終わらなければ乗り換えできない」というもの。実は残ローンを査定金額が上回れば、そのお金をもとに乗り換えられる。これを逆手にとった。
つまり「推定買取金額」‐「ローン残高」=「いくら残る」をDMにした。
これによりリターンは4.85倍、ROIは1.8倍となった。

今後は、顧客が好きな手段でアプローチし、お客様一人一人が最も気持ちの良いメディアコミュニケーションをしていきたい。

 

ディノス・セシール 石川森生CECO

当社が「なぜ今、もう一度カタログに注力しているのか」をお話する。

ECは顕在化したニーズには強いが、潜在的なニーズの掘り起こしは弱い。
つまりECは購入が決まった人を取り合いしている。一方、カタログは無関心なものを認知させる部分で強い。

Amazonは小売り市場の4%しか取れていない(ECでは44%だが)。このため、残り9割が眠っているリアルを取りにいっている。つまり、これまで培ったテクノロジーをリアル体験をより良くすることに使っていく。

つまり
「一つの結論として、ECですべては完結しない」
アナログのリアルが持っている顧客価値をテクノロジーの力で変えていく。
当社でいえばそれは紙(カタログ)である。

カートに放置してしまった商品をDMで知らせる。また、小冊子では買ってくれた商品を表紙に印刷し、コーディネートの参考になる情報をレコメンドしている。

分かったのは「古いものにこそ価値がある。その価値を取っ払うと価値がなくなる」ということだ。

 


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