【2024年11月20日】矢野経済研究所はこのほど、「国内のBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)市場を調査」し、サービス別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。
BPOは企業の経理や総務などの間接事業を他社が行うビジネス。印刷業界では印刷や配送など業界が得意とする業務を活用し、広報やキャンペーンなどの事務局運営、請求書や案内状などの配送業務を代行している。
2023年度のBPOサービス全体(IT系BPOと非IT系BPOの合算値)の市場規模は、事業者売上高ベースで前年度比3.9%増の4兆8,849億2,000万円と推計した。内訳は、IT系BPO市場規模が同5.9%増の2兆9,470億円、非IT系BPO市場規模が同1.0%増の1兆9,379億2,000万円であった。
マーケットを巡っては近年、DXに取り組む企業が増加基調で推移しており、自社内事業や人的リソースなどの再構築を加速させている。
また、新型コロナウイルス関連業務の委託実績を通じて、官公庁・自治体においてアウトソース機運が高まっていることもマーケット拡大にプラスに働いている。
多くのBPO事業者は、人を介した業務とデジタル技術を活用した業務を融合させて提供するBPOサービスである、デジタルBPOを提供するようになっている。
特に、グローバルな事業展開をする日系企業では、グローバルなコスト競争力の更なる向上に向けた抜本的な業務プロセスの改善を目的として、デジタルBPOに対する需要が高まりを見せている。
デジタルBPOは人材不足を補う役割を果たすとともに、BPO業務の効率化・迅速化・省力化・サービス品質の向上を実現しており、BPO事業者が請け負う業務領域の拡大につながるなどBPO市場の拡大を強力に牽引するドライバーの役割を果たしていくと考える。
2024年度は安価なクラウド基盤システムの普及に合わせて、BPOサービス利用企業が中堅・中小企業に広がりを見せている。加えて、これまで未開拓の需要先であった官公庁の取り込みが加速していること、2022年末より本格的に始動した生成AIを活用したサービスの実用化が急速に進展していく方向にあることから、市場は今後も拡大基調で推移する見込み。
2024年度のBPOサービス全体の市場規模は、事業者売上高ベースで前年度比4.2%増の5兆914億4,000万円、内訳ではIT系BPO市場規模が同6.0%増の3兆1,240億円、非IT系BPO市場規模が同1.5%増の1兆9,674億4,000万円といずれも引き続きのプラス成長を予測する。
期間: 2024年8月~10月
対象: IT系BPO事業者、印刷系BPO事業者、コールセンター系BPO事業者、事務系BPO事業者等
方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・eメールによるヒアリング調査、文献調査併用
発刊日:2024年10月29日
矢野経済研究所
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