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【工夫と創造この企業】ジェイビーエフサプライ 袋づくりをフォーム印刷の技術で開発 紙使用でプラ削減も

【2023年7月28日】ジェイビーエフサプライは今年4月、紙とOPPフィルムを糊で製袋することで中身が見える「ノンラミパック」を開発した。
この「ノンラミパック」は、同社が持つフォーム印刷と加工の技術を使用したもの。紙とOPPを貼り合わせた製品だが、ラミネート加工をせず、糊で接着することで、プラスチック使用量の削減とラミネートタイプの紙パッケージに比べ、大幅なコストダウンを実現した。
フォーム印刷業を生業とする同社が、パッケージ印刷・加工を手掛けるその理由は、そしてその企画の先にあるものは何か、同社の中川良樹社長と加藤篤専務に話を聞いた。


中川良樹社長と加藤篤専務

 

包装事業の開拓へ

――包装業界とは、もともと取引があったのですか
中川 当社はフォーム印刷業がメインの仕事で、もともと包装業界との接点はありませんでした。
しかし、大きな時代の変化が起こる中で、弊社のスローガンである『Change&Challenge』の言葉の通りとりあえずやってみようという漠然としたものでした。

――それはどのような変化でしょう
中川 発端はペーパーレス化です。さまざまなものが紙から電子媒体に置き換わりました。その中で、我々が得意とする帳票(フォーム)印刷も影響を受けたのです。
さらに、このコロナ禍でペーパーレス化が加速しました。こうした変化の中で、包装事業は非常に有望と感じたのです。
もちろん、包装・グラビア印刷の業界も厳しく、隣の芝が青いという風な甘い考えでいたわけではありません。しかし、SDGsの流れなどからチャレンジしてみる価値があると感考えました。


同社は「ノンラミパック」を今年4月にリリースした

――いつから開発を開始されましたか?
中川 昨年(2022年)5月に包材会社様より機会をいただき一緒にラミネートタイプのサンプル作製に取り組みました。

――反応はどうだったのでしょう
加藤 反応は上々で、これならつくってみる価値があると確信しました。また、製袋の部分も含めて、自社で作れるという考えに至りました。

――製袋などを他社に依頼するのではなく自社で行う理由は
中川 コストの問題が大きいです。

加藤 サンプルを作成したときに、その製品価格が従来のフィルム包装に比べて3~5倍になってしまったのです。包装業界関係者にご覧にいれたところ「この価格では検討できない。せめて従来品の1.2倍~1.3倍までに収めてほしい」との話がありました。

中川 そこで自社内で製袋まで行うことで、コストを下げられるように開発に取り組みました。実際、現在の価格はラミネートタイプの紙パッケージに比べ若干高い程度に抑えることに成功しました。仕様や作成ロットにもよりますが逆転も可能と考えています。

 

自社の設備で製袋まで

――貴社の設備で製袋も可能なのですか?
加藤 特に設備投資は必要なく、今までの応用範囲でできました。フォーム印刷とその貼り合わせ加工の技術を応用することで包材の形に仕上げることが可能です。
フォーム印刷で作った製品を見てもらうとわかると思うのですが、例えば宅配便の送り状などは、印刷した後に貼り合わせてあり、送り主用と配送業者用、送り先用といった形で、重層的に作られています。

中川 また、作る数量は、フィルムの製袋工場の場合、フィルムへのラミネートの前工程があるので最低ロットが2~3万個以上といった具合に大量になる場合があります。それが、当社で作製すればラミネートの必要がないため、数千個からつくれます。
さらに粘着剤で貼り合わせていることから、紙の配合割合が高くなることも特長です。


同社のフォーム印刷機。貼り合わせの技術が生きている

――特に苦労はなく?
加藤 いや、さすがにそれは…苦労と言いますか困難な部分はありました。最初に、この話を工場に持って行ったときには「できない」という返事をもらいました。しかし、研究・開発を進めてもらう中で徐々に課題を解決していったのです。

中川 我々も包装の業界を知らなかったので、これだったらというものをユーザーや販社に持って行って、そこで課題をもらい一つずつ解決していきました。
今でも課題はある程度残っていますが、製品化には問題ない程度にすることができました。

――今はどういった課題がありますか
加藤 製品づくりは普段使用している技術に結びつけば、さほど難しくはないのですが、従来作ってこなかったA4サイズ以上となると難しくなってしまいます。
できないことはないのですが、大きくなればその分、値段が高くなってしまうという難点があります。

中川 また、フィルム包装から紙になると重くなるという欠点もあります。

 

グラビア・軟包に勝る利点

――逆に一般的にフィルム包装で活用されているグラビア印刷に比べて利点は?
加藤 当社ではオフセット印刷方式でプリントするのですが、オフセットはもともと印刷品質が優れています。微細なグラデーションが可能で、網点30%以下でもきれいに出ます。これはグラビア印刷にはない特長です。オフセットでは、例えばボールペン5色展開の場合、大きい版に面付けし、一番売れる色を多く面付けするといった工夫が可能です。
また、グラビアやフレキソ印刷の版代が3~5万円と高価なのに比べ、オフセットの版なら2500~3500円と格安にでき、非常に少量生産に向いています。
一方で紙はフィルムよりも、コストが高いので、大量品に使用する包装はグラビア印刷の方が安価になります。
当社では製袋との関係もあり、少量から中量の顧客をターゲットにしたいと考えています。


筆記具用の製品サンプル

中川 先ほども申しましたように、弊社で作れば、ラミネート加工代がない上に一般流通品である上質紙を使用できるので、ラミネートタイプの紙パッケージに比べコストも安価になりました。
在庫の上質紙なら、500mでも1000mでも好きな長さを使っていただけます。

――ユーザーにとってメリットが大きいですね
中川 ユーザーが新商品をスタートする場合、1万個しか作らないで様子を見るというケースがあります。しかし、最低ロットが多いと3万作って2万を廃棄するなどの無駄が出てきます。
「ノンラミパック」の場合、1万枚なら得意な数量なので、1枚のコストは上がっても、必要枚数で作成できるため、全体の価格は下がる可能性があります。また、いらない数量を廃棄する必要がないことから、環境負荷も低い製品となります。

加藤 紙の部分を厚くすれば、形がしっかりするため、フィルムの包装の場合に必要だった厚紙を省き商品を入れられます。
今回、糊の部分にも印刷可能という新しい機能も追加しています。その部分に商品名やキャッチコピー、デザインを付与でき、従来にないパッケージが完成します。
さらに、糊をつける位置を変えることで、商品の形に合わせて挿入できる部分の大きさを変化させられます。
これはビジネスフォームでの製袋技術を応用したものです。

中川 糊の位置を商品に合わせて変えることで商品を固定し、商品の見せたい面を見せるなどの使い方も考えられます。


糊付けする部分を指定できるのがフォーム印刷の加工の良さ

 

ターゲットは?

――実際の採用事例は
加藤 今まだ採用はないのですが、検討していただいている会社が4、5社あり、秋の新モデルからの採用を目指しています。
採用の見込みの割合でいえば、「これから考えたい」「近いうちに採用したい」「具体的な検討に入った」というお客様がそれぞれ3分の1ずつおられます。

――用途や採用分野のターゲットは?
加藤 文具や化粧品がメインのターゲットになりますね。このほか、高価なオーガニック素材を使った衣料品や日用品などが対象になりそうです。
ただ、私たちの考えより、お客様にお話をする中で「〇〇に使いたい」というお話をいただき、そこから商品が進化し、採用に向けての検討が進むことが多いです。

中川 例えば、サンプリングやモニタリングといった試供品用の印刷も可能だと思います。マーケティングに使われるものは、フォーム印刷の技術やサービスにマッチしています。

加藤 フォーム印刷が得意とするバリアブルプリントと組み合わせて、釣り針用のパッケージなどにも適しています。釣り針は号数がものすごく多いので、300ずつ10種類という仕事、これまではシールやスタンプを押して対応してきました。これが全く必要なくなります。
また、裏のJANコードなどもバリブルプリントですべて変えられます。

――化粧品などは?
加藤 化粧品はパッケージ買いというのがありまして、それを考えた時に高級感や質感を変えてまでエコなパッケージに変更するのは厳しいとのことでした。

中川 それぞれの業界ならではの常識というものがありまして、化粧品はそのハードルがとても高いのです。それを飛び出して採用いただけるお客様があれば、ぜひご一緒に考えていきたいと思います。
私たちは、「環境」や「SDGs」に関する意識というのは上がることはあっても下がることはないと考えています。一つの採用が成功しこれが話題となれば、この「ノンラミパック」は広がっていくのではないでしょうか。
ブランドオーナーもそうですが、小売店は環境対応の意識が高く、特にコンビニエンスストアは減プラや脱プラへの取り組みが一番早いようです。一方で、紙包装だと返品率が高くなるのではないかという懸念があるので、そこをどう乗り越えていくかという課題はあります。


最難関と言われる化粧品もターゲットに?

加藤 このほか、外食産業などでも高級なお弁当の「お箸・お手拭き・つまようじ」のセットに使いたいというお話もいただいています。これは印刷部分に広告を載せてリピートを狙うというものです。外食産業は、SNSの迷惑系投稿の登場によって、その安心感が失われているという危機意識があります。そこにこの高級感もあり広告も付けられるという製品ができれば採用の可能性は大いに広がるでしょう。

――食品への対応は
加藤 まだできていません。やはり紙粉が出るので紙包装は食品には難しいと感じます。

中川 我々も市場すべてを理解しているわけではないので、やはり要望を出していただき、課題をいただきながら解決していきたいと思います。

 

ビジネスの幅を広げる

――製品が注目されている状況が分かりますね
中川 今、環境に配慮したいというお客様は多くなっていますし、営業担当者が「ノンラミパック」の特性を話すと「環境にいいのなら」「紙に切り替えられるなら」とお目にかかっていただける機会が増えました。

加藤 テレアポでも、かなりの確率で会っていただける反応の良さや、従来取引のなかった大手との商談も増えています。

――直販が多いのでしょうか?販社を通しての場合が多いのでしょうか?
加藤 「ノンラミパック」の場合は、直接エンドに商談に行くケースが多いですね。従来のフォーム印刷は、間に代理店や印刷会社が入るケースが多かったのですが、今回はまったく別のルートのセールスとなるので、直接取引を目指そうとしています。

――やはりこの事業は、貴社のもう一つの柱になるものでしょうか
加藤 そうならなきゃいけないですが、まだ多くのユーザーの意識がそこに追いついていかないかもしれません。あらゆるところでお話をして、早く浸透させていきたいと考えています。

――製品や貴社について将来の展望などをお教えください
加藤 営業担当者は自分たちの会社の技術で作った商品なので、自信をもって楽しく説明ができ、お客様もわかりやすいと言ってくださいます。作るだけでは広がってはいかないので、展示会やセミナーなどに積極的に情報を拡散していきたいと思います。
さらには当社で充填・アセンブリまですることも視野に入れていかなければならないと思います。
ここから次の環境商品を開発・発売することが次のステップになるかと思っています。

中川 まずフォーム印刷やBPO事業など、従来の柱である事業はしっかりやっていきます。
人口減少で、印刷の市場のパイが小さくなっていく中で、ビジネスフォームを応用した新たな技術で新たな柱を作っていくことが重要な使命です。
こうして、少しずつビジネスの幅を広げながら、さらにお客様の要望を聞きながら考えていき、我々が知らなかった業界へトライをしていきたいと思います。
印刷や製袋は幅が広く、それぞれの分野で常識が違っているので、今改めて面白い世界だなと感じています。

ジェイビーエフサプライ
https://www.jbfs.co.jp/

 

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